女の子も男の子も、しっぱいなんてこわくない!ジェンダー平等を後押しする絵本
男女の大学進学率が大きく変わらなくなった今も、学部ごとの男女比率には偏りが存在します。特に顕著なのは理数系の学部で、理学部の女子率は27.9%、工学部は15.4%(※)。その背景には、「女の子なのに理数系?」といった昔ながらの偏見があるといわれます。理数系は給与水準の高い職業につながる学部でもあり、学部の偏りは男女の賃金格差にもつながる問題です。
(※)参照:内閣府 男女共同参画局「教育・研究の分野における男女共同参画」https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/pamphlet/pdf/panphlet_part05.pdf
性別にかかわらず、興味を持ったら理数系の進路にトライしてほしい。どんな子どもも、失敗を恐れず自らの進みたい道へ進んでほしい。――そんなふうに、子どもたちの背中を優しく押してくれるのが、世界で300万部を超えるアンドレア・ベイティーの絵本シリーズです。
『しっぱい なんか こわくない!』『せかいは ふしぎで できている!』『ちいさな こえが みらいを かえる!』の主人公たちは、同じ学校のクラスメイト。クラスのシーンでは、人種や見た目、得意不得意もさまざまな子どもたちがのびのびと過ごしている様子が描かれます。
「異なる個性を持つ子どもたちが、失敗をして傷ついたり、勇気がなくてドキドキしたりしながら、周囲の大人や仲間とのやりとりを通して成長していく。その様子に感銘を受けたのが、翻訳を企画した理由の一つです」とは、編集担当の和田千春さん。
そのなかでも、和田さんの胸を打ったのは、『しっぱい なんか こわくない!』の大おばさんのセリフ。
「発明したメカのテスト飛行に失敗して落ち込むロージーに、大おばさんは『いまのしっぱいは だいせいこう! さっさとつぎに とりかかりなさい』と励ましの言葉をかけます。これからさまざまなことにチャレンジしていく日本の子どもたちにも、同じ言葉をかけてあげたいと考えました」
2021年9月末からは、Netflixで『せかいは ふしぎで できている!』の主人公エイダをメインキャラクターにしたアニメのシリーズ1が配信スタート。自分らしく未来へ向かうロージーやエイダ、ソフィアは、きっと子どもたちの心強い友達になってくれるはずです。
取材・文/有馬ゆえ
絵本塾出版
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