冬の水辺は大にぎわい! カワイイ渡り鳥に会いに行こう【バードウォッチングウィーク・後編】
鳥の姿が見つけやすくなるこの季節、“鳥見”に出かけてみませんか? 11月1日からの1週間は「バードウォッチングウィーク」。秋~冬に渡ってくる、カワイイ渡り鳥たちを紹介します。
カモがどんぐりを食べる!? 意外な発見があるカモ
カモの仲間など、大きくて見つけやすい渡り鳥で水辺がにぎわう秋から冬は、絶好の「鳥見」シーズン。日本野鳥の会をはじめとした自然保護団体や自治体では、毎年11月1日~7日の「バードウォッチングウィーク(探鳥週間)」にイベントを企画するなどして、「野鳥観察を楽しもう」と呼びかけている。
そこで、公園の池や都市部の川など、身近な水辺でこの季節に出会いが期待できる、カワイイ渡り鳥たちを紹介したい。
鳥見をしていると、「あのカモ、どんぐり食べてる!」とか、「毎年ここに集まるな~」なんてことに気づくことがある。渡り鳥を守るためには、“エサとなる生き物”や“渡来地”を守る必要があり、それが明らかになるバードウォッチングは、保護活動のはじめの一歩ともいえるのだ。
ちっちゃくてもオトナです! カラフルな「コガモ」
オスのコガモ。カラフルなルックスが目を引く。ちなみに、メスの外見はまったく異なる
この記事のトップ写真のように、別の種類のカモたちが一緒に集まっている光景はよく見られる。そんな集団のなかに、ひときわ小さな姿があったら、コガモかもしれない。子どものカモではなく、オトナの小さなカモ。具体的にはハトぐらいのサイズだ。
オスの頭は栗色と緑のツートンカラーで、プロレスのマスクマンのよう。おまけにお尻はクリーム色のパンツをはいているみたいで、とってもカラフル。数羽の群れでいることが多く、そのなかに、同じような大きさで地味~な色合いのコガモが混じっていたら、メスの可能性が高い。
多摩川や鶴見川といった都市部の川でふつうに見られるほか、公園の池などにも飛来。水面で見つからなければ、草の茂った水際を探してみると、じっとしていることがある。コガモがいなかったとしても、ほかのカモが見つかるカモ! ちなみに、この記事のトップの写真に映っているのは、「マガモ」と「ヨシガモ」という種類だ。
海なし県へも飛んでいく! アクティブな海鳥「ユリカモメ」
下写真の、ハトほどの大きさのスマートなカモメも渡り鳥だ。「東京都の鳥」に指定されていることもあり、「ユリカモメ」というその名を聞いたことのある方も多いのではないだろうか。
雑食性であまりひとを恐れないという、カラスに似たところもあるユリカモメ。その見た目でかわいがられることも多いみたい。あざとい(笑)!?
赤いくちばしと足がチャームポイントで、美白のおすまし顔は、春になると“ガングロ”に変ぼうするのがおもしろい。十数羽以上の大きな群れでいることが多く、写真のように公園の池の柵などに並んで止まっていることも多い。くちばしと足が黄色い子が混じっていたら、それは若鳥だ。
カモメの仲間なので、海がとっても似合うユリカモメ。山下公園や大さん橋など、横浜港の観光スポットで遭遇するとうれしくなってしまう。その一方、海なし県へも飛んでいく行動力の持ち主で、たとえば埼玉県なら、川越市の伊佐沼やさいたま市の芝川第一調節池などで出会ったことがある。
まるで何かのキャラクター!? 長~いくちばしの「タシギ」
コガモやユリカモメに比べて小さく、地味で、かくれんぼ上手なこの渡り鳥は、かなり見つけづらい。それだけに、発見したときには興奮してしまう。タシギという、シギの仲間だ。
小顔に不釣り合いな長~いくちばしがユーモラスで、まるで何かのキャラクターのよう。鳥の「全長」はくちばしの先から尾羽の先までを測って出すが、タシギの全長は約27cmで、その3分の1ほどをくちばしが占めている。しばらく観察すれば、そのくちばしを泥の中に突っ込んで、エサを探すシーンが見られるかも。
水面に出ているところ。草に隠れるように潜み、首を曲げ、長いくちばしを背中にしまうようにしてじっとしていることも多く、探すのが難しい
田んぼの鴫(しぎ)と書いてタシギだが、都市部の川や公園の池でも見られる。たとえば、日産スタジアムがある、神奈川県の新横浜公園内の池にも飛来する。遊歩道の向こう岸にいる場合が多く、距離もあってなかなか見つけられないが、園内の水路で間近に観察できるチャンスもある。
緑地の小鳥たちとも出会えればラッキー!
秋~冬は木の葉が落ちて、樹上の小鳥たちの姿が見やすくなる
水辺での鳥見が楽しくなったら、木の葉の落ちた樹上や芝生広場など、緑地の小鳥も探してみよう。前編では、秋~冬に出会いが期待できる身近な小鳥を紹介している。「家のまわりに、こんなにカワイイ小鳥がいたなんて!」と驚く、感動の出会いが待っているはずだ。
text:櫛田理子 photo:吉村冬彦
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