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塩野瑛久が故郷・相模原で探る「ロボットだから、できること」【後編】
塩野瑛久が故郷・相模原で探る「ロボットだから、できること」【後編】
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塩野瑛久が故郷・相模原で探る「ロボットだから、できること」【後編】

人間の困りごとを解消し、生活をサポートしてくれる未来の道具、ロボット。工業都市だった神奈川県相模原市では、近年ロボット産業が盛んになってきています。ものづくりの現場でも活用されている最新技術を知るために、青春時代を相模原市で過ごした俳優の塩野瑛久さんが、“ロボットのまち”を見学しました。

▼前編はこちら

農業用の小型ロボットや
配膳ロボットの開発も

四輪独立モーターを採用したDONKEYのXCP100。2021年には試験販売機が販売開始された。高いところへも自力で登れるので、トラックの荷台への積み込みを人間がする必要がない。【DONKEY】農業者の待遇や、労働力、環境などの課題に対しIoT、AI、ロボットなどの最新技術を使うことによって改善することを目的に2020年に設立。小型の多機能型農業ロボットを開発し、中小規模の農家向けに販売。今後はロボットのデータも活用し、農業が持続的に発展できるように力を入れていく

次に伺ったのは、農業用のロボットの開発を進めているDONKEY。サスペンションなど、自動車に採用されている機能を搭載し、荒地や畑などの段差の多い場所でも走行できる小型多機能型農業ロボット「XCP100」を開発した。

収穫物や農機具の運搬ができ、アタッチメントを取りつけることで自動での農薬散布や草刈りなどもできるようになることが期待されている。

XCP100はリモコンでの操作ができるほか、自動追従機能もあり、カメラで作業者を認識して距離を保って追従する

リモコンによる遠隔操作が可能なだけでなく、自動追従機能があるため、人が動くと後を追うようについてくる。そんな姿を見て思わず「かわいい」とはしゃぐ塩野さん。

塩野さんが歩き出すとロボットも動き出し、一定の間隔を保って後を追う。「まるでなついているペットのようでかわいい」と塩野さん

「収穫した野菜や果物をこれに積めば、自分で運ばなくても載せてついてきてくれる。農作業は重労働ですもんね。現場にロボットが入ることによって、農業に従事している方の負担が少なくなってほしい」と話しながら、部屋のなかを一緒にぐるぐると歩き回っていた。

ロボットベース。さまざまな使い方が想定され、可能性は無限。【F-Design】2004年に、自動車のエンジンの設計をする企業として相模原市で創業。現在は、さまざまな業界の開発を支援する「ものづくり開発支援会社」として企画、デザインから製造までを一貫して行う製造コーディネートなどを手がける。これまでの開発経験を活かし、14年から本活的にロボット事業に参入

開発の現場を見学させてもらったF-Designは、相模原市で育った藤本恵介さんが地元で創業。自社で開発したロボットベースは、段差や衝撃に強く15mmまでの段差を乗り越えられる。他の技術と組み合わせることで、さまざまな移動ロボットに活用でき、汎用性が高い。

衝撃吸収フレームにバッテリーを搭載したロボットベースを使用した配膳ロボット。レストランなどでの食事の配膳や、食べ終わった食器を運ぶなどの作業ができる。20kgまで積載でき、3時間の連続稼働を想定している

レストランなどで料理を運ぶ配膳ロボットや、農作業のときに自動で薬剤を散布する薬剤散布ロボット、案内ロボットなどに活用できるという。

3D CADを使ってデザインするようすも見学させてくれた。「ロボットがどこまで人に寄り添えるか」を考えて設計されている

このように世界的に見ても優れたロボット関連企業が集まる相模原市。今後は神奈川県とも連携しながら“ロボットのまち”としてますますの発展を目指している。

ロボットによって広がる
未来の暮らしの可能性

未来の道具の可能性を知り、ワクワクすると目を輝かせる塩野さん。

「農業やものづくりの現場でロボットが活躍することで、安心安全な環境ができていくと聞いてうれしく思いました。技術の発展は人間の仕事を奪うなんて話も聞いたことがあるけれど、むしろ人間にしかできないことが拡張していくのではないでしょうか」

今回の取材で、よりロボットに人間みを感じたという。

「人間の手仕事には温かみがあると感じますが、今日見学してみてロボットにも、ロボットがつくったものにも同じように感じました。製作者の方々が『人間の負担を減らせるように』と思いを込めて開発している。そんな気持ちを機械が受け継いでくれているんだと思います」

テクノロジーの発展について、塩野さん自身が期待することは何だろうか。

「撮影の現場でもドローンが取り入れられていますし、自動追従機能があるロボットを搭載したカメラも出てきています。もちろん人間だからこそ撮れる画というのは絶対あると思うけれど、最新技術を取り入れることで表現の幅が広がるかもしれない。すごく楽しみです。また、体が不自由な人のために、身体機能をサポートしてくれるロボットが普及すれば、きっと生活においての可能性はどんどん広がるでしょう。癒やしとしてのペットロボットもますます人気が出ると思います、今後、多くの人にとって人生のパートナーになっていくのかもしれません」

ものづくりの現場の労働力としてだけではなく、自然災害の多い日本では災害現場での人命救助にロボットをつかうことも期待されている。さまざまな可能性を持ったロボットのさらなる進化が楽しみだ。

PROFILE

塩野瑛久 しおの・あきひさ
1995年東京都生まれ、神奈川県相模原市育ち。劇団EXILEのメンバー。2011年「第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞、AOKI賞をダブル受賞。映画『HiGH&LOW THE WORST』シリーズ、ドラマ『来世ではちゃんとします』シリーズ(テレビ東京)などに出演。

●情報は、FRaU2023年1月号発売時点のものです。
Photo:Ryo Shimizu Styling:Takashi Yamamoto(style³) Hair & Make-Up:Akari Isono Text & Edit:Saki Miyahara
Composition:林愛子

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