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「星のや軽井沢」自然を守る“森の番人”【中編】
「星のや軽井沢」自然を守る“森の番人”【中編】
TRAVEL

「星のや軽井沢」自然を守る“森の番人”【中編】

上質なくつろぎ空間や、ホスピタリティ、目でも舌でも楽しめるグルメ、その土地の伝統を感じられるアクティビティ……。多彩な魅力を持ち、多くの人に愛されている「星野リゾート」が、環境問題などにも積極的に取り組んでいることをご存じですか?

ホテルジャーナリスト・せきねきょうこさんならではの視点で、日本を代表するあこがれリゾートのひとつであり、サステナブルなリゾートでもある星野リゾートの魅力に迫ります。今回は星野リゾートの原点「星のや軽井沢」をご紹介します。

▼前編はこちら

軽井沢のひとつの集落のように
森やカルチャーを守るリゾート

吹き抜けの本館2階にあるライブラリーラウンジ。階下にはメインダイニングを見下ろせる

もう少しだけ、大切な軽井沢の歴史を語らせてください。いまの軽井沢を形成してきた礎には、かつて軽井沢を訪れこの町に深く魅了されたという外国人、アレキサンダー・クロフト・ショーの存在があります。1886年に、カナダ人宣教師であったショーが、友人らと軽井沢を訪れた際に、故郷のカナダを彷彿とさせる気候や風景を大いに気に入ったというのです。そしてショーは、2年後の’88年になると、軽井沢初となる別荘を旧軽井沢の大塚山に建て、これをきっかけに軽井沢は避暑地として注目されたばかりか、軽井沢には未来の発展を想わせる新しい風が吹きはじめたのだと伝えられています。

水辺の部屋のテラス。毎夕点される水行灯(みずあんどん)が楽しめる

星野リゾートはというと、企業としての社会的責任(CSR)の一端として、「始まりのとき」からすでに故郷の自然を守る使命を持ち、訪れる観光客と貴重な大自然を共有したいと望む姿勢は変わらずに邁進してきたといいます。こうして時が流れ、星野リゾートの現代表となった当時の若きリーダー、星野佳路氏は、自分の故郷である軽井沢にさまざまな新風を吹き込みました。

新鮮な季節の野菜をたっぷりと使った和食膳「山の朝食」。朝日を浴びてキラキラとまぶしい棚田の風景を眺めながら、時間を気にすることなく、ゆっくり優雅に味わいたい

軽井沢はかつてショーの賛評のお蔭で西洋建築の瀟洒(しょうしゃ)な高級別荘が次々と建てられ、日本を代表する高級別荘地、避暑地、保養地となりました。その美しい軽井沢の自然を守りながら、環境に優しい高級旅館をつくることで、今度は、星野リゾートがこの伝統ある旅館を通して、グローバルに「RYOKAN」を発信する機会をつくりだしました。かつてショーをはじめとする外国人宣教師たちがキリスト教的精神で軽井沢を守ったように、いま、「星のや軽井沢」は、エコツーリズムの専門家集団である「ピッキオ(イタリア語でキツツキの意味)」の活動も含め、「国設の森」を守る番人のような存在となっています。

何年か前、冬の滞在での経験が忘れられません。ピッキオのメンバーと、アクティビティのひとつ「星空ウォッチング」に出かけたときのこと。車で浅間山付近の森に行き、平らな場所を見つけて寝袋に入り、湯たんぽを抱えて夜空を仰ぐと、空には拳骨(げんこつ)のように大きな星がまたたき、キラキラと輝く星座や天の川、流れ星……神羅万象、地球の神秘に感動でした。

▼後編につづく

星のや軽井沢

長野県軽井沢町星野 ☎0570-073-066(星のや総合予約)
客室数77室 施設ダイニング、ライブラリーラウンジ、
ショップ、キッズルーム、宴会場、大浴場、スパ ほか
アクセス車/上信越自動車道 碓氷・軽井沢ICより

PROFILE

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。仏国アンジェ・カトリック大学留学後、スイスの山岳リゾート地の観光案内所に勤務。期間中に3年間の4ツ星ホテル居住。仏語通訳を経て1994年、ジャーナリズムの世界へ。ホテルの「環境問題、癒やし、もてなし」の3テーマで現場取材を貫く。世界的ブランドホテル「AMAN」のメディアコンサルタント、他ホテルのアドバイザーも。連載、著書多数。

●情報は、『麗し日本旅、再発見!星野リゾート10の物語』発売時点のものです(2021年4月)。
Text:せきねきょうこ Photo:玉井幹郎 Composition:林愛子

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