料理家・山戸ユカの「フードロスを防ぐ、端っこ野菜つかい切りレシピ」
ふだん、無意識に捨ててしまっている野菜の根や茎。それらがどんな食感でどんな味なのか知っていますか? 「どうせおいしくないでしょ……」と言う前に、だまされたと思ってぜひ一度、食べてみてください。これまで知らなかった、あの野菜の食感、風味。捨てていた野菜たちの新しい魅力に出合えるはずです。フードロスを減らすために、楽しく、かしこく、おいしい食卓をつくるヒントを、料理家の山戸ユカさんの暮らしから学びます。
「意外においしい!」を知ろう
にんじんのヘタ、えのきの軸、ブロッコリーの茎、キャベツの芯と外側の硬い葉、セロリの根元……。ゴミ箱に直行しがちなロス野菜の代表選手たちも、少しの工夫でおいしい料理に変身します。野菜のおいしさは見た目じゃない! それをぜひ実感してみてください。
ロス野菜のポタージュ
◎材料(4人分)
玉ねぎ…1個(ざく切り)
じゃがいも…1個(1cm角)
ブロッコリーの芯…1個分
にんじんのヘタ…1本分
セロリの根元…1本分
キャベツの外側の葉…2枚
えのきの軸…1袋分
昆布…3cm
オリーブオイル…大さじ1
塩…小さじ1
水…1カップ
黒こしょう…少々
クルトン…好みで
◎つくり方
①厚手の鍋にオリーブオイルを熱し、小さく切った野菜とえのきを加えてしんなりするまでしっかり炒める。
②①に水、昆布、塩を加え、沸騰したら弱火にし、蓋をして30分ほど煮る。
③野菜が柔らかくなったらミキサーにかける。
④最後に塩(分量外)で味をととのえ、皿によそう。オリーブオイル(分量外)をたらして黒こしょうをふる。クルトンがあればお好みで加えても。
<MEMO>
玉ねぎは味のベースになるので入れたほうがおいしく仕上がります。セロリやねぎなど香りの強い野菜は入れすぎに注意。しいたけの軸や大根の皮なども相性よし。
ゴーヤーの照り焼き
◎材料(つくりやすい量)
ゴーヤー…1本(5mmの輪切り)
小麦粉…適量
塩…少々
油…大さじ1~2
A
きび砂糖…小さじ1/2
ナンプラー…小さじ1
醤油…小さじ1/2
酒…小さじ1
水…大さじ1
花椒粉…少々
◎つくり方
①Aの材料をよく混ぜてたれをつくる。
②ゴーヤーに塩をふって5分ほどおき、小麦粉をはたく。
③油を熱したフライパンに②のゴーヤーを並べ、中火でじっくり焼く。
④両面がきつね色になったら①のたれをまわしかけ、よくからめる。
<MEMO>
ゴーヤーはワタを取らずにそのまま焼く。ワタに苦味はなく、フワフワの食感が新鮮。甘辛いたれを吸って、果肉部分の苦味とよく合います。ビール泥棒のおつまみです!
長ねぎの香味だれ
◎材料(つくりやすい量)
長ねぎの青いところ…2本分(みじん切り)
パクチー…1束(みじん切り)
にんにく…1片(みじん切り)
しょうが…1かけ(みじん切り)
赤唐辛子…1本(種をとって小口切り)
ごま油…小さじ1
醤油…大さじ2
酒…大さじ1
きび砂糖…大さじ1/2
米酢…大さじ1
◎つくり方
①小鍋にごま油を入れて火にかけ、長ねぎ、パクチー、にんにく、しょうがを加えて炒める。
②長ねぎがしんなりしてきたら残りの材料を加える。
③沸騰したら弱火にし、2~3分加熱したら火を止める。
④粗熱が取れたら清潔な瓶などに入れ、冷蔵庫で保存する。(冷蔵庫で1ヵ月保存可能)
<MEMO>
今回はサーモンのムニエルのソースにしましたが、炒め物や鶏の唐揚げのたれ、冷や奴やカリカリに焼いた厚揚げのトッピングなど、和洋中どんな料理とも相性よし。
チキンの柑橘煮
◎材料(2人分)
鶏もも肉…1枚(ひと口大に切る)
夏みかんなどの柑橘の皮…1/2個分
玉ねぎ…1/2個(スライス)
にんにく…1片(スライス)
オリーブオイル…小さじ1
塩・こしょう…各少々
水…1カップ
醤油…大さじ1/2
クレソン…好みで
◎つくり方
①柑橘の皮は水から入れ、2~3回水を替えながら苦みがやわらぐまで茹でる。
②鶏肉に軽く塩・こしょうをして5分ほどおく。厚手の鍋にオリーブオイルを熱し、鶏肉を並べて表面がきつね色になるまで焼く。
③②ににんにくと玉ねぎを加えて炒め合わせ、玉ねぎがしんなりしたら水を加える。沸騰したら、適当な大きさにスライスした①の柑橘の皮を加える。
④蓋をして弱めの中火で15分ほど煮る。鶏肉が柔らかくなってきたら醤油を加え、蓋を外して煮汁が少なくなるまで煮る。皿に盛り、好みでクレソンをかざる。
ねぎの根っこフリッター
◎材料(つくりやすい量)
万能ねぎの根元…1袋分
ベーキングパウダー…小さじ1/4
水…適量
黒こしょう…少々
揚げ油…適量
A
小麦粉…大さじ1
片栗粉…大さじ1
塩…少々
◎つくり方
①ボウルにAを入れてよく混ぜる。
②万能ねぎの根元に①の粉をまぶし、軽くはたく。
③残った粉にベーキングパウダーを加え、水を少しずつ加えてクレープ生地くらいの固さの衣をつくる。
④②のねぎを③の衣にくぐらせ、180℃の油でほんのりきつね色になるまで揚げる。
⑤油を切って皿に盛り、黒こしょうをふる。
<MEMO>
万能ねぎや青ねぎの根元3cmくらいを使います。根の部分も揚げるとカリカリしておいしいので捨てないで。ねぎのやさしい甘み、根元のほくっとした食感がいい。
セロリの葉のバターペペロンチーノ
◎材料(1人分)
セロリの葉…1~2本分(みじん切り)
にんにく…大1片(みじん切り)
赤唐辛子…1本(種をとる)
オリーブオイル…小さじ2
バター…小さじ1
塩…少々
黒こしょう…少々
スパゲッティ…80g
◎つくり方
①大きめの鍋に塩(分量外)を適量加えたお湯を沸かす。
②フライパンにオリーブオイルとにんにく、赤唐辛子を入れて火にかける。
③油が温まってきたら弱火にし、にんにくがほんのり色づいてきたらセロリの葉の半量を加えてじっくり炒める。
④スパゲッティを茹で始める。袋の表示の茹で上がり時間3分前になったら③のフライパンに茹で汁をお玉1杯分加え、煮立たせてソースをつくる。
⑤茹で上がり時間の1分前になったらスパゲッティを④に加え、お玉半量分の水(材料外)を加えて煮る。
⑥ソースの水分が少なくなってきたらバターと残りのセロリの葉を加え、しっかりと混ぜ合わせて乳化させる。最後に塩と黒こしょうで味をととのえる。
PROFILE
山戸ユカ やまと・ゆか
料理家。山梨県北杜市で季節の野菜やローカル食材をつかったレストラン「DILL eat, life.」を夫と営む。添加物をつかわない手づくりのアウトドア用トレイルフード〈The Small Twist trailfoods〉の製造・販売もおこなう。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
Photo:Tetsuya Ito Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子