知らぬ間に“ジャパウ”の北海道「ニセコ」が大進化中! 夏こそ、この“大自然の楽園”を目指そう!!
北海道のニセコといえば、外国人観光客であふれていて何もかもの値段が高い――そんなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。たしかに、そういう一面もあるにはあるのですが、実はこっそり(?)ニセコは進化を続けていました。それは2030年に向けて、世界に打って出る持続可能なリゾートを目指す、官・民・地元が手を組んだ一大プロジェクト。その現在地を体感してきました。
昼のパウダースノーもいいけど、夜のニセコはもっと素敵!

「ニセコ東急 グラン・ヒラフ」が導入した、全面ガラス張り、Wi-Fiにシートヒーター完備の「エースゴンドラ」
“ジャパウ”という言葉をご存じだろうか? これは「ジャパン」と「パウダースノー」を組み合わせた、日本の極上のパウダースノーを指す言葉。世界中のスキーヤーやスノーボーダーが、このジャパウを求めて日本を目指す。なかでも、ジャパウという言葉が生まれた地とされる北海道ニセコ町、倶知安町(くっちゃんちょう)などのニセコエリアは羨望の的だ。
ニセコエリアは、北海道西部、新千歳空港からほぼ真西に位置する。札幌からは車で約2時間。町の東には支笏洞爺(しこつとうや)国立公園内の羊蹄山(ようていざん)が、北にはニセコ積丹(しゃこたん)小樽海岸国定公園内のニセコアンヌプリを主峰とするニセコ連峰がそびえ立つ。冬、これらの山々にシベリアからの湿った季節風がぶつかって、大量の雪を降らせる。適度な水分を含む、ふわふわの雪。そう、これがジャパウなのだ。
そしてニセコアンヌプリの裾野には、広大な4つのスキー場がある。東から「ニセコHANAZONOリゾート」「ニセコ東急 グラン・ヒラフ(以下、グラン・ヒラフ)」「ニセコビレッジスキーリゾート」「ニセコアンヌプリ国際スキー場」。それらを総称して「ニセコユナイテッド」といい、共通リフト券の発行や、連絡バスの運行などがおこなわれている。なかでも、中心的存在なのが最大規模のグラン・ヒラフだ。
グラン・ヒラフは、ニセコで唯一、羊蹄山を真正面に見ながら滑走できるスキー&スノーボードゲレンデ(冒頭写真)。ふもとには超高級ホテルにコンドミニアム、ヴィラなど多数の宿泊施設があり、ハイレベルなディナーを楽しめるレストラン、居酒屋やバーなども密集している。つまりアプレスキー(アフタースキー)=ナイトライフがとても充実しているのだ。

ふもとのまち(倶知安町)も、このにぎわい。アプレスキーも充実のグラン・ヒラフ
そんなグラン・ヒラフを中心にいま進んでいるのが2030年を見据えた「Value up NISEKO 2030」。持続可能な発展を目指すリゾート・ニセコを世界に通用する「NISEKO」ブランドにするため、地域と行政、企業が連携して取り組むプロジェクトだ。
実は、2030年代には新千歳空港や札幌方面からの高速道路が倶知安IC(仮称)まで、さらに時期は未定だがニセコIC(仮称)まで延伸予定。さらに2038年末以降にはなるものの、いま本州から新函館北斗駅までは運行中の北海道新幹線が札幌まで延びる。その途中に倶知安駅もあり、待望のニセコ最寄りの新幹線駅が誕生する見込みだ。加えて星野リゾートやアマンリゾートなど世界的ブランドのリゾート開発も予定されているから、ニセコが今後、世界からさらに注目を集めることは間違いないのだ。
ゲレンデとは思えないハイレベルの和牛ローストビーフ!

大きな窓から日本百名山の羊蹄山を望める「NEST813」
すでにグラン・ヒラフでは投資総額100億円という超大型プロジェクトが進行中。たとえば使用電力は2022年には100%再生可能エネルギーに切り替えを完了している。ゴンドラやリフト、レストランやスキーセンターの電力すべてだ。スキーやスノボードには欠かせないワックスも、環境に配慮したノンフッ素ワックスを開発し販売もおこなっているのだ。
今冬からは、食の新施設「NEST813」とオールシーズン型体験ベース施設「ALPEN NODE」を同時オープンさせた。
標高813mの、エースゴンドラ山頂駅駅舎2階にあるのがNEST813。NEST(巣)の名のとおり、“大自然の巣”をコンセプトