風の力で街を照らす、人にも昆虫にも優しい灯り
待ったなしの環境問題に対して、世界はどのように行動しているのでしょうか。海や森の汚染問題、カーボンニュートラル、プラスチック、リデュースとリサイクルなど、さまざまな問題への国内外の最新の解決策から、未来へのヒントを見つけたいと思います。今回は、エネルギー消費や「光害」問題を考えたドイツの街路灯をご紹介。
若きプロダクトデザイナーによる
風力発電する街路灯
ドイツだけでも、街灯は年間約250万トンものCO2を排出しているという。そこで、ベルリン芸術大学の学生だったトビアス・トルベンバッハーは、大学の卒業制作で街灯のエネルギー消費や「光害」の問題に挑み、赤外線センサーで人が通るときだけ点灯し、自ら風力発電をする街灯を考案した。
光害から人だけでなく環境すべてを守るべく、昆虫にも優しい波長の光を使用し、生物多様性にも考慮する。
デザイン性の高さに加え、気候変動により批判されることもある、街路灯という都市ならではの産物を逆手に取るなど、たくさんのセオリーが詰まった〈PAPILIO〉はさまざまなアワードを受賞。
若きデザイナーによる美しいアイデアが世界で実用化される日が待ち遠しい。
●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
Text:Yumiko Nakanishi Edit:Asuka Ochi