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フェアトレードとは、「人間が、人間らしく生きる」ための仕組み
フェアトレードとは、「人間が、人間らしく生きる」ための仕組み
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フェアトレードとは、「人間が、人間らしく生きる」ための仕組み

「フェアトレードミリオンアクションキャンペーン2022」のアンバサダーに就任した、廣瀬俊朗さんと望月理恵さん、堀潤さん。アスリートやアナウンサー事務所のプレイングマネージャー、ジャーナリストというそれぞれの立場から、フェアトレードや私たちにできることなどを語り合ってもらいました。(中編)

フェアトレードを知ることは、「モノの背景」を知ること

――みなさんはそれぞれ、フェアトレードについてどのように感じていますか?

廣瀬 普段、私たちは「どんな経緯でここまできたか」を考えずにものを手にとっています。それらができるまでの過程を気づかせてくれる、知らせてくれるという意味でも、フェアトレードは素晴らしい活動だなあと思っています。

望月 フェアトレードって、「知っている人は知っているし、はじめている」という感じ。言葉は知っているけれど、なかなかアクションが起こせない人がたくさんいるような気がします。でも、「買うだけで、よりよい世界の実現につながる」ということは、もはや子どもたちのほうがよく知っているんです。買うという行為が、未来につながる一票を投じることになると、もっと伝えていきたいですよね。

 フェアトレードやSDGsって、キーワードとしてはかなり浸透してきました。けれども現場の実態は、まだまだ伝わっていないのが現状。人権が担保されていなかったり、搾取されたりしている人たちを見て、みんなが当たり前に「そういうのはおかしいね、つらいね。何とかしたいね」と感じるようになればいいな、と思います。

フェアトレードのキックオフイベントのようす。3名のアンバサダーと、フェアトレード・ラベル・ジャパンの事務局長、潮崎真惟子(右端)さんが登壇した。

――日頃、サステナブルについてどんな意識をされていますか?

堀 悪意はまったくなくても、自分が加害者になってしまうことがあり得る。そこに、怖さを感じています。「絶対、こうだよね」という自分の固定概念やイメージを、まずは疑うことが大切。ですから「漫然と生きていると、知らずに悪に加担してしまうことがある」という危機感を、つねにもつようにしています。

望月 本当にそうですね。日本はとても恵まれているから、何も考えなくても普通に日々が過ぎていきます。でも、スーパーに並んでいる食品にも、そこに至るまでの過程がある。魚ひとつとっても、切り身で泳いでいるわけではないですもんね。そういう「物事の背景」を、きちんと知ることが大切だという気がします。私たちが仕事で話すときにも、どんな人が聞いているのかを、きちんと意識することが大切なのかなあと……。

私自身、何度か体を壊したこともあって、食べ物の出どころをとても意識しています。ただ安いから買う、のではなく、どんな人によって、どうつくられたのかを知り、意識しておいしく食べる。そうすると、気持ちよく食事ができるんですよね。そのように人間らしく、心地よく生きることこそが、SDGsなんじゃないかなあと思っています。

廣瀬 食と健康は、アスリートにとっても重要なキーワード。「自分たちにも何かできることを」と、スタジアムで「ベンチ野菜」をつかった味噌汁やおむすびを提供しはじめました。「ベンチ野菜」とは、スターティングメンバーに入れなかった規格外などの野菜のこと。スタジアムのフードって、唐揚げやポテトフライなどが中心で、ヴィーガンやヘルシー志向の方々では楽しめないメニューばかりじゃないですか。そういう方々も喜ぶメニューを用意することこそ、フェアなんじゃないかな。

「スポーツは言葉も国境も関係ありません。フェアトレードの考えを広げるには、とてもいいフィールドなんです」と廣瀬さん。

自分のハッピーが、誰かのアンハッピーになっている!?

――みなさんがサステナブルを意識するようになった、きっかけを教えてください。

廣瀬 東日本大震災が、いろいろ考えるターニングポイントになりました。それと、ガーナに行って現地の人々と交流する機会があったのも大きかった。「自分のハッピーが、誰かのアンハッピーを生んでいるんじゃないか」と疑うようになりましたね。

日本人って、日本の素晴らしさにあまり気づいていないと思うんです。肉の大量消費によるメタンガスが温暖化のひとつの原因といわれているいま、植物性のタンパク質にはとても注目が高まっています。とくに、大豆や大豆製品はかなり優秀。それなのに、味噌汁を日常的に飲む日本人はものすごく減っているんですよ! そういうところも、何とかしていかないとダメですよね。

望月 私は「ジャパンハート」というNGO法人の広報担当に就任したことが大きいです。「医療の届かないところに医療を届ける」という活動をしている国際医療センターNGOなのですが、活動を続けるなかで、亡くなってしまう子どもたちもいるんですね。けれども代表の医師の吉岡秀人さんが、「死ぬ前に、自分の命が大事にされることで、生まれてきてよかったと思える。そのことを子どもや家族に知らせるためにも、活動を続けるんです」とおっしゃったんです。「人間が人間らしく生きる」ための活動という意味では、フェアトレードやSDGsも同じだと思っています。

また、セント・フォースの取締役に就任したことも大きなきっかけでした。事務所で働く女の子たちに、心身ともに健康でいてほしい。そう考えたときに、社会貢献に力を入れることは、その実現につながるんじゃないかな、と。

キャスターやアナウンサーとして、さまざまな発信を続けている望月さんと堀さん。ともに後進を育成する立場でもある。

 普段テレビやラジオなどで流れてくるニュースは、いつも同じような内容です。いまでいうと、連日ウクライナの情勢が報じられているでしょう。けれどもイエメンや南スーダンで何が起きているかが報じられることは、めったにありません。気候変動や紛争・戦争が原因で飢餓や貧困に苦しむ人々は、世界中に9億人近くいるのに、メディアではほとんど取り上げられないのが現状です。

そうした問題を報じるために、独自のメディアを立ち上げたのが7〜8年前のこと。ニュースというパッケージのなかに、「こういうニュースもあるんだよ」と提案する活動を続けています。そういう現場には、NGOやNPO、そこで人道的な活動を続けている企業なんかが残している写真や映像資料が必ずあるんです。そうした資料を掘り起こして、世界に紹介していく。そうすることで、ニュースがセンセーショナルな出来事を報じるだけではなく、人々が普通に「かわいそうだ、何とかしなければ」と感じるような現状を伝えていきたいです。

PROFILE

廣瀬俊朗●1981年生まれ、元ラグビー日本代表キャプテン。現役引退後は、「ビジネス・フブレークスルー大学大学院」にて経営管理修士(MBA)を取得。ラグビーW 杯 2019 では 公式アンバサダーとして活動。現在は、株式会社HiRAKU代表取締役として、スポーツの普及、教育、食、健康などさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。

望月理恵●株式会社セント・フォース取締役、NPO 法人ジャパンハート アドバイザリーボード。テレビ番組「世界ふしぎ発見!」(TBS系)のミステリーハンターをきっかけに芸能界入り。TOKYO FM「Blue Ocean」などラジオ番組のパーソナリティを務めながら、2022年3月まで17年にわたって日本テレビ「ズームイン!!サタデー」の司会を務めた。

堀潤●1977 年兵庫県生まれ、ジャーナリスト、映画監督。2001年NHKに入局、「ニュースウォッチ 9」リポーターや「Biz スポ」キャスターなどを担当。2012年、市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、2013年にNHKを退局。現在は、TOKYO MX「モーニングFLAG」 などに出演するほか、国内外の取材や執筆にもあたっている。

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