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築100年以上の古民家を廃棄せずアップサイクルする『#Re古民家™』
築100年以上の古民家を廃棄せずアップサイクルする『#Re古民家™』
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築100年以上の古民家を廃棄せずアップサイクルする『#Re古民家™』

撮影/Takuya Nagata

人口減少にともない、日本全国で空き家が増加しています。なかでも、古民家をはじめとする古い木造建築は、活用に技術と費用を要するため、取り壊して廃棄されるケースも少なくありません。

長野県の山翠舎は、2004年から「古民家」の活用を事業の軸に掲げてきました。造っては壊す「ビルド&スクラップ」が当たり前だった時代から、古民家を解体して出た「古木®」を活用して店舗や住宅、家具などを施工。通常は廃棄処分されてしまう木材をリサイクルしてきました。現在では古民家の移築・再生事業も行っています。

1930年、長野の木工所として創業。古民家から得られる上質な木材は、入手ルーツや年代が特定できる品質のいいもののみを使用。一本ずつ太さ、長さ、樹種、形状、由来などを記録し、品番管理を行っている。

新プロジェクト『#Re古民家™』は、古民家のアップサイクルを推進する活動。その一環として、古民家の活用についてまとめた「古民家.org」をオープンしました。

同プロジェクトでは、山翠舎は施工会社として関わるのではなく、専門工事業者として古民家再生や移築、古材の加工のみを担当。従来は競合関係にある元請け施工業者と協業することで、建設業界に古民家活用を普及させる狙いです。

撮影/TakuyaNagata
東京・日本橋浜町のT-HOUSENewBalanceでは、ニューバランスジャパンと安田不動産が協業し、デザインスタジオ兼ギャラリー&ストアスペースを新築。山翠舎は古民家移築と伝統的建築技法のエキスパートとして参画した。撮影/TakuyaNagata
T-HOUSE New Balance建設のため、明治期に建てられた築122年の蔵を解体した。
T-HOUSE New Balanceでは、蔵の骨組みを新築の建物の中に丸ごと組み上げるという斬新なアイデアが採用された。解体した木材は、現場で組み上げる前に工場内で「仮組み」という作業をして加工し直す必要がある。
歴史の刻まれた美しい木材を伝統的技術で組み上げていくのは、現在77歳の中島重雄棟梁。確かな腕を持つベテラン大工で、T-HOUSE New BalanceのPRコミックではキャラクターのモデルにもなっている。

山翠舎が定義する古民家とは、築100年を超える家や蔵のこと。古民家に使用されている国産の良質な無垢材と、それを組み上げたり解体したりする技術を日本人の財産ととらえています。

この財産を現代に生かすため、古民家をそのまま再生するだけでなく、コンクリート、金属、ガラスといった無機的な材料を組み合わせることで、今までにない表情を持つ空間作りを実現。新しい建築材料や技術により、風雨や気温変化に耐える快適さにも配慮しています。

長野県にある「道の駅小谷」。開業20周年を記念した売店の改修で、山翠舎はデザインと施工を担当した。小谷村の古民家を解体した際に出た古木を使い、伝統建築技術を熟知した地元の大工や茅葺職人・左官職人たちと協業して制作を行った。カウンターの奥にかけられているのは、茅葺職人の手による茅アート。撮影/ナカサ&パートナーズ

山翠舎では、自社の伝統的技術を普及させるため、古民家を移築・再生する際の家屋を修繕する工法を開発し、特許出願中。古民家活用が広まれば、私たちは資源だけでなく文化をも守ることができるのでしょう。

取材・文/有馬ゆえ

古民家.org
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