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捨てられる服は年間75万トン! 日本のファッションをサステナブルにする知恵とは?
捨てられる服は年間75万トン! 日本のファッションをサステナブルにする知恵とは?
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捨てられる服は年間75万トン! 日本のファッションをサステナブルにする知恵とは?

11月5〜6日にわたって開催された『~地球に優しいライフスタイルをはじめよう!~ GTFグリーンチャレンジデー 2022 in 新宿御苑』。晴れわたる空のもと、SDGsに取り組む企業、団体、個人がブースを出展。トークセッションでは、環境副大臣の山田美樹氏やモデルの長谷川ミラさんらが、「サステナブルなファッション」について議論を交わしました。

「スタイリスト私物」などお宝もあった!洋服の交換イベント

コロナ禍のため、久々に屋外での開催となった『グリーンチャレンジデー』。会場には体験型ワークショップやエコマルシェなど、環境や自然、生き物について学べるさまざまなブースが展開されていた。

とりわけ盛況だったのが、「服の0円交換会」。まだまだキレイだけれど着なくなった服などを持ち込めば、ブース内にあるファッションアイテムと無料で交換できるというイベントだ。筆者がブースを訪れたときには、ファッション誌によく出ている「スタイリスト私物」や有名ブランド品など、プレミアムなアイテムも並んでいて、まさに宝の山! しまった、自宅のクローゼットに眠りっぱなしのあの服、持ってくるんだった!


次に訪れたのが、「ファッションと環境」タスクフォース。ここは環境省のブースで、服の「ケア」「リペア」「リサイクル」といった、さまざまなアクションを紹介している。お気に入りの洋服と長くつき合っていく=サステナブルに暮らすためのヒントや耳より情報が満載で、多くの人が集まっていた。ああ、やっぱりあのクローゼットに眠る服は持ち出さないでよかったのかも。帰ったら、ここで得た知識で少しお手入れしてみるか。

ほかにも、近ごろ話題の洗濯プロ集団「洗濯ブラザーズ」による、服を傷めない洗濯指導のブースや、不要になったデニムを回収し再びデニムとして再生する「FUKKOKU」プロジェクトに挑戦しているデニムブランド「ITONAMI」のブースもあった。そのかたわらには、捨てられたジーンズが山と積み重なるオブジェが(上写真)。こうして視覚化されると、「こんな感じで、まだ着られるのに世界中で捨てられている衣類は、1年間で228億着にもなるのか」と深く考えさせられた。

大臣とモデル、ファッション業界人のクロストーク

そしてこの日、会場のステージで行われた目玉イベントが、「サステナブルなファッション」についてのトークセッションだ。登壇したのは、サステナブルファッションプロジェクト座長の環境副大臣・山田美樹氏と、サステナブルファッションブランド「Jam Apparel」をプロデュースするモデルの長谷川ミラさん、H&Mのサステナビリティ・コーディネーターの山浦誉史さんだ。サステナブルファッション・コンサルタントの鎌田安里紗さんが、司会進行を担当した。

主催した環境省によれば、日本中の家庭で1年間に手放される衣服の量は約75万トン。このうち再資源化されるのは、わずか5%だという。消費者が買う衣服量は横ばいなのに、供給量は増えている。そりゃあ、多くの衣服が捨てられてしまうわけだ。こんな現状で「ファッション業界、そして私たち個人ができることは何か」をテーマにアツい議論が交わされた。

トークイベントでの、写真左から鎌田さん、山田大臣、長谷川さん、山浦さん

鎌田 衣食住という言葉があるように、人間は服なしでは暮らしていけない生き物です。でもいま、その服……つまりファッションが自然環境に大きな負荷をかけています。つくる際に大量のCO2を排出したり、生産量が増えすぎて買ってもすぐに手放すということが当たり前になっていたり。そういった現実に対して、企業はさまざまなアクションを起こす必要があります。今日はそんなテーマで話をしたいと思うのですが、まず皆さんは、本日どのような考えでその服を着てこられたのか。また、ふだんはどのようなポイントで服を選んでいるのか。教えてください。

山田 私が着ているシルクのコートはアップサイクル品です。以前、私が母にプレゼントした洋服を、母が着なくなってしまったので、袖やエリ、ポケットなどをリメイクしたものです。こうしてちょっとデザインを変えてみると、気分もアガるものですよ。

私はファッションとは、「自分が自分でいられるもの」だと思っています。私はこれまで、国家公務員、経営コンサルタント、ファッション業界、国会議員と職を替えてきたのですが、着たい服を自由に着られたのは、ファッション業界にいたときだけだったんです。そこから、服は自分を表現するものだと感じるようになりました。

長谷川 今日の私のファッションは、ジャケットとトップスが「クレージュ」のもの。クレージュはいま、サステナブランドへと大きく方針転換していて、これらのアイテムも、従来品より90%プラスチック成分を減らした素材をつかっているんです。ボトムスも再生素材でつくられたものです。

私はモデルでもあるので、こんなふうにお仕事のときはさまざまなお洋服を着ていますが、ふだんの私は毎日ほぼ同じスタイル。デニムにTシャツばかりです。同じものを着ていると自分のスタイルが確立してくるので、あまりほかの服が欲しいと思わなくなるんですね。それより、メイクや小物で楽しもうという感覚になってきました。

山浦 今日は弊社H&Mの、白いコーデュロイ素材のスーツを着ています。この製品は、リサイクルポリエステルを68%つかっているものです。私はふだん服を買うときも、どういう素材でできているのかをチェックしますね。

サステナビリティ・コーディネーターという立場として、少しでも多くの人にサステナブルファッションを届けたいと考えていますので、製品価格に重きを置いています。やはり手頃な値段が普及のためには大事になってくると思いますので、機能性、デザインだけでなく、値段も加味した商品展開に取り組んでいます。

鎌田 値段については、高いと買わないけれども、安いと「安かったし、まいっか」と手放しやすくなる、という課題があります。けれども、デザインがよかったり、機能性が高かったりすれば簡単には手放さないでしょうから、そこのバランスはとても重要ですよね。

――後編に続きますーー

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