ホルモンうどんにスジ肉、大動脈まで!「フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山」を拠点に1000年の牛肉文化を堪能しよう
その土地土地の特産品やご当地グルメが集結し、旅行者はもちろん地域の人々も集う「道の駅」。「旅の途中に見つけたら、必ず寄る!」という人も多いでしょう。そんな全国の道の駅に近接し、新しい旅の楽しみ方を提案しているのが「フェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅ホテル」です。ここを拠点にした、観光客に向けた“よそゆき顔”ではない、土地の素顔の魅力に触れられる旅をシリーズでご紹介。第1回は、岡山県北部にある「道の駅 久米の里」に近接した、「フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山」です。
あのトップシンガーの実家が“観光名所”
県北の中心都市として、古くから発展してきた岡山県津山市。名所や旧跡も多く残されており、城下町、宿場町としての面影を伝えてきた。ちなみにB’z稲葉浩志の出身地でもあり、彼の実家「イナバ化粧品」は全国から多くのファンが訪れる「聖地」でもある。
このエリアで外せないのが、独自の食文化をバックボーンに栄えたご当地グルメ。とくに牛肉料理は必食だ。松阪牛でも神戸牛でもなく、なんで岡山で牛肉なの? と意外に思う人も多いだろう。実はここ津山は、いにしえより農耕や輸送につかわれる牛の市が開かれており、肉食が禁じられていた江戸時代でも、近江彦根藩(滋賀県)と並んで牛肉食が認められていたのだ。ただ、さすがに他の地域への手前、“津山では牛を薬として食べているのだ”として、牛食を「養生(ようじょう)食い」と呼んでいたという。さらにこのまちには食肉処理場もあったため、内臓(ホルモン)やスジ肉なども余さずつかい切る、独自の肉文化が花開いている。
「お好み焼き よしむら」の「ホルモンうどん」「ホルモンうどんオムレツ」。後者はしょうゆ味のホルモンうどんを卵で包んだ、同店のオリジナルメニューだ
B級グルメグランプリも獲得した「ホルモンうどん」は、新鮮な牛ホルモンをつかった味噌味の焼きうどん。市内の50軒以上の飲食店で提供されており、それぞれ自家製のタレを使用し味を競っている。行列の絶えない人気店「お好み焼き よしむら」のホルモンうどんは、プリプリのホルモンにキャベツ、ニラ、モヤシなどの野菜を合わせ、味噌ベースのタレで仕上げた濃厚な味わい。卵に包まれたホルモンうどんオムレツは、カツオブシが香るしょうゆダレがベースだ。どちらも食べ応え満点! 他にも「ホルモンそば」や「ホルモン炒飯」「そばめし」など魅力的なメニューが。おなかがいっぱいだったので今回は断念したが、再訪を心に誓いつつ店を後にした。
「よめなかせ」と呼ばれるほど美味な大動脈
津山市内には“ぼたん寺”として知られる清眼寺や通称あじさい寺・長法寺、古い街並みが残る城東町エリアがあり、散策にぴったり。なかでも津山城は日本三大平山城のひとつに数えられ、同市を代表する観光名所となっている。津山盆地が一望できる名城で、織田信長に重用された森蘭丸の弟、森忠政が築き、のちに復元された。この日は残念ながら、過日の大雨で石垣が崩れていたため、城が建つ鶴山公園に立ち入ることができなかった。西日本有数の桜の名所として知られているそうで、ぜひ春にリベンジしてみたい。
続いて、藩主である森家が築いた回遊式大名公園「衆楽園」へ。岡山市の後楽園と並ぶ国の名勝ながら、東京ドーム半分ほどのこぢんまりとした庭園だ。無料で一般開放されており、春のしだれ桜に秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の景観を楽しめる。訪れた夏には大きな池に蓮が浮かび、可憐な白い花を咲かせていた。
