アウトドア初心者も楽しめる! 畜産王国・宮崎グルメも!「スノーピーク都城キャンプフィールド」
4月26日、宮崎県第2の都市・都城市にオープンした「スノーピーク都城キャンプフィールド」。「日本の滝百選」に選ばれた名瀑や世界最大級の甌穴(おうけつ)群がある、関之尾公園内のスノーピーク直営キャンプフィールドです。自然が豊かなだけでなく、新鮮な野菜や黒豚、宮崎牛に地鶏などの地元グルメが味わえるレストランも話題。キャンプデビューにぴったりのモバイルハウス「住箱-JYUBAKO-」に、さっそく宿泊してきました。【後編】
時間によって移りゆく景色と川の音を味わう
都城の市街地から約12km、関之尾公園内にある「スノーピーク都城キャンプフィールド」。全国で11拠点目、南九州では初となるスノーピーク直営のキャンプフィールドだ。霧島連山に囲まれた雄大な自然が広がり、公園内には日本の滝百選に選ばれた「関之尾滝」や、国指定の天然記念物「関之尾甌穴群(おうけつぐん)」がある。甌穴とは、川床の岩にできる丸いくぼみのこと。霧島連山からの清水が岩を流れていくようすは何とも美しい。
関之尾公園リニューアルオープンの一環として、キャンプフィールドもオープン。オープニングセレモニーには都城市の池田宜永市長やスノーピークの高井文寛副社長らが出席した。ご当地キャラ「ぼんちくん」も登場!
関之尾公園は市街地から車で20分ほどだが、驚くほど自然が豊か。もともと滝や甌穴郡などの散策路があり、プールやテニスコート、バーベキュー場などが整備されていたが、今回のリニューアルでは滝を望む展望台などが新設され、キャンプフィールドが登場。霧島からの冷たい井戸水を活用したプールも美しくなり、この夏から再開放される。
長さ600m、最大幅80mと世界レベルのスケールを誇る関之尾甌穴群。小さな石や岩の破片が水の流れで回転し、川床が丸く削られてできた天然記念物だ
関之尾公園は、季節や時間帯によって滝や川の水量が変化し、景色も移ろっていくという。つまり、日帰りでは味わい尽くせない魅力があるのだ。キャンプで1泊2日、ここに身を置けば、この公園のすべてをゆっくり楽しめるだろう。
公園内のどこにいても川や関之尾滝の水音が聞こえ、とても癒される。キャンプサイトの真ん中には田畑の用水路につながる小川が流れているので、水に恵まれた都城の魅力をしっかり体感できるのだ。ちなみに、この銘水と、この水で育ったサツマイモで仕込まれているのが、同地の名産、芋焼酎だ。
キャンプフィールドの中心となる管理棟は宮崎県産の杉でできている。ストアには焼酎、和牛などの地元名産のほか、キャンプ用品やここでしか買えないグッズなど、アウトドアをより楽しくするアイテムが並ぶ。地産地消がモットーのレストランも!
施設の主役は建物ではなく自然。管理棟にはデッキチェアが配された広縁(ひろえん)があり、そこから庄内川と甌穴群を望める。そう、ここでは「ボーッとするのに忙しい」のだ!
スノーピーク都城キャンプフィールドは、トイレやシャワーやキッチンなどが完備されたコテージ、ふかふかベッドのあるモバイルハウス「住箱」、オートキャンプと、スタイルや気分で選べる宿泊施設のバリエーションが特徴。テントを持参しなくても、キャンプ経験がゼロでも、気軽にアウトドアに挑戦できるのだ。コテージには庄内川と甌穴を一望できるテラスがあり、自然とつながる宿泊体験が可能。最初はコテージ、2回目は住箱、その次はテントに挑戦と、少しずつ自然に近づいていっても楽しそうだ。
モバイルハウスの住箱は、スノーピークのキャンプフィールドでは超注目の存在。都城には5棟設置されており、庄内川の目の前にテントサイトやデッキも設えてある。「パパと子どもはテントで寝たい! ママは屋内希望!」というファミリー、住箱で寝たいアウトドア初心者&テントに泊まりたいベテラン、なんていう人たちにも超オススメだ。
電源、水道が完備された住箱にはエアコン、ソファ、快適なベッドも。世界的な建築家、隈研吾氏とスノーピークが共同開発したモバイルハウスだけあって、思いきりくつろげる。このキャンプフィールドには、無料Wi-Fiまで!
住箱併設デッキからの眺め。住箱の大きな窓越しに、ソファやベッドに腰掛けたまま庄内川の甌穴をぼ〜っと見ることも可能
至れり尽くせりの住箱だが、ここ都城では、あえてトイレつきではないモデルを採用(サニタリー棟がすぐ近くにあり、清潔なトイレやシャワーブースが自由につかえる)。その理由は、夜、外に出たとき、日中とは違う自然の美しさに気づいてほしいからだという。月明かりに照らされた川、流れ落ちる水の音、見事な星空、虫の声……どれも都会では味わえないものだ。住箱は強い風が吹くと揺れる。こうしてテントに近い感覚を味わうことで、自然への畏怖(いふ)も感じられるのだ。
これがキャンプ場の料理!? オシャレでおいしい地産地消グルメ
都城市は牛、豚は日本一、鶏は国内第2位の産出額を誇るうえに、農林水産省による「令和4年市町村別農業産出額(推計)」で4年連続全国1位を獲得している。それを存分に味わえるのが、管理棟にあるレストラン「Blue Bird dining」だ。「生産者はみんな友だち」と笑う店長の松原光彦さんは、アウトドアコーディネーターでもある生粋の都城っ子。食材はもちろん、店内で流れる音楽も宮崎県出身アーティストのものばかりだ。
食事は、ベビーリーフや小松菜、ゴボウ、トマトなど、地元で採れる旬の野菜を中心に組み立てている。朝食には焼きたてのクロワッサン、ランチでは新鮮野菜のサラダバーを味わっている間に、品評会でグランドチャンピオンになった近隣生産者による観音池ポークや特選和牛などがグリルされ、ディナーでは地元産のクラフトビールや焼酎ハイボール、カクテルが出る。まさに、貴重な食体験だ。
雛豆のサラダ、トマトのコンポート、ラタトゥイユ、新鮮サラダにすっきりおいしい銘水仕込みのクラフトビール! キャンプ場ではなく、一流レストランにいるかのような気分になる
噛むほどに旨みと肉汁があふれる「特選牛のローストビーフ」
朝食メニューの「クロックムッシュ」。温泉卵をのせて、クロックマダムにして食べるのがオススメ
同キャンプフィールドの計画は、2019年にスタート。自治体とスノーピークが協働し、構想からオープンまで6年かかったという。開園セレモニーに出席したスノーピークの高井副社長は、「甌穴と滝をはじめ、豊かな自然環境が大きな魅力。都城市には、都城茶や畜産物など、多くの名産もあります。そんな施設に携われて光栄に思うと同時に、運営者として身の引き締まる思い。地方資源を生かした地方再建に、今後も力を注ぎたい」と語っていた。
関之尾公園は、これまでもずっと、地元の人が楽しんできた“地域の宝”だった。それが今回のリニューアルで、いろいろな楽しみ方ができる開かれたフィールドに生まれ変わった。周辺には牧場や公園があり、見どころもおいしいものもいっぱい! 地域と企業がタッグを組んだwin winのキャンプフィールドは、最高のアウトドア体験を提供してくれるはずだ。
Text & Photo:萩原はるな
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