Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

ニューカレドニアのサステナブルをめぐる旅① 多様な文化が行き交う街・ヌメア
ニューカレドニアのサステナブルをめぐる旅① 多様な文化が行き交う街・ヌメア
TRAVEL

ニューカレドニアのサステナブルをめぐる旅① 多様な文化が行き交う街・ヌメア

「天国にいちばん近い島」の呼び名で知られるニューカレドニアは、オーストラリア大陸の東、およそ1500kmに位置するフランスの海外領土。ユネスコ世界自然遺産に登録されたエメラルドグリーンのラグーンに囲まれた数十の島々からなる、南太平洋屈指のリゾート地です。ニューカレドニアは、サステナブルというワードが取りざたされる以前から、持続可能な伝統文化、自然・野生動物、観光に関する取り組みを積極的におこなってきました。2021年には、ナショナル・ジオグラフィック・トラベラーで「世界最高の持続可能なデスティネーション」のひとつに選出。豊かな自然と多様な文化に彩られたニューカレドニアを、トラベルライターの鈴木博美さんがレポートします。

シンクロ二ズムする首都

ニューカレドニアの島々にはカナックと呼ばれるメラネシア系の先住民が暮らし、現在も人口の44%を占めている。1744年にジェームス・クックが西洋人としてはじめてニューカレドニアを発見。それ以降、イギリスとフランスからキリスト教の宣教師が訪れるようになり、1853年にフランスの植民地となった。その後、ニッケル鉱山が発見されると、日本を含め世界中から多くの移民労働者が集まった。現在、その子孫たちが暮らすニューカレドニアには、多様な人種や文化が共存している。

首都ヌメアの街を歩けば、先住民カナックの人たちや、フランス系、ベトナム系、インド系、日系と、実にさまざまなバックボーンをもつ人々に出会う。街の中心にあるココティエ広場の木陰でおしゃべりに花を咲かせているカナックの人たちと目が合ったところ、笑顔で挨拶をしてくれた。フランス領ならではのフレンチシックな街並みに心ときめかせながら歩いていると、いつの間にかチャイナタウンに迷い込んでいた。こうして互いの文化を受け入れたごちゃまぜの多様性も、ヌメアの魅力のひとつだろう。

ヌメア市内にはいくつもの大型スーパーがあるが、モーゼル湾にあるマルシェ(朝市)は市民にとって欠かせない存在。ココナッツや南国のフルーツ、バゲット、クロワッサン、ハチミツ、ジャム、ベトナム料理やお土産品など多種多様な品であふれている。新鮮なローカルの農産物が買えるだけでなく、異文化体験ができるのも魅力。 地元の人々と交流し、エコバッグをぶら下げてマルシェを歩けば気分は地元民! フレンドリーな雰囲気の中で旅行客と地元の人々が交流できる、絶好の場所だ。ひと周りした後は、カフェオレとクロックムッシュでひと休み。

ニューカレドニアの女性が普段着としても正装としても着用しているのが「ミッションローブ(ポピネ)」という衣装。風通しがよく、快適に過ごせるようにつくられている。ゆったりとした着心地で、一度着ると手放せなくなる軽快さ。街のあちらこちらにミッションローブの仕立屋があり、手先が器用なベトナム系の人たちが営んでいる店も多い。生地の種類や大きさにより値段はさまざま。既製品なら2000CFP(約2700円、2023年9月現在)ほどから購入できる。

ニューカレドニアの恵みが詰まったサステナブルなコスメ&スキンケア

街の中心部にある「BOTANIK(ボタニック)」は、地域住民によって収穫された伝統的な植物と最新科学が融合するスキンケア&コスメブティック。100%天然成分でつくられた化粧品や香水を提供している。高品質の化粧品は、2018年のオープン以来人気が上々で、前回訪れたときよりも店舗面積が2倍になっていた。オーナーである化粧品化学者、調香師、色彩学者のロデリック・ペイローさんが店内にあるガラス張りのラボラトリーで日々、研究と調合をおこなっている。一人ひとりの肌質や好みに合わせてロデリックさんが詳しく丁寧にアドバイス、スキンテストもしてくれるので、時間に余裕を持って行くのがおすすめだ。

商品開発もさることながら、デザインからパッケージまでが手づくり。開店前の時間を研究開発、製品のデザイン、パッケージングに充てているという。「最高のものを届けたい」という心のこもったおもてなしが、商品を通じて伝わってくる。また、ボタニックとニューカレドニア国際線航空会社のエアカランがタッグを組み、機内で使用するアルコール溶液ボトルの100%リサイクルもおこなっている。ボタニックは、ニューカレドニアの福祉、美容、観光、農業、科学研究をおこなう各社のパートナーとして、積極的に社会貢献活動を展開しているのだ。

ニューカレドニアには、環境に配慮した次世代航空機で

今年で創業40年、成田就航から20年の節目を迎えたニューカレドニアの翼「エアカラン」は、航空業界における環境問題を認識し、積極的にサステナブルな開発に取り組んでいる。現時点で最高レベルの環境性能をもつ次世代航空機A330-900neoが、日本とニューカレドニア間を運航。1席あたりの燃料消費量と二酸化炭素排出量を約15~20%削減している。機内ではリサイクル可能な素材やリサイクル素材、植物由来の製品の使用を促進し、プラスチックやつかい捨て包装の削減に取り組んでいる。

現在導入済みの取り組みは、以下のとおり。これらの対策により、すでに年間25トンの汚染廃棄物が削減されたという(通常運航時)。

・プラスチックカップを堆肥化可能な植物由来のコーンスターチカップに

・段ボール製のホットドリンクのカップを採用

・エコノミークラスとプレミアムエコノミーのカトラリーと包装、調味料パックは100%堆肥化可能

・布製プレミアムエコノミーのアメニティキット内に、コーンスターチからつくった歯ブラシを採用。プラスチック製のパッケージも排除

・エコノミークラスのアメニティキットは、リサイクル可能な紙製

そして、私たち利用者のちょっとしたおこないで、もっとサステナブルにすることができるそうだ。たとえば、必要なとき以外は日よけシェードを下げておくことで機内の温度を10℃程度低く保てる。環境負担の少ないフライトを選択し、自らもできることを実践する。そんなふうに、エコな空の旅を楽しんでみてはどうだろう。現在、エアカランではニューカレドニアへの旅が当たるキャンペーンがおこなわれているそう。気になる方は、ぜひチェックを!

協力:ニューカレドニア観光局、エアカラン text:鈴木博美

Official SNS

芸能人のインタビューや、
サステナブルなトレンド、プレゼント告知など、
世界と社会をよくするきっかけになる
最新情報を発信中!