小川たまか「性暴力の問題を、社会は軽視しすぎではないか」を問う!
近年、ジェンダーやダイバーシティへの認識が急速に変わりつつあります。それは、これまで声を上げてきた人の存在があったから。フリーライターの小川たまかさんが、アクションを起こすようになったきっかけとは?
性暴力被害者は女性だけではないのに、
女性のみの問題と思われている矛盾
性暴力被害や痴漢犯罪、ジェンダー格差など、「ほとんどない」ことにされている問題。裁判傍聴や、当事者への取材を行い、メディアへの寄稿やSNSなどで発信しているのが、フリーライターの小川たまかさんだ。2015年に自身の痴漢被害をブログに書いたことをきっかけに、性暴力被害の取材に注力するようになった。
「子どもや若者が被害に遭いやすい深刻な性暴力にもかかわらず、社会全体が軽視しすぎでは? と感じています。性暴力の被害者は女性だけではありませんが、性暴力の記事を書いているとSNS等で『クソフェミ』と呼ばれることがあり、『女性の問題だと思われているんだな』と感じ、ジェンダーについて考えはじめました」
SNSでよく見かけるのが、「性暴力や痴漢犯罪はいけないことだ」という至極まっとうな主張に対して、「冤罪を許すつもりか」といった、的外れな意見。実際に、小川さんも「反発はあるだろうと予想していたし実際ありましたが、性暴力被害について言わなければならないタイミングと感じたので発信しました」と話す。しかし、やはり声をあげること、アクションを起こすことを怖いと思う人も多いだろう。
「必要なときには自然と体が動くものだと思うので、ムリにアクションする必要はありません。目立つ発信だけがアクションではないので、声をあげた人を裏側でサポートしたり、本を読んだり、オンラインイベントなどで勉強を続けることも大事なアクションです。フェミニストの勉強会は、探してみるといろいろ見つかります」
PROFILE
小川たまか おがわ・たまか
編集プロダクション取締役を経て、2018年からフリーライター。2015年から性暴力の取材に注力。著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)。性暴力や性差別にまつわる問題をYahoo!ニュース「個人」で発信中。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
Text & Edit:Chihiro Kurimoto
Composition:林愛子