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楽園モルディブを水没させるな!極上リゾートのサステナブルな挑戦
楽園モルディブを水没させるな!極上リゾートのサステナブルな挑戦
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楽園モルディブを水没させるな!極上リゾートのサステナブルな挑戦

ブルーラグーン、純白のビーチ、ロマンティックな水上コテージ……。想像するだけで心潤う世界的リゾート、モルディブ。インド洋に浮かぶ1192島のうち約200島に人が居住し、140島がリゾート島となっています。そのほとんどは海抜が低く、国の将来が自然の持続可能性にかかっているといいます。トラベルライターの鈴木博美さんが、ヴィラリゾートのサステナブルな取り組みについて取材しました。

温暖化による海面上昇で、島の80%が海中に!

平均海抜約1.5mという島国のモルディブは、海面が1m上昇すると、国土の80%を失うといわれる。温暖化に伴う海面上昇によって多くの島が水没するおそれがあり、すでに海岸の浸食がはじまっているという。海水温の上昇で、サンゴの白化現象も急速に進行中。モルディブは日々、地球の危機を目に見えるかたちで突きつけられているのだ。

モルディブの多くのリゾートは、太陽光発電や周囲の環境を保全・保護するためのサステナブルな取り組みに積極的に参加している。私たちも旅行をする際は、環境へのインパクトをおさえたサステナブルなリゾートを選びたいもの。そこで、環境負荷の最小化と地域社会貢献を行うエココンシャスな2つのリゾートを訪ねた。

ひとつめは、「クダドゥ・モルディブ・プライベート・アイランド(Kudadoo Maldives Private Island、以下クダドゥ)」。まずはマレ国際空港から、水上飛行機で北へ約40分のラヴィヤニ環礁へ向かう。空から美しい海に浮かぶリゾートを発見できるのは、モルディブならではの体験。現地に近づくにつれ、クダドゥの迫力あるデザインに圧倒される。

設計を担当したのは、ニューヨークを拠点に活躍するユージ・ヤマザキ・アーキテクチャー(Yuji Yamazaki Architecture PLCC)。日本的な木造建築の美を全面に押し出しながらも、自然に風が通り抜ける機能性とデザイン性の高さは、持続可能な未来への配慮にあふれている。ここは、ザ・リトリートと呼ばれるメインビルディングと、たった15組のためのレジデンスが建つだけのスモール・ラグジュアリー・リゾートだ。

ザ・リトリートは、屋根全体が984枚の太陽光パネルで覆われており、この設備でリゾートすべての電力を支えている。普通なら隠しておきたい設備を、あえてリゾートのアイコンとして空から見せているところにホテルの覚悟を感じる。このメイン建築は2019年、モルディブで唯一の完全太陽光発電のリゾートとして、米ライフスタイルマガジン「ロブ・レポート」誌のサステナブルリゾート部門ホスピタリティ・デザイン・アワードを受賞している。

15棟のレジデンスは、プランジプール(小さなプライベートプール)からハイテクサウンドシステムまで最新の設備を備えつつ、風の通り道や自然光、借景の取り入れかたに日本旅館の美学を感じさせる。それぞれに張り出した屋根を設置することで、プライベートデッキの半分以上が、日中5時間以上日陰となるよう設計されている。自然の風だけで心地よく過ごすことができるのも、ユージ・ヤマザキならではのサステナブルな配慮だ。

滞在中はレジデンスごとに専属のバトラーがつくオールインクルーシブタイプ。食事や飲み物はもちろん、ビーチにセッティングしたロマンチィックなディナーもシャンパンのボトルも、贅沢なスパトリートメントも、イルカを探すボートサファリやゲーム・フィッシングもダイビングも、好きなだけ楽しめる。

クダドゥとその姉妹リゾート「フラワリ・アイランド・リゾート(Hurawalhi Island Resort)」は、マンタとその生息地の保護活動に取り組んでいるNPO団体「マンタトラスト」と協力して、ラヴィヤニ環礁に集まるマンタの調査と研究を行なっている。

マンタがやってくる11〜4月の期間、マンタ・トラストの海洋生物学者、専属バトラーと一緒に壮大なシュノーケリング・アドベンチャーに出かければ、生涯記憶に残る特別な経験になるだろう。リゾートは、ウミガメの保護研究プログラム「オリーブ・リドリー・プロジェクト」にも協力していて、モルディブのウミガメの個体数などを学べるだけでなく、一緒に泳ぐこともできる。

ゴージャスなリゾートステイと自然への配慮の気づきを共存させているこの隠れ家。「ANYTHING(何でも)、ANYWHERE(どこでも)、ANYTIME(いつでもお気に召すままに)」をコンセプトに、望むままの休日を約束してくれるはずだ。

マレ国際空港からバア環礁へ10人乗りの専用機で約30分。“No News , No Shoes”を謳うリゾート「ソネバフシ(Soneva Fushi)」では、足を踏み入れた瞬間からリゾートを去るまで、靴をはくことはない。Sustainable、Local、Organic、Wellness、Learning、Inspiring、Fun、Experiencesの頭文字から取った「スローライフ」は創業時からのリゾートの哲学であり、人と自然に対する創業者のソヌ・シヴダサニ、エバ夫妻の愛がリゾートのすみずみにまであふれている。

裸足のリゾートライフは最初は心もとなく感じるが、土のヒンヤリ感やサンドカーペットのふかふかした感触を足裏で味わうと、だんだん開放感で満たされていく。

歩いて一周しても1時間ほどしかかからない島には65棟のヴィラが建ち、建材からリネン、アメニティまで環境と自然素材にこだわり、ほかにはないナチュラル・ラグジュアリー体験をゲストに提供している。上質でサステナブルな心地よさが、ヴィラで過ごすうち、じわじわと体に染み込んでくる。

リゾート内にはエコセンターが設けられ、「Waste to Wealth(浪費から富へ)」を合言葉に、リゾートで出るごみの90%が再利用される。資源ごみからドアノブ、インテリア、食器までつくられるというから驚きだ。使用ずみのワインボトルなどガラス製品は色別に保管され、リゾート内のガラススタジオで新たなアート作品に生まれ変わらせる。

近隣のローカルが住む島には、ソネバフシのミネラルウォーター工場を設立。水は採取後、殺菌、ミネラル添加、浄水のサイクルを経て、ガラス瓶に詰められゲストのもとへ届けられる。島民に管理・作業を任せることで、現地の雇用にも貢献しているのだ。

吊り橋を渡ったところにある、ツリートップレストラン「フレッシュ・イン・ザ・ガーデン」。ここでは、木の上で食事が楽しめる遊び心満点の仕掛けのなか、眼下のオーガニックガーデンで育てられた新鮮野菜をたっぷりの、目にも身体にもうれしい地中海料理を楽しめる。

ソネバフシは人、社会、地球環境に配慮したインテリジェント・ラグジュアリーというライフスタイルで、彼らの世界観を体現している。ここでの滞在は、地球の美しさをあらためて感じる貴重な時間になるだろう。

モルディブはサンスクリット語で「島々の花輪」を意味する「Malodheep」に由来するといわれる。島々の花輪に宿る生命を失わないためにも、私たち旅行者は、見えない部分にも意識を向け、暮らしやリゾートを選択していきたい。

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