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「服を買う前に、これだけは考えて!」サステナライフのために
「服を買う前に、これだけは考えて!」サステナライフのために
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「服を買う前に、これだけは考えて!」サステナライフのために

11月5〜6日の2日間にわたって開催された『~地球に優しいライフスタイルをはじめよう!~ GTFグリーンチャレンジデー 2022 in 新宿御苑』。会場には体験型ワークショップやエコマルシェなど、環境や自然、生き物について学べるさまざまなブースが展開されていました。トークセッションには、環境副大臣の山田美樹氏やモデルの長谷川ミラさんらが登壇。「サステナブルなファッション」について語り合いました。

――前編はこちらーー

ロンドンでは、いたるところに古着回収ボックスが

会場内ステージで行われた、「サステナブルなファッション」についてのトークセッションには、環境副大臣の山田美樹さん(サステナブルファッションプロジェクト座長)、サステナブルファッションブランド「Jam Apparel」をプロデュースするモデルの長谷川ミラさん、H&Mのサステナビリティ・コーディネーター・山浦誉史さんが登壇した。司会進行は、サステナブルファッション・コンサルタントの鎌田安里紗さんだ。

鎌田 いま、ファッション業界が目指すところは「廃棄を減らそう」から「生物多様性」へと意識が変化してきています。

たとえばコットン素材の洋服の原料は綿花ですから、農薬をまいて化学肥料を与えて……といった作業を経てつくられています。いままでは、服がつくられる過程で自然にどんな影響を及ぼしているのかが、なかなか見えていませんでした。そこで、まずは自然への影響を把握しよう、というのが最新の傾向です。H&Mの本社があるスウェーデンでは、どういった取り組みをされているんでしょう?

山浦 南アフリカのウール、インドの綿……。みんな原料は植物ですから、受粉には蜂などの生き物が関わっています。そこにどういった影響があるのかを、いま調べている真っ最中です。

鎌田 日本の行政としては、どのように課題を認識してどのような取り組みをされているのですか?

山田 小泉進次郎氏が環境大臣だったときに、「ファッションロス」問題を取り上げたことが大きく注目を集めました。以来、ファッション業界が対策を提言したり、政府もプロジェクトチームを立ち上げたりと、生活者の意識、そしてライフスタイルを変える試みがなされています。とくにリユース、リサイクルは大切だと考えていて、企業や自治体の取り組み状況の調査などもおこなっています。

イベント会場では「服の交換会」も実施されており、多くの人々でにぎわっていた

鎌田 日本には、洋服を「集めて分ける」ことまで実施している自治体はほとんどないんです。すると、どうしても洋服は「燃えるごみ」として捨てられてしまう。そして燃やすときにCO2を排出して環境に負荷がかかる。本当は自治体がきちんとリユースするシステムを構築していくべきなんですけど。

長谷川 ロンドンに留学していたとき、いたるところに洋服の回収ボックスがあったんです。私が住んでいたマンションにもありました。それを目にすると、「そういえばいらなくなった服、どうしてたっけ?」と思い出して、回収ボックスに入れるんです。そんなふうに日本にも、着なくなった服のことを思い出させてくれるくらい身近に回収ボックスがあったらいいなと思います。

鎌田 服って思い出もあるから、ごみとして出すのは心が痛むから出したくないし、かといって回収スポットは少ないから、わざわざ持って行くのも大変。マンション内などにあれば、すごくうれしいですよね。

「ファッション業界、そして私たち個人ができることは何か」をテーマにしたトークセッション。訪れた人は足を止め、芝生に腰を下ろして聞き入っていた

「どんなモノづくりをしているの?」まずは店で聞いてみよう!

鎌田 長谷川さんはモデルであり、ご自身でサステナブルブランドも運営されています。お客さまや、ファッション業界自体の変化は感じられていますか?

