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細かい線画、ポスカでカラフルに…唯一無二の感性「YELLOW」のアウトサイダー・アートに浸る
細かい線画、ポスカでカラフルに…唯一無二の感性「YELLOW」のアウトサイダー・アートに浸る
FEATURE

細かい線画、ポスカでカラフルに…唯一無二の感性「YELLOW」のアウトサイダー・アートに浸る

いわゆる「美術」の外にいて、創作し続ける人がいます。誰かの、何かのためでなく、沸き立つ表現。魂があふれ出るような心を揺さぶる作品と、そのつくり手たちを訪ねました。今回のスポットは、「YELLOW」です。

アウトサイダー・アートって?

既存のアートに対し「アウトサイド」とされる、美術教育を受けていない人による、独自の芸術活動のこと。障がいや生きづらさを抱える人の作品でも知られるが、身近な日常で、刑務所で、あるいはどこかで人知れず、さまざまな表現が生まれている。独創的で自由で、これこそ創作の真髄と感じられるような、魂を燃やす作品たちだ。

古谷吉倫

1993年生まれ。2012年より魚と車と人をモチーフに、画面全体を線で埋めるような作品を描く。制作当初は図形を反復した模様のようなパターンが特徴的だったが、最近は魚の上に人、魚の上に魚などを幾重にも重ねて描くため、画面が塗りつぶされ、より抽象的なイメージへと進化している。画材は主に、好みの黒のボールペンと紺色のペンを使用。それぞれの作品の始まりと終わりは、すべて本人が決めている。

プライベートでは、水族館やアクアショップなどの魚が見られるところが好きで行ったり、施設にある魚の図鑑を眺める時間も多い。もの静かで、本を読む合間に気が向くとアトリエに赴いている。寿司が好物というので職員が好きなネタを尋ねたところ、ハンバーグだったというエピソードも。

YOU

1987年生まれ。家で携帯電話やギター、乗り物や食べ物の絵を描いていた延長で、2011年から創作活動を始める。主な題材は、B級グルメ雑誌。描くものを決めてイメージをインプットした後は、雑誌の写真に戻ることはほぼなく、下描きもなしにポスカで一気に描き進める。

ランダムに部分部分を再現し、最終的につながった一枚絵に仕上げる様は見事。色も記憶と直感で塗りつぶしていく。2年前、飲食店を元気にするプロジェクトで展示をして以降、食べて試してから描いたりと、より作品に意欲的に。施設では駐車場と玄関が見える席にいて、来客があると誰よりも早くスリッパを出しに行くので、よく職員と間違われる。ダンスが得意で、ヤンキーや改造バイクも好き。外でエンジンをふかす車は見逃さない。

YELLOW

アート活動と作業活動(施設外就労)を2本柱に、2009年開所。20年には、大阪の泉佐野市にカフェギャラリー〈家でのこづち〉をオープン。〈YELLOW〉で活動する作家の作品を楽しみながら、本格的な手打ちそばなどが味わえるランチも。施設は現在24名が利用、その半数以上が創作活動をしている。大阪府泉佐野市りんくう往来南5-25 www.big-advance.site/s/145/1681

●情報は、FRaU2023年8月号発売時点のものです。

Text & Edit:Asuka Ochi Composition:林愛子

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