いますぐできる防災対策! 事前に備えたい「非常用持ち出し袋&備蓄品」チェックリスト
今後、ますます増えると予想される大雨や台風。でも、それらによる被害は、しっかりとした備えで防げます。風水害から命を守るために知っておきたい心とモノの備えを、前回の記事に引き続き、ご紹介します。
11:非常用持ち出し袋を用意
ハザードマップで自宅周辺のリスクが低くても、想定を超えた状況に陥ってしまうことがあるのが自然災害。急に自宅外に立ち退き避難が必要になった場合でもすぐ対応できるよう、非常用の持ち出し袋を用意しておきましょう(一般的な備えは下記リストを参照)。準備ができたら、実際に背負い、避難場所までの道を歩いてみてください。風雨のなか、それを背負って走れるか? 想像したうえで内容物を取捨選択することも忘れずに。
非常用持ち出し袋チェックリスト(大人1人あたり)
1人につきひとつ用意しましょう。子どもも、ムリのない範囲で自分のものは自分で持てるようにします。
飲料水:1~2リットル(持てるだけ)
非常食:1日分(缶詰やシリアルバー、アルファ米など、すぐに食べられるもの。持てるなら3日分)
非常用トイレ:5~6個(タブレットタイプなどコンパクトなもの)
口腔ケア用ウェットシート:20~30枚入りを2パック
クッションマット・エアマット:1個(キャンプ用が便利)
寝袋:1個(キャンプ用のコンパクトになるもの)
アイマスク:1個
耳栓:適宜
マスク:多めに
スリッパ:1足(厚底のもの)
LEDランタン:1個(コンパクトタイプ)
新聞紙:朝刊1日分
ポリ袋:大小各5~6枚
ラップ:1本
軍手・革手袋:1組
下着・靴下:2~3日分
救急セット、常備薬
印鑑、通帳と身分証明証のコピー
現金:1000円札と小銭で2万~3万円
油性マジック:1本
トイレットペーパー:1個
お薬手帳のコピー
箸、フォーク、スプーンなど:各1セット
タオル:1枚
つかい捨てカイロ:2~3個
モバイルバッテリー(電池交換式):1個
エマージェンシーブランケット:1枚
ホイッスル:1個
ヘッドライト:1個
携帯ラジオ:1個
輪ゴム:適宜
乾電池:適宜
コンタクト用品:適宜
体ふき用ウェットシート
除菌グッズ:適宜
12:避難時の服装をイメージ
非常用持ち出し袋と一緒に用意しておきたいのが、立ち退き避難時に身に着けるもの。雨具はできれば性能がよく動きやすい登山用のレインウェア(上下セパレート)。両手をあけた方が安全なので、ライトは頭に装着するヘッドライトを。長靴は水が入ると歩きづらくなるため、足元はソールの厚い運動靴で。道が冠水している場合は濁った水で足元が見えず、側溝などに落ちる危険があるので、長傘をツエ替わりにして歩きます(傘はささない)。ヘルメットや革手袋などがあると、地震の際にも役立ちます。
13:集合住宅でのコミュニケーション
マンションの低層階で浸水のリスクがある場合、一時的に高層階の人の家や共有スペースに身を寄せるという方法もあります。日頃から同じマンションに住んでいる人と挨拶したり、防災について話をしたりしておくことも、いざというとき、身を助けます。また災害時に誰が指揮をとるのか、住民同士で話し合っておくことも大切。戸建てに住んでいる場合は、周囲に一時避難できる高い建物があるかどうかチェックしておくといいでしょう。
14:在宅避難をシミュレーション
ハザードマップで風水害のリスクがないと判断できた場合は、自宅で安全を確保する「在宅避難」が推奨されています。その場合、停電や断水、食料不足などのさまざまな問題に対して自力で対処することが求められるので、日頃からしっかりと備蓄をしておくことが欠かせません。1週間外に出られず、電気もガスも水道もつかえないという状況を想像し、何が本当に必要かを考え、準備しましょう(一般的な備えは下記リストを参照)。
自宅用備蓄品チェックリスト(4人家族の場合)
家族の人数によって調整を。しまい込んでしまうと定期的なチェックがしづらく、かつ緊急時に取り出せなくなるので、手の届きやすい場所に置いておきましょう。
非常食:4日分(日常的なストックを合わせて7日分)
飲料水:1人1日2リットル×7日分
体拭き用ウェットシート:1人30枚
非常用トイレ:1人17個(1週間分/自宅用には給水凝固タイプがいい)
携帯ラジオ:1台
口腔ケア用ウェットシート:100枚入り×2個
マスク:1人30枚
