不朽の名作が、韓国の人気俳優陣によって新たな物語として甦る。ジョゼと虎と魚たち
1986年に角川書店から発売された田辺聖子の短編小説「ジョゼと虎と魚たち」(同名短編集に収録)。2003年に犬童一心監督がメガホンをとり、妻夫木聡と池脇千鶴を主演に迎えて実写映画化され、大ヒットを記録した。足が不自由な少女ジョゼと、大学生・恒夫の出会いの物語は、20年近く経った今も全く色褪ることなく、幅広い世代の人々に青春恋愛映画の金字塔として愛され続けている。昨年には劇場アニメ版が公開されたことで再び注目を集めた。そんな珠玉の名作が、今度は韓国映画界の実力者たちの手によってリメイクされ、スクリーンに甦った。
舞台は韓国の地方都市。大学生のヨンソクはある日、道に倒れている車椅子の女性を助ける。壊れた車椅子と女性をリヤカーに乗せて家に送り届けたユンソクは、お礼に食事をふるまわれる。それが風変わりな女性・ジョゼとの出会いだった。フランソワーズ・サガンの小説から名前をとって自分の呼び名にしているジョゼは、廃品回収でかろうじて生計を立てている老女とふたりで孤独に暮らしていた。住民登録も抹消され、福祉の支援も受けず生きているジョゼは大変な読書家で独特の世界を持っており、ヨンソクは大学で出会う女性たちとはまるで違う個性に魅了されていく。季節が変わるたびに、ふたりの距離はどんどん近づき、互いになくてはならない存在になっていくのだが──。
ジョゼを演じたのは、日本でも人気の韓流ドラマ「知ってるワイフ」、「ある春の夜に」などに出演し、韓国ドラマ界で“ラブコメの女王”として活躍する名女優ハン・ジミン。ヨンソク役には、Netflixの人気ドラマ『スタートアップ:夢の扉』に主演するなど、いま最もホットな若手俳優として注目を浴びるナム・ジュヒョク。日本実写版のエッセンスを巧みに取り入れた究極の恋愛ストーリーとしてはもちろん、国を問わず現代社会が抱えるさまざまな課題や、そこで生きる若者の生態をリアルに描いた作品として、かつての「ジョゼ虎」ファンだけでなく初めて出会う人々にとっても特別な一本となるだろう。(水谷美紀)
作品情報
ジョゼと虎と魚たち
10月29日(金)よりkino cinéma横浜みなとみらい・立川髙島屋S.C.館・天神ほか全国順次公開
脚本・監督:キム・ジョングァン
出演:ハン・ジミン、ナム・ジュヒョク
2020年|韓国|韓国語|117分|カラー|シネスコ|5.1ch|原題:조제|英題:Josée|字幕翻訳:鷹野文子 映倫 G 提供:木下グループ 配給:キノシネマ
Original Film © 2003 “Josee, the Tiger and the Fish” Film Partners. All Rights Reserved.
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