実は江戸時代の百姓の暮らし!?〜パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方〜①
気候変動による環境問題や食糧危機が目前の課題としてある中、私たちは今、人や地球にやさしい暮らし方へライフスタイルをシフトしていく転換期にあるように思います。「エシカル」「サステナブル」という言葉も定着していく中で、そうしたライフスタイルを求める人も少しずつ増えてきているように感じますが、「パーマカルチャー」という言葉を耳にする人も増えてきているのではないでしょうか?
そこで、日本文化の温故知新から学び、日本人のサステナブルな生き方の知恵を、現代のライフスタイルに取りいれるコラム『NIPPON温故知新』の2回目として、パーマカルチャーと地球に優しい暮らし方をテーマにお届けしたいと思います。
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パーマカルチャーとは?
パーマカルチャーとは、人と自然が共存する社会をつくるためのデザイン手法。パーマネント(永続性)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた造語で、それぞれが持続可能な社会システムをデザインしていく考え方です。
デザインといっても物を作る事ではなく、「自然と人間が搾取し合うことなく、共存できる社会システム」を創造していくことが、パーマカルチャーが指すデザインです。デザインの対象は農業だけでなく、建物、コミュニティなど、生活すべてとされています。
つまり、パーマカルチャーの指すデザインを要約すると「持続可能な暮らし方」全般のようです。これからの地球の未来を考えた時、私たちにとっての暮らし方のヒントがたくさんありそうですよね!
とは言っても、言葉だけ聞くとなんだか堅苦しく敷居が高く感じますよね。パーマカルチャーをもっと身近に感じるべく、今回は初心者向けの「パーマカルチャー」とはなんぞや!?という事を、千葉の大多喜でキャンプ場の運営管理をしながらパーマカルチャーなライフスタイルを実践している一糸美千秋さんにお話を伺ってきました
一糸さんとパーマカルチャーとの出会いは?
キャンプ場大多喜天国~面白360°キャンプ場~ (https://otakitengoku.com)で、ゼロから手作りのキャンプ場を作りながら、気軽にパーマカルチャーのライフスタイルを体験できる場を作っている一糸さん。
もともとIT業界出身の一糸さんですが、パーマカルチャーに興味を持ち今の暮らし方を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
一糸さん「パーマカルチャーに出会ったのは東日本大震災がきっかけでした。震災が起きて東京の食糧事情やインフラがめちゃくちゃになった時に東京の暮らしに危機感を持ったんです。最低限のものを自給できたらいいなと思って、地元の茨城で自分で畑を始めてみて、その時にパーマカルチャーを実践されているソーヤー海さんの本や話を聞いたりして、それが出会いでした。」
パーマカルチャーとは実は江戸時代の百姓の暮らしだった!?
守岡「パーマカルチャーを一糸さん目線で簡単に説明するとどんなものですか?」
一糸「簡単に言うと江戸時代の百姓の暮らしです。」
守岡「パーマカルチャーって欧米から来た概念のようなイメージでしたけど違うんですね?」
一糸「実はパーマカルチャーの提唱者のオーストラリアのビルモリソンさんが、環境問題の解決方法を探して世界中を旅していた時に、アジアの百姓や東南アジアの人たちの暮らし方を見て西洋文化に取り入れたのがパーマカルチャーだったんです」
守岡「西洋人が東洋人の自然の中での暮らし方を西洋に持ち帰ったのがパーマカルチャーなんですね!?」
一糸「ビルモリソンさんは70年代に工業化が進んで環境破壊が進む中でそういった社会に対して反対運動をしていました。その頃の近代化した生活に代わる、より良い暮らし方がないかと探して模索していた中で出会ったのが東洋の農村部の暮らし方でした。」
守岡「当時のアジア人にとっては普通だった生活が、西洋で取り入れられて融合した文化になったんですね。江戸時代の百姓の暮らしという事ですが、江戸時代の百姓のどういったところがパーマカルチャーの暮らしに繋がるんでしょうか?」
【次回】は、江戸時代の百姓の暮らしとパーマカルチャーについて掘り下げていきます。
守岡実里子(もりおか まりこ)
サステナブルフードジャパン代表
日本食文化研究料理家/
ローカルフードプロデューサー
大学時代にマクロビオティックで両親の病気を克服した事がきっかけで、日本の伝統的な食文化に興味を持ち食の世界へ。地方創生、農畜水産業の6次産業化支援を専門とするコンサル会社にてフードコンサルタントとして勤務し、2013年に独立。全国の地域の食のブランディングや商品開発、飲食店、旅館のプロデュースなど、地方の生産者支援に携わる。マクロビオティックや日本の食養生、江戸料理を専門に学び「和食から美と健康、サステナブルな社会を叶える」を生涯のミッションに、心と身体、地球に優しい日本の食習慣術を伝えている。日本酒好きが高じて唎酒師の資格を取得。
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