新聞紙:朝刊2ヵ月分
ポリ袋:1人あたり大小各25枚
ラップ・アルミホイル:1人2本
LEDランタン:1部屋につき1個
ヘッドライト:1人1個
救急箱:1セット
レインウェア上下:1人1着
クーラーボックス:1~2台
保冷剤(大):1~2個
カセットコンロ:1台
ガスボンベ:15~20本
乾電池:各機器3回交換分
モバイルバッテリー(電池交換式):1人1個
軍手・革手袋:1人1組
布ガムテープ:1~2個
生理用品:+1ヵ月分
おむつなど赤ちゃん用品:+1ヵ月分
ペット用品:+1ヵ月分
ヘルメット:1人1個
常備薬:+1ヵ月分
つかい捨てカイロ:適宜
つかい捨てコンタクトレンズ:+1ヵ月分
除菌用品:適宜
トイレットペーパー・ティッシュペーパー:適宜
給水用ポリタンク:1個
小型浄水器:1個
現金:1000円札と小銭で3万円ほど
中型ソーラーパネル:1個
15:食料を備蓄する
自宅に備蓄する食料は1週間分が目安。災害発生から3日目までは日常的に冷蔵・冷凍していた食品や買い置きのレトルト食材などを食べます。まずは冷蔵品から食べ、冷凍品は冷蔵室に移しておくと、停電時でも冷蔵庫の冷気を保つ助けになります。買い置き食料が尽きたら備蓄食料を。この場合、備蓄するのは4日分です。備蓄食品は定期的に食べ、その分を補充する「ローリングストック法」を実践すると、賞味期限切れを防げます。
16:水を備蓄する
水の備蓄も1週間分が目安。飲料水と料理に使う水は1人1日最低2リットルで計算を。2リットルのペットボトル7本が1人分と覚えておくと便利です。もしもの時のためにアウトドア用など小型の浄水器を用意しておくと、より安心です。風水害は気象予報などである程度リスクの予測ができるので、停電の危険が考えられるときは事前にポリタンクや風呂などに水を溜めて、万が一の際の生活用水の確保をしておくのもいいでしょう。
17:水の調達方法を考える
断水した場合、自衛隊の給水車や応急給水拠点で水が配られます。応急給水拠点は水道局のホームページから確認できるので、自宅から近い拠点の確認を。水を運ぶためのポリタンクの用意も忘れずに。戸建ての場合は台車で、マンションなど階段を使って運搬する場合は登山リュックの中に大型のポリ袋を二重にして入れ、そこに水を溜めて運ぶという手も。大量の水を自宅まで運ぶ状況を想定し、適切な用具を準備しておきましょう。
18:衛生用品をストックする
マスクや消毒用品、トイレットペーパーや生理用品などの衛生関連のアイテムは、日常的に使用頻度が高いもの。災害用に備蓄しておくのはもちろんいいけれど、日頃から最低限必要な量にプラス1ヵ月分を買い置きしておき、つかった分だけその都度補充するローリングストック法を採用すると、日常的に残量を確認でき、もしものときの「ない!」を防げます。その他、ラップやアルミホイル、ポリ袋なども、多めに買い置きしておくと安心です。
19:灯りの備えをする
停電で部屋が真っ暗になると恐怖や不安が募るもの。部屋ごとにひとつずつLEDランタンがあるといい。モデルによって明るさや点灯時間が異なるので、部屋を十分に明るくできる光量のあるものを。電池とUSB充電の双方を使えるモデルなら、電池がなくなってもソーラーパネルなどをつかって充電できて、より安心です。夜間のトイレなど、移動する際のヘッドライトもお忘れなく(非常用持ち出し袋にあるものをつかってもよい)。
20:非常用トイレを準備する
下水道の損傷や停電のためにトイレがつかえなくなることを想定し、最低でも1週間分の非常用携帯トイレの準備は必須。携帯トイレとは自宅のトイレに袋をセットし、そこにタブレットや凝固剤、給水シートを入れて排泄物をまとめ、袋ごと取り出すというもの。いろいろなタイプがあるので、試してから備蓄しましょう。災害時はごみ収集が停止することもあるので、排泄ごみを保管しておく密閉度の高いごみ箱や衣装ケースがあると便利。
●情報は、『FRaU SDGs MOOK 話そう、気候危機のこと。』発売時点のものです(2022年10月)。
※参考文献:『“今”からできる! 日常防災』(池田書店)、『保存版 新しい防災のきほん事典』(朝日新聞出版)
Illustration:Tadashi Nishiwaki Text & Edit:Yuriko Kobayashi Supervision:Hirokazu Nagata
Composition:林愛子