長谷川 モデルとして、できる限り着る洋服の背景を調べてからお仕事を受けるようにしています。最近は、サステナブルな取り組みをしているブランドも増えていて、お仕事の機会がものすごく増えています。5年ぐらい前までは、ほとんどなかったんですけど。

自分のブランドは、以前はLGBTQに関する情報を発信していて。来てくれるお客さんに「LGBTQって知ってる?」「知らない」「こういうのがあってね」「へえ~」という感じで、まずは知ってもらうこと大事にしていたんです。数年前から100%リサイクル素材の服を作るようになったのですが、最近は環境問題に関心があって来てくれる方がすごく増えて。「けれども、どこからどう取り組んだらいいのかわからない」と思っているお客さんが増えてきた印象です。

長谷川さんはこの日、クレージュのジャケットとトップスを着用。従来品より、90%プラスチック成分を減らした素材をつかったアイテムだという

鎌田 私もよく「サステナブルな洋服ってどこで買えますか?」と聞かれるようになりました。そういうときは、「自分の好きなブランドに、どういうモノづくりをしているか聞いてみて」と答えるようにしています。日本のブランドって、けっこういろいろ取り組んでいるのに、なぜかあまり外に発信しないところが多いんですよ。完璧に取り組んでいないと広報しちゃいけないと思うのか、「ユーザーはそんなに興味ないだろう」と思っているのか……。

長谷川 ブランドって意外にたくさんユーザーの声を聞いていますからね。たったひとりの意見だったとしても、会議で真剣に議論したりするものです。

山浦 そのとおり。むしろ少数の声をもとに施策を組み立てるところがあります。だから気になっていることは何でも、言ったり質問したりしてくれるとありがたいんです。

「この服は本当に必要だろうか」「手持ちをリメイクできないか」

鎌田 『グリーンチャレンジデー』は、私たちのサステナブルなアクションを後押ししよう、というイベントです。副大臣がいま、もっとも期待していることは何でしょう?

山田 まず企業には、デジタル化を進めてもらいたい。そしてリサイクル技術のイノベーションを期待しています。洋服は在庫管理が難しいといわれていますが、デジタル化することでムダなく製造できるようになるはずなので。今回のイベントを主催しているGTFの方ともお話したのですが、最近は在庫リスクゼロを目指して「Made by ZOZO」というプラットフォームが立ち上がっているんです。ほかにも、化石資源を使わずにリサイクルしやすい素材で洋服をつくっている「Spiber」という山形の会社も。少しずつですが、そういった取り組みをおこなう企業が増えてきています。

副大臣としてではなく、個人的には、リユース、リペア、アップサイクルで、古くなった服も長く楽しんでもらえたらと願っています。

山浦 アパレルビジネスには、「買うとき」「使うとき」そして「使った後」という3つのポイントがあります。この「使った後」の回収サービスが大事なのですが、お客さん側がやって楽しいものでないと続きません。ですから、「面倒くさいな」「難しいな」と思われないプラットフォームを提供していきたいと考えています。

長谷川 ファッションを楽しむことは素敵なことなので、「欲しい!」とときめいたら商品に手を伸ばしいてほしいのですが、「似たような服をすでに持っていなかったか」「本当にこの商品が必要か」「手持ちの服をリメイクできないか」など、ちょっと考えてから購入してもらいたい。もしくは、飽きてきたときにリメイクできるような服を買うのもいいでしょう。そうやって、自分に合ったサステナライフを探してもらえたらと思います。

イギリスにいたときに、自治体が何かサステナブルなことに取り組んだときの国民の反応が大きいな、と感じました。日本はそういった意識はまだまだ低いと思うので、もっと反応してみんなで盛り上げていけたらいいなと思います!

コロナ禍も落ち着きを見せ、多くの人が再び外へと繰り出しはじめた。新しい一着が欲しくなる季節でもあるが、買う前に、「自宅のクローゼットで眠っている服はないか」「それらをアップサイクルして着ることはできないか」なども、ぜひ検討してほしい。

――前編はこちらーー

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