平等や多様性の大切さを、演じることで伝えていきたい。/細田佳央太さん【前編】
気になるあの人にサステナビリティについてインタビュー。第2回はドラマ『ドラゴン桜』(TBS)で髪を丸坊主にし、体重も増量して臨んだ生徒役が大きな反響を呼んだ俳優、細田佳央太(ほそだ・かなた)さん。前編は役を通じて感じた、教育や多様性に対する社会の変化についてお話を伺いました。
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撮影/喜多剛士 インタビュー・文/水谷美紀
体罰やいじめが報道され始めた世代
僕は今19歳ですが、ちょうど学校に通うようになった頃から体罰や校則、いじめの問題がニュースで大きく取り沙汰されるようになった世代です。もうそういうことはやめようという兆しを肌で感じ、嬉しく思いました。ですからいじめや体罰は本当によくないことであり、絶対になくさなくてはいけないと思っている同世代は多いと思います。
その影響もあってか、僕自身もSDGs、特に『平等』について強い関心をもっています。両親からはずっと「人に優しく」と教えられてきましたが、平等に対する基本的な考え方もそれと同じじゃないかと思っています。SDGsという言葉は最近になっていろんなところで見聞きするようになり、若い世代としてどう思うか聞かれることもありますが、素直に良いことだと思っています。知れば知るほど身近でやれることがあるとわかってくるので、他にどんなことがあるのか、何が自分にやれるのか、もっと知りたいし、得た情報を共有していきたいです。
ドラマ出演で感じた教育の変化
『ドラゴン桜』(TBS)というドラマに出演したことで、これまで以上に教育や平等、多様性について考えるようになりました。僕が演じたのは発達障害を抱えながら東大を目指す健太という子の役で、指導する桜木先生役を阿部寛さんが演じましたが、健太のような生徒や同級生に対する桜木先生の指導方法にも時代の変化が表れていました。今の子なりの価値観を尊重すべきだし、今の子に合った勉強方法があることもドラマでは描かれていたように思います。昔と違い、成績が良いからといって一本の線に乗せるのではなく、その子に本当に合った教育が必要であることもあのドラマは伝えていました。
多様な役を演じる怖さと手応え
健太の役作りはやはり大変で、とにかくめちゃくちゃ調べました。まず健太や、健太と同じ障害をもつ人に敬意をもたないと絶対に演じることはできないし、演じるときも健太に寄り添っていくことを心がけました。それでもやっぱり不安でしたね。どう演じても「違う」「そんなんじゃない」と言う人はいるでしょうし、実際いろんな症状があるので、そう思う人がいるのも当然だと思うし。でも放映されてみると批判はあまりなく、むしろ健太と同じような子をもつ方から「ひたむきに頑張る健太くんを見て励みになった」とか、当事者の方から「自分と似た子が出ているのを見るだけで勇気になる」という言葉がたくさん寄せられて。それを知って僕自身とても励みになったし、あの役を演じてよかったんだと思えました。
古くから多くの映画やドラマなどで差別に反対するメッセージが発信されてきました。それなのに今もまだ、差別はなくなっていない。それでも俳優としてエンターテインメントに関わり、何かしら観た人の視点を変える作品に参加していきたいです。去年、草彅剛さんがトランスジェンダーの女性役を演じた映画『ミッドナイトスワン』がたくさんの賞を獲り、日本も少しずつ変わってきたことを実感しています。僕自身も多様性を扱った作品にこれからもどんどん挑戦していきたいと思っています。
【後編】では細田さんが関心をもっているサステナブルな取り組みについて紹介します。
30年後もきっと愛用品
細田佳央太さんが30年後も大切にしたいモノとは?
デビュー作で約束した「一生懸命」の言葉
モノではなく言葉ですが、これは初主演した映画『町田くんの世界』の石井裕也監督と撮影のときに交わした約束の言葉です。この先どんな役を演じるときも、そして仕事以外のどんなことでも、絶対に手を抜かず一生懸命にやるという約束をしました。30年後、僕は49歳になっていますが、その時もすべてに対して一生懸命になれる大人でいたいです。
お知らせ
●2021年8月20日より映画『子供はわかってあげない』公開
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2021年9月9よりMBSドラマ特区『初情事まであと1時間』第8話「鍋の中」放送
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