「雪育」ってなんだ!? 雪山での自然教育で自主性と自己肯定感を得る
雪はどうして白いの? どうして冷たいの? そんな素朴な疑問を普段の生活とは異なる雪山で学ぶ「雪育(ゆきいく)」が、近年さまざまなスノーリゾートで取り入れられています。大人も子どもも一体となり、みんなが五感をつかって大自然を捉える自然教育。いち早くプログラムを採用した「星野リゾート リゾナーレトマム」の雪育ツアーに参加してきました。
朝昼はアクティビティ、夜は座学で環境問題を学ぶ
食育や旅育は聞いたことがあっても「雪育」は初耳。そんな人が多いかもしれない。ここ数年、各地のスノーリゾートでは、雪山から自然環境の大切さを学び、体を動かすことで自分の力を肯定する雪育プログラムを取り入れている。
ヨガを通して環境問題に取り組む「SHONAN BEACH YOGA」は、3年前から自然体験の旅、雪育ツアーを主宰。「星野リゾート リゾナーレトマム」を舞台に、フリースキーヤーの有馬尉亮(ありま・やすあき)、プロスノーボーダーの中山椎菜など、多彩な講師陣を迎え、エキスパートによるスキーやスノーボードの手ほどきが受けられるプログラムを実施。
さらに「雪はなぜ白くて冷たい?」や「なぜ結晶は六角形?」「たくさん積もるエリアがあるのはなぜ?」といった座学の時間も用意。雪のサイエンスを勉強することで、現代の環境問題がどんどん身近になっていく。
朝食前にはホテルのプールサイドでヨガの時間も用意。雪山でのパフォーマンスを向上させるプログラムとなっている
トマムの雪山はふだんとはまったく異なる非日常の場所だ。雄大な自然と、ダイレクトに伝わる厳しい寒さ。そして、体を自由に扱えない雪上の環境。そこでおこなうスキーやスノーボードは「曲がる」や「止まる」といった一連の動作に対する「自己判断」の連続である。体が自由を制限された状況で、前方の人が転倒した場合は「よける? 右? 左?」と、とっさの判断がすべて。
参加者はスキーが今回初めてという初心者から、毎年雪山を訪れる上級者までレベルもさまざま。個々に応じたプログラムを組んでもらえる
この「判断の繰り返し」は、できないことに対する工夫が生まれやすい。課題をクリアしたときの達成感も、ダイレクトに自分を刺激する。実際、プロの滑りを目(ま)の当たりにして、満足のいく一本が滑れたときの「自分ってすごい!」という肯定感は素晴らしかった。これはふだんの生活ではなかなか得られない。ツアーで多くの人が一緒に行動しているぶん、そのたびに周囲から褒められるのもうれしい。一体感も感じられる。
最終日には、自分の滑りを披露する大会も用意されている。徒競走で順位をつけない小学校が増えてきたが、やはりスポーツの切磋琢磨は子どもにも大人にも大切だと実感。勝負の厳しさを体験できたことで、次の目標につながる。
協賛の「cotopaxi」や「Hydro Flask」といった環境問題に取り組むメーカーから大会賞品がプレゼント
次回の雪育ツアーは2024年3月15日〜17日に星野リゾート リゾナーレトマムで開催予定。日中に雪山で体を思う存分動かして、夜は環境の座学を体験することで、自然の大切さもより吸収しやすい。この冬、雪山で自主性と肯定感を育む雪育に参加してはいかがだろう?
星野リゾート リゾナーレトマム
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/risonaretomamu/
Photo & Text & Edit:Tokiko Nitta