女優サヘル・ローズがオススメする「ジェンダー問題のヒントが見つかる本」
社会問題に対して、さまざまな方法で姿勢を表明している女優のサヘル・ローズさんがジェンダー問題を考える、勉強する、身近に感じる本をご紹介。誰もが関係する大切な性別にまつわる問題について、多角的に読み解ける2冊です。
ツラいときは光を見出し、
自身のルーツを見つめ直す
日本では「ジェンダー」という言葉が、難しいものというイメージを持たれているように感じます。とても強い言葉のように感じて、なんだか触れてはいけないものだと思っている人たちもいる。実はとてもシンプルなことを言っているんだけれども、その言葉を聞いたとたん壁をつくってしまう。しかし世界はもちろん、ここ日本においても性別を理由に苦しんでいる人、虐げられている人は現実にたくさんいます。人は苦しんでいると、まわりに光を見出せなくなってしまいます。
そんなとき、『幸せのサイン』は多くのヒントをくれるでしょう。この本は世界にはまだまだ知らない言葉や文化があり、幸せの発見の仕方があるということを教えてくれました。読むたびに気づきを与えてくれる大好きな一冊です。
『わびさびを読み解く』も大切にしている本です。私は、相手を尊重し限られたものから最大限のよさを見出す「わびさび」を、日本の美しい文化だと思っています。日本の方々は、その精神性を芸術のなかに取り入れてきました。わびさびを見直すことは、いまの日本社会に必要なことかもしれません。
この2冊は、ジェンダーについて直接的に書かれたものではありません。しかし見落としがちな、すべての人に必要な要素が詰まっています。
幸せのサイン
ウィリアム・レーネン/著、伊藤仁彦/訳
「白い鳥を見たときは、人生にもうじき嬉しいサポートがやってくる」など、さまざまなサインを紹介する一冊。日常生活のなかでふと目に留まったことに、ポジティブなメッセージを見出せる。エイ出版社刊。
Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers
レナード・コーレン/著、内藤ゆき子/訳
著者は、日本に長期滞在した経験もあり、デザインやアートの著作を数多く手がける。日本の文化「わびさび」を西洋文化と比較しながら、哲学的に言語化。ビー・エヌ・エヌ刊。
PROFILE
サヘル・ローズ
女優。7歳までイランの孤児院で過ごし、8歳で養母とともに来日。貧困や差別に苦しんだ過去を持つ。2020年、ETVでドキュメンタリー「サヘルの旅~傷みと生きるということ~」が放送。イランやバングラデシュなど7年におよぶ旅を追った番組が、大きな反響をよぶ。旅を通して出会った人々のためのクラウドファンディングも成功を収めた。
●情報は、FRaU2021年1月号発売時点のものです。
Photo:Toru Oshima Illustration:Adrian Hogan Text & Edit:Saki Miyahara
Composition:林愛子
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