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世界遺産「比叡山延暦寺」の宿坊で、心とカラダを浄化する2日間【後編】
世界遺産「比叡山延暦寺」の宿坊で、心とカラダを浄化する2日間【後編】
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世界遺産「比叡山延暦寺」の宿坊で、心とカラダを浄化する2日間【後編】

世界中から旅行者が訪れる、京都市と滋賀県大津市にまたがる世界文化遺産「比叡山延暦寺」。天台宗の総本山であり、ここで学んだ多くの僧が日本仏教各宗の祖師となりました。東に琵琶湖、西に京都の町並を望む比叡山の緑濃い自然は、訪れる人々の心を癒やしてくれます。延暦寺に併設される宿坊では、ホテルのような快適な設備が調うだけでなく、ならではの座禅や写経体験ができると注目を集めています(後編)。

――前編はこちら—

奈良時代から受け継がれている精進料理をいただく

座禅で心身を調える貴重な体験をした後は、写経にチャレンジ。卓上に置かれた写経の作法と「願意」を確認したら、墨を擦りながら心を静める。一字一句、丁寧に心を込めて浄書をすすめていく。

「般若心経を筆で写す」だけのことなのだが、想像よりも難しく、思うように筆が進まない。きれいに書こうとするほど、逆に字が乱れてしまうのだ。もっとゆっくり、丁寧に書きたい気持ちと裏腹に、だんだん早くなってしまうのが不思議。そんなときはまた墨を擦って邪念を払い、心を落ち着かせてから筆を持つといいそうだ。ようやく書き上げた写経はフロントに預け、お寺に奉納してもらった。

拝観時間が過ぎた境内を、のんびり散策することにした。こんな時間は、泊まりならではの貴重な体験だ。誰もいなくなった参道を歩いていると、鹿の親子が現れた。しばらくの間、お互いに立ち止まって見つめ合う。やがて鹿の親子は、静かに森の中に消えていった。

夕食は琵琶湖の眺めを楽しみながら、奈良時代から受け継がれている伝統的な精進料理を堪能する。八寸、猪口、炊き合わせ、向付け、壺椀、揚げ物、鍋物、香の物、ご飯、吸い物、デザートと、かなりボリュームがあり大満足。郷土料理や地元の有機野菜、季節の食材をつかった料理は、素材そのもののおいしさとともに、自然への感謝の念を思い出させてくれた。

快適な客室から琵琶湖を望む

客室は湖側と山側があり、湖側の客室から眺める琵琶湖の絶景は、夜景や日の出など、刻々と変わるので、ついつい見とれてしまう。また、大浴場からも琵琶湖のパノラマを堪能できる。比叡山の自然水を使用したお湯はなめらかで心地よく、1日の疲れを癒してくれる。

根本中堂で朝のおつとめ

翌朝は、延暦寺の総本堂である根本中堂で毎朝おこなわれる「おつとめ」を見学。山内の宿泊者のみに許された贅沢だ。現在、根本中堂は改修工事中のため、外観はプレハブで覆われている。朝6時15分過ぎに扉が開き堂内へ入ると、ほの暗い本堂にはろうそくが灯され、外観からは想像がつかないほど厳(おごそ)かな雰囲気に包まれていた。

ご本尊である薬師如来の前には、黄金色の菊の紋が入った六角形の灯籠が3つ。開創以来1200年以上も灯し続けられている「不滅の法灯」が安置されている。「法華経の教えを表すこの光を、末法の世を乗り越えて(後の仏である)弥勒如来(みろくにょらい)がお出ましになるまで消えることなくお守りし、すべての世の中を照らすように」という願いが込められているそうだ。

読経(どきょう)は、そんな不滅の法灯と本尊の薬師如来を前に行われる。その後、宿泊代表者の名前を読み上げつつ、ご祈祷をしてもらった。延暦寺の僧侶と一緒に祈りを捧げられ、素晴らしい体験となった。

左上:横川(よかわ)中堂。右上:紫陽花は山下より少し遅く咲く。左下:比叡山を行き交う人々を石仏が静かに見守っている。右下:西塔(さいとう)地区にあるにない堂。弁慶が両堂をつなぐ廊下に肩を入れて担ったとの言い伝えから、そう呼ばれている

精進料理の朝食をいただいた後は、早朝の清らかな空気のなか、延暦寺内を散策する。山内の東塔、西塔、横川と3エリアに点在するお寺を巡って、御朱印をいただいた。

延暦寺は比叡山全体を境内としていて、その広さ約1700ヘクタール。甲子園およそ500個分の広さがあり、約100もの堂宇が点在している。限られた時間で巡るには、拝観したいお寺と距離を把握しておくことが大切。比叡山までのアクセスと山内の移動時間を考えると、京都駅からレンタカーを借りるのもおすすめだ。

守り本尊が描かれた「梵字ラテ」

館内の喫茶「れいほう」では、守り本尊が描かれた「梵字(ぼんじ)ラテ」がいただける。注文時に干支を伝えると、その守り本尊の梵字をラテアートで描いて提供してくれる(梵字ラテは16時まで)。

延暦寺での宿坊体験は、仏教文化への理解を深めると同時に自然との一体感を得られた。ただの観光旅行とは一線を画する、素晴らしい時間だったと断言できる。

取材協力:延暦寺会館、比叡山延暦寺、text:鈴木博美

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