仕事とバカンスを叶えるワーケーションを初めてやってみた【雪国編】
Wi-Fiさえあればどこででも働けるというデジタルノマドが増えているなか、「通勤や職場でのストレスを減らし、仕事に集中できる」と噂のワーケーション。コロナ禍に、ぐんと注目度が上がりました。
「滞在先で多様な価値観に触れることで、自身も成長できる。オフの時間のつかい方も変わり、自ずと人生は豊かになる」。そんな効果を体感したくて、イラストレーター・そで山かほ子さんが、多拠点サービスを提供しているLivingAnywhere Commonsの施設を体験取材しました。
在宅勤務では会えない人々とつながれる
「LivingAnywhere Commons 会津磐梯」
ワーケーションをWork+VacationではなくWork+Locationと捉え、地方創生と結びつけて提案しているのが、LivingAnywhere Commons。
「あらゆるLIFEをFULLに」というコンセプトを掲げる「LIFULL」が、場所にしばられない働き方、生き方を目指して運営する共同運営型コミュニティだ。
その拠点づくりには、廃校や旧庁舎、廃旅館といった大型の遊休施設を活用している。2033年には30%を超えるといわれる日本の空き家率だが、とくに大型の場合、民間活用が難しく、放置されていることが多い。維持するにも取り壊すにも莫大な費用がかかるため、各自治体の悩みのタネとなっている。
LivingAnywhere Commonsはそれを自由な生き方を手に入れるチャンスと考えた。自然環境や地域特性を活かした民泊施設として再生し、コミュニティ型の住拠点とすることにしたのだ。
スペースが広い分、企業の研修合宿やオフサイトミーティングなどに利用もできる。運営にあたっては、地元の行政や民間事業者と連携し、全国の各拠点にコミュニティマネージャーを配置している。地域をよく知る人がハブとなることで、地域との交流や共創が生まれやすい。
会津磐梯の場合、居室+共有空間という施設構成で、ミーティングルームや広いシェアキッチンもある。寝食を共にすることで、利用者同士の交流も深まっていく。
地域住民にとっても開かれた場とすることで、利用者との交流の場になる。
「ここの目的のひとつが、いろいろな人が交わるということなので、ただ漫画を読みに来たり、地下室にあるピアノを弾きに来たりというだけでもいいんです。利用者同士がつながってくれるだけで価値があるから」とコミュニティマネージャーの蛯名有里さん。ワンデーカフェなどのイベントも開催しているそう。
職場や在宅勤務では出会わないような、さまざまな職種や年齢層の人々と自然とつながることは、人生をより豊かにし、結果的に仕事にもよい影響となる。実際、ここでの出会いをきっかけに法人が設立されたりと、いくつかの事業も生まれているそうだ。
PROFILE
そで山かほ子
1978年生まれ、東京都在住。安西水丸塾受講。雑誌や書籍などのイラストレーションを中心に活躍中。旅先や日常で出会ったものや人を、アクリル絵の具をたっぷりつかって描いた作品や、独特のタッチで描く線画が人気。近年、プライムウッドのカットワークのプロダクトも手がけている。
●情報は、FRaU SDGsMOOK WORK発売時点のものです(2021年4月)。
Photo:Satoko Imazu Illustration:Kahoko Sodeyama Edit & Text:Shiori Fujii
Composition:林愛子