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健康にも環境にもいい!「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」
健康にも環境にもいい!「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」
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健康にも環境にもいい!「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」

気候危機というグローバルな問題に、いま私たちは何をすべきなのでしょう。今回は、人間の健康にも地球環境にも理想的な食のガイドライン「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」に注目しました。

プラネタリー・ヘルス・ダイエットとは?

プラネタリー・ヘルス・ダイエットによる一日に推奨される摂取食物の割合を示したグラフ。具体的な食品群は1/全粒穀物 2/でんぷん質の野菜 3/乳製品(牛乳・チーズなど) 4/動物性タンパク質(牛・豚・鶏・魚) 5/植物性タンパク質(豆・ナッツなど) 6/不飽和脂肪酸(オリーブオイルなどの植物油) 7/添加糖類(砂糖など) 8/野菜・きのこ・果物

プラネタリー・ヘルス・ダイエットは世界16ヵ国37人の研究者からなるグループ(EATランセット委員会)が、科学的根拠に基づいて食事と食料システムのあるべき形と解決方法を全人類に向けて提示した世界初のガイドライン。世界人口が2050年までに100億人にまで増えると予想されるなか、人口増に見合った食料を確保しようと農地や家畜の数を増やせば温暖化が加速する。それを食い止めるためには、環境に配慮した食料システムを築き、その範囲内で入手できる素材を用いた健康的な食生活への転換が急務だ。

人間の健康にも地球環境にも理想的な食のガイドライン、プラネタリー・ヘルス・ダイエットを参考に、料理家の山戸ユカさんが考案したワンプレートランチ。環境に負荷を与えすぎず、栄養バランスも保てる量の肉や乳製品、たっぷりの野菜や豆、フルーツで構成した彩りも美しいひと皿

提唱するのは、肉、魚、卵の消費を抑えるほか、砂糖や精製穀物、でんぷんを大幅に削減した食生活。食料由来の廃棄物(食品ロス)を半減させることなども推奨する。これらを実践していけば、2050年までに年間1100万人の成人の早死にを防ぎ、世界の食料システムの持続可能性への移行を推進できる。つまり、人間の健康と地球環境を健全に保てるはずだと専門家らは述べている。

私たちが知っておくべきこと

食が地球に与える影響

地球上に存在する哺乳類の中で家畜が占める割合は60%にも及ぶ。人間は36%、野生動物はたったの4%。また農業用地は世界の土地の40%近くを占め、農業生態系は地球上で最大の陸上生態系となっている。食料生産は世界の温室効果ガス排出量の最大30%、淡水使用量の70%を担う。食料生産のための土地転換は生物多様性損失の最も重要な要因のひとつになっている。(※データはtheguardian.com 、eatforum.orgより引用)

食の不平等

いま世界では8億2000万人以上の人々が毎日空腹を感じ、1億5000万人の子どもが成長と発達を損なう長期の飢餓に苦しみ、5000万人の子どもが食料へのアクセスが不十分なために急性の飢餓に陥っている。同時に世界では体重過多や肥満が増加。現在、20億人以上の成人が太り過ぎや肥満であり、糖尿病、がん、心臓病など、食事に関連する非感染性疾患が世界の主要な死因のひとつになっている。(※データはeatforum.orgより引用)

フードロスとCO2

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告によると世界の食料システム(生産・加工・流通・調理・消費・廃棄)からの温室効果ガス排出量は総排出量の21~37%を占める。うち食品ロス及び廃棄物からの排出量は総排出量の8~10%を占める。世界資源研究所(WRI)による2011~12年のデータを見ると、食品ロスから排出される温室効果ガスの量は飛行機から排出される1.4%よりもずっと多いことがわかる。(※データはwri.org、ipcc.chより引用)

私たちにできることは?

タンパク源を変える

肉はタンパク質、鉄分、ビタミンB12などの重要な栄養源だが、生産の過程で多くの温室効果ガスを排出するうえ、飼料用の穀物生産のために広大な農地や水が必要となる。その点、ナッツ類や豆類は健康的で持続可能なタンパク源。肉の摂取を控えめにし、植物由来のタンパク源に置き換えることは、自分の健康と地球環境を健やかに保つことにつながる。タンパク質が豊富な魚も上手に取り入れて、バランスをとっていこう。

持続可能な農業を支持

日々の買い物は食のシステムを変えるための投票です。環境への負荷を抑えた農法や、環境再生型の農業を目指す農家・畜産家が作った食物を選ぶことは、彼らへの支援となり、地球にやさしい食料生産やシステムづくりにつながる。同時に、農薬や化学肥料をつかわずにつくられた食物は、私たちの健康にも利益をもたらす。自分が住んでいる地域の農家から地場の作物を積極的に買うことで、輸送によるCO2排出を抑えられる。

きちんと料理をする

日々、料理して食べていると、自分が毎日どんな食物をどのくらいの量摂取しているのかがわかる。まずはそれを知り、自分と地球環境にとって理想的なバランスに変えていくことが大切。必要な分だけ買い、つかい切る献立の計画を立てるとロスが減り、廃棄によって排出されるCO2を削減できるうえ、家計も助かる。有機栽培の野菜や果物を選び、皮つきのまま食べると、生ごみの量を減らせる。

▼献立リストはこちら

●情報は、『FRaU SDGs MOOK 話そう、気候危機のこと。』発売時点のものです(2022年10月)。
Illustration:Satoshi Ogawa  Cooking:Yuka Yamato Photo:Tetsuya Ito Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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