築100年以上の古民家を廃棄せずアップサイクルする『#Re古民家™』
撮影/Takuya Nagata
人口減少にともない、日本全国で空き家が増加しています。なかでも、古民家をはじめとする古い木造建築は、活用に技術と費用を要するため、取り壊して廃棄されるケースも少なくありません。
長野県の山翠舎は、2004年から「古民家」の活用を事業の軸に掲げてきました。造っては壊す「ビルド&スクラップ」が当たり前だった時代から、古民家を解体して出た「古木®」を活用して店舗や住宅、家具などを施工。通常は廃棄処分されてしまう木材をリサイクルしてきました。現在では古民家の移築・再生事業も行っています。
新プロジェクト『#Re古民家™』は、古民家のアップサイクルを推進する活動。その一環として、古民家の活用についてまとめた「古民家.org」をオープンしました。
同プロジェクトでは、山翠舎は施工会社として関わるのではなく、専門工事業者として古民家再生や移築、古材の加工のみを担当。従来は競合関係にある元請け施工業者と協業することで、建設業界に古民家活用を普及させる狙いです。
山翠舎が定義する古民家とは、築100年を超える家や蔵のこと。古民家に使用されている国産の良質な無垢材と、それを組み上げたり解体したりする技術を日本人の財産ととらえています。
この財産を現代に生かすため、古民家をそのまま再生するだけでなく、コンクリート、金属、ガラスといった無機的な材料を組み合わせることで、今までにない表情を持つ空間作りを実現。新しい建築材料や技術により、風雨や気温変化に耐える快適さにも配慮しています。
山翠舎では、自社の伝統的技術を普及させるため、古民家を移築・再生する際の家屋を修繕する工法を開発し、特許出願中。古民家活用が広まれば、私たちは資源だけでなく文化をも守ることができるのでしょう。
取材・文/有馬ゆえ
古民家.org
●公式サイト