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杉浦太陽「手間ひまかけてつくられた野菜は、もっと高くてもいい」
杉浦太陽「手間ひまかけてつくられた野菜は、もっと高くてもいい」
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杉浦太陽「手間ひまかけてつくられた野菜は、もっと高くてもいい」

4児を育てる父として2年連続「イクメン オブ ザ イヤー」に選出され、妻の辻希美さんとともに「あこがれの夫婦」ランキングのトップに君臨している杉浦太陽さん。趣味の釣りや料理、野菜づくりを子どもと楽しんだり、全国の農家や漁師と交流したりと、「食」の分野でもさまざまな活動をおこなっています。子どもと一緒に実践できるSDGsや食育について伺った前回に続き、後編では杉浦さんが考える食の課題と解決法について聞きました。

――前編はこちらーー

野菜にもっと親しめば、日本は元気になる!

スキューバダイビングや釣りが趣味で、海に出かけることも多いという杉浦さん。ベジタブル&フルーツアドバイザーやきのこマイスター、2級・特殊小型船舶などの免許をもち、家庭菜園のテレビ番組にもレギュラー出演している。そんな彼が、全国の農家や漁業従事者を訪ね歩くなかで耳にし、気にかけていることがある。

「農業や漁業に携わる方々と接することで、その素晴らしさと危機をダブルで感じています。魚などの資源や後継者がどんどん減り、輸入に頼らざるを得なくなっている日本の現状など、問題はいろいろありますよね。不景気なだけではなく、日本の国力が下がっているなんて話もよく聞くし……。経済成長のためには、『豊かな食』が欠かせないと思うんですよ」

世界中の人々から人気の旅行先、日本。その理由のひとつに、豊かな「食」があることは間違いない。

「海外から日本に来た方々が、輸入された食材を食べて喜ぶわけないですからね。やはり日本でつくる農産物や、日本で獲れる魚をより豊かにしていく必要がある。そうすればもっと多くの方々が日本にやってきてお金をつかい、満足して帰っていくでしょう」

杉浦家のある日の食卓。家庭菜園やプランターで育てた野菜に加えて、農家から届く旬の野菜もたびたび食卓に上がるそう

「魅力ある日本の食文化を磨き続けるためには、農業や漁業の発展が必要不可欠。とくにここ10年、農家さんがすごく減っていると感じます。地方に行くと、耕作放棄地を目にすることも多いんです。生産者の皆さんが高齢になって田畑に出られなくなって、しかし後継者もいないという事態が、日本中で起こっています。そもそも子どもの数自体が減っているのに、地方では子どもが進学や就職のため、ほかの町に出て行って、そのまま戻ってこないケースも多いわけですから……」

第一次産業の後継者問題を解決するには、昔のような「キツい、汚い、危険」というイメージをなくし、持続可能な最新のありかたを伝えていく必要があるという。

「体力任せではない農法で生産効率を上げつつ、いいものをつくれば利益がキチンと出せるというメリットを、広く伝えていかないと誰もやらなくなっちゃいますよね。『自然が好き』『身体にいい野菜をつくりたい』など、農業にチャレンジする方々も増えてきましたが、収入が伴わないと長く続けていくことは難しい。そうなるとやはり、国などからの公的支援が必要なんじゃないかな」

杉浦家の子どもたちは野菜が大好き。「自分たちで育てて収穫すると、苦手な野菜も食べてみようという気になるようです」

野菜の価値そのものの見直しも必要なのでは、と杉浦さん。

「手間ひまをかけてつくられたおいしい野菜は、もっと高くてもいいと思っています。僕たち消費者が安さばかりを求めていると、どんどん安く売らざるを得なくなって、その結果ますます農家の収入が下がってしまう。農業で生活できないとなると、後継者もいなくなって、その結果、私たちもおいしい野菜が食べられなくなってしまう──。これは悪循環ですよね。いいものに対してちゃんと対価を払っていくことが、結果的にいい方向に向かうような気がします」

各地域で昔から伝わってきた伝統野菜と品種改良などによって生み出された新しい野菜。さらに外国原産のさまざまな野菜と、最近の野菜事情はとても賑やかだ。

「昔ながらのものと現代ならではの野菜、両方を大事にしていきたいですよね。僕も毎年、新しい野菜のことを学んでいる状態。いろいろな畑にお邪魔させてもらっていますが、まだまだ知らない野菜がいっぱいあります。食べ方や調理法などの知識をさらに身につけて、さまざまな角度から野菜が味わえたらいいですね」

栃木県のイチゴ農家へ取材に。家族でイチゴ狩りに行くことともあるという。生産の現場に足を運ぶことは、豊かな食育につながる

あらたに出合った野菜の栽培にチャレンジしたことはあるものの、その土地の気候や土でないとおいしくできない品種もあるのだそう。

「果物はとくにその傾向が強いかもしれません。栃木のとちおとめ、とちあいか、スカイベリーといったイチゴや、岡山のシャインマスカットなど、その土地の気候を活かしたおいしいブランドフルーツがたくさん生まれていますよね。シャインマスカットは5〜6年前に岡山の農家さんから『いま、これを推しているんだ』と聞きました。それからアッという間に全国区になっちゃいましたね。最近は、皮ごと食べられるシャインマスカットの赤色の新種を推しているそうです。そういう農家さんたちの創意工夫には、本当に頭が下がりますよね」

日本人ならではの「職人気質」は、ほかのモノづくりにも及んでいる。

「金ものや焼きものにも、日本が世界に誇れる職人気質や伝統技術が活かされています。そういうものはやっぱり、大量に生産される安いものと違って、つかっていて気持ちがいい。プラスチックごみが問題になっていますが、金ものや焼きものをつかえば問題は解決します。食事もつかう器も、いまこそ原点回帰が必要なんじゃないかな」

――前編はこちらーー

――次回は、漁業についての考えを伺いますーー


杉浦太陽■1981年、大阪府生まれ。’98年『おそるべしっっ!!音無可憐さん』で俳優デビュー、『ウルトラマンコスモス』など多くの話題作に出演する。2017年より『趣味の園芸 やさいの時間』(NHK)に出演、ベジタブル&フルーツアドバイザー、きのこマイスター、2級・特殊小型船舶、スキューバダイビングなど多数の資格や免許をもつ。BS日テレ『旬感レシピ』、TOKYO FM『TOKYOこどもTIMES』、KBS京都『SUNNY TIME』などにレギュラー出演中。

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