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食のプロが選ぶ「100年先にバトンをつなぎたい器」
食のプロが選ぶ「100年先にバトンをつなぎたい器」
VOICE

食のプロが選ぶ「100年先にバトンをつなぎたい器」

「買い物は投票だ」という言葉を聞いたことがありますか。いま「Money Voting(お金の投票)」を合い言葉にひとり一人のお金の力で、世界をよりよく変えていこうという動きが広がりはじめています。

日々、何を選んで、どんなものに自分のお金を投じるのか。それは、自分がいいと思うもの、賛同する社会のあり方に意思表示をするアクションです。あなたはどんなものに「お金の投票」をしていますか。料理家の按田優子さんに「Money Voting」と、その思いを聞きました。

按田優子のMoney Voting
「もらい手のない器を修理して受け継ぐ」

数年前、輪島塗の器がほしくて探していたら、「うちの納屋で眠っているものがあるから貸しますよ」というおじいさんが現れました。値段を尋ねると「お金をもらうことができない品なので永久貸し出しで」とのこと。それらは100年以上代々使われてきたもので、冠婚葬祭の際にはご近所みんなで持ち寄って使ったそうです。器の裏に苗字の頭文字が記してあるのは取り違えを防ぐためだと聞いて、日本の古きよき伝統行事が目に浮かびました。

家族の歴史と思い出が刻まれた器はアルバムのようなもの。たしかに値段なんてつけられないし、売り買いするものでもない。もし受け継ぐ家族がいないなら永久貸し出しいただいて、今度は私が次の100年にバトンをつないでいこう。それで6組ほどお借りして、欠けた部分を修復したり漆を塗り直したり、器を買う分のお金を修理に使うことにしたんです。いまはお金を払えば大抵のものを手に入れられますが、伝統文化や人の思いというのは買うことができないし、一度失われたら戻ることがない。だとしたら私はそうしたものを受け継ぐことにお金を使い、工夫次第でこの先も残していけると伝えていきたいのです。

PROFILE

按田優子 あんだ・ゆうこ
料理家。パンと菓子の製造スタッフやカフェ店長などを経て2011年に料理家として独立。書籍で紹介した水餃子が話題を呼び、2012年、東京・代々木上原に「按田餃子」を開店。著書に『たすかる料理』(リトルモア)、『冷蔵庫いらずのレシピ』(ワニブックス)など。

●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです(2020年11月)。
Photo:Norio Kidera Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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