衆楽園は幕末まで、家臣や他藩からの使者と藩主が謁見する「御対面所」や藩主の隠居所の庭園としてつかわれてきた
夕食ではB級もいいが、やはりA級の牛肉料理も味わいたいと、「津山和風肉ダイニング 源」を訪れた。古民家をリノベーションした優雅な個室で、中庭を望みつつ伝統的な肉料理が堪能できる。特別コースでは、骨の周りの身をそずった(津山弁で削った、の意味)そずり肉やすじ肉、名物の干し肉、「よめなかせ」と呼ばれる大動脈、津山市の隣町で生産されたブランド牛「奈義和牛」と、土地の和牛文化をまるごと味わえる。ところで、なぜ大動脈が、よめなかせなのか。「もともとあまりにおいしくて、嫁さんが料理の腕を振るいようがない」から「嫁泣かせ」なのだといわれているが……。とにかく、とてもおいしいことはたしかだ。
岡山県奈義町(なぎちょう)の指定農場で育てられた奈義和牛。脂身の上品な甘さと、赤身の濃厚さがたまらない
前菜から、干し肉のおろしポン酢、そずり肉のぬた和え、牛すじ肉のにこごり、よめなかせの天ぷら、奈義和牛のとろけるローストビーフ寿司と、牛肉料理のオールスターが登場。その後も、そずり肉の鍋に奈義和牛のヒレステーキと、これでもかと牛肉各部位の旨みを活かした料理が続く。津山の人びとの、牛肉に対する深い愛情と探究心をうかがえる、幸せな食体験だった。
「ジャンピー」も買える道の駅の道向かいに建つホテル
ホテルに入る前に、近接の「道の駅 久米の里」をチェック。地元の農産物が並ぶなか、異彩を放っていたのは通常の4倍はあろうかというでっかいピーマン! その名も「ジャンピー」だ。このほか、そずり肉やよめなかせ、干し肉など牛オールスターズや、ホルモンうどんセットに特製ダレも揃っており、ついつい両手で抱えきれないほど買いこんでしまうのだった。
左側のジャンピーは、肉厚で甘く、シャキシャキ歯触り。右側の通常サイズのピーマンがシシトウみたいに見えてしまう
フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山にレストラン施設はない。道の駅などで、「地域のグルメを味わってほしい」という考えからだ。その代わりといってはなんだが、くつろいだり軽食を摂ったりワーケーションもできるロビーラウンジや共用スペース、地元の土産物や軽食を揃えた「マーケットプレイス」を備えている。見ると、ラウンジでPC作業したり、無料のコーヒーを飲んだり、旅行のプランニングをしたりと、滞在客が思い思いにときを過ごしていた。
幹線道路を挟んで、道の駅 久米の里の向かいに位置。裏にはのどかな田園風景が広がる
寝心地のいいベッドに作業スペース、高速Wi-Fiも完備され、快適に過ごせる。ドッグフレンドリールームもある
客室はシンプルながら、必要なものはしっかりフォローされた超機能的なつくり。荷物を置くスペースはしっかり確保されており、お土産をたくさん買っても大丈夫! 大きなベッドでぐっすり眠った翌朝には、各地の料理店が腕をふるう朝食ボックスが待っている。
地域の味わいを詰め込んだ、フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山の朝食ボックス
フロントで受け取った朝食ボックスを開けると、12に区切られたカラフルなお弁当が目に飛び込んできた。岡山県北名物の蒜山(ひるぜん)おこわにサワラの照り焼き、ままかりの酢漬けが乗ったバラ寿司、黄ニラの酢漬けなどの地域の名物のほか、バジルソーセージや北欧サラダなどが美しく盛られている。
どれもこれも丁寧につくられた味わいで、またしてもお腹いっぱい! さあ、さらなる岡山北部の魅力に触れる旅に出かけよう!
──「フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山蒜山高原」編に続きます─
Text & Photo:萩原はるな
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