上質なくつろぎ空間や、ホスピタリティ、目でも舌でも楽しめるグルメ、その土地の伝統を感じられるアクティビティ……。多彩な魅力を持ち、多くの人に愛されている「星野リゾート」が、環境問題などにも積極的に取り組んでいることをご存じですか？

ホテルジャーナリスト・せきねきょうこさんならではの視点で、日本を代表するあこがれリゾートのひとつであり、サステナブルな取り組みで注目される星野リゾートの魅力に迫ります。今回は、星野リゾートの原点「星のや軽井沢」をご紹介します。

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贅沢を売るだけではない
環境対策の姿勢が評価される

「星のや軽井沢」は、人々に大いに歓んでもらい、温泉で癒やされる旅館として、現代に蘇った“谷の集落”を目指したリゾート造りを成功させたのです。たとえば世界有数の観光国スイスが、どこを切り取っても塵ひとつない箱庭のように美しいといわれる理由は、国をあげて人々が何世代にもわたり懸命な努力を重ねてきたからなのですが、かつてスイスに暮らした私は、山岳地帯の厳しい自然に対する人々の覚悟を毎日肌で感じていました。同様に、町の自然環境を守りつづけることや、日常の道徳観念を保ち維持するのは口でいうほど簡単ではありません。軽井沢は、住人の方々をはじめ、多くの関係者の日々の努力があってこそ、誰もがあこがれる美しい避暑地でありつづけているのです。

近年、世界的に「SDGs」が叫ばれ社会に浸透しはじめています。かつて何度か繰り返されては消えてしまった環境テーマのように、流行で終わらせてはならない時代がきています。「星のや軽井沢」は2003年に「グリーン購入ネットワーク 第６回グリーン購入大賞環境大臣賞」を受賞。さらにホテル業界初のゼロエミッション達成と、４年以上のその継続が評価され、環境省から「平成28年度循環型社会推進功労者環境大臣表彰」を授与されました。贅沢（ぜいたく）を売るだけではない、環境問題に取り組む高級ホテルの姿勢が認められています。

早いもので、「星のや軽井沢」は開業16年目を迎えました。敷地内の棚田も木々も、この年月を経たいま、軽井沢の原風景に近づいているのではないかと思え、ランドスケープに大きな成長や変化を見ることができます。渾々（こんこん）と湧く温泉も、自然の恵みとして豊かな湯量は昔と変わらず、訪れる人々を癒やし続けているのです。隣接の「ハルニレテラス」の人気も衰えを知らず、星野エリアは成長し続けています。

星のや軽井沢

長野県軽井沢町星野　☎0570-073-066（星のや総合予約）
客室数77室　施設ダイニング、ライブラリーラウンジ、
ショップ、キッズルーム、宴会場、大浴場、スパ ほか
アクセス車／上信越自動車道 碓氷・軽井沢ICより

PROFILE

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。仏国アンジェ・カトリック大学留学後、スイスの山岳リゾート地の観光案内所に勤務。期間中に３年間の４ツ星ホテル居住。仏語通訳を経て1994年、ジャーナリズムの世界へ。ホテルの「環境問題、癒やし、もてなし」の３テーマで現場取材を貫く。世界的ブランドホテル「AMAN」のメディアコンサルタント、他ホテルのアドバイザーも。連載、著書多数。

泊まるだけではわからない
「星野リゾート」の魅力に迫る

旅行業界においても厳しい状況が続いているコロナ禍でも衰えを知らない星野リゾートの人気の秘密に、ホテルジャーナリスト・せきねきょうこさんが迫るFRaU webの人気連載「せきねきょうこが選ぶ星野リゾート」をベースにした書籍『麗し日本旅、再発見！星野リゾート10の物語』が発売中。

多くの人を魅了する星野リゾートの独自の世界に触れられる、知られざる物語が詰まった一冊。圧倒的非日常感に包まれる星野リゾート最上位ブランド「星のや」はもちろん、コロナ禍で注目度が高まる小規模温泉旅館「界」、ファミリー層に人気の「リゾナーレ」、さらには「青森屋」や「奥入瀬渓流ホテル」などの個性的な宿泊施設まで、数ある星野リゾート施設のなかから20施設を紹介するほか、星野リゾート代表インタビューなどの情報も満載です。

●情報は、『麗し日本旅、再発見！星野リゾート10の物語』発売時点のものです（2021年4月）。
Text：せきねきょうこ　Photo：玉井幹郎　Composition：林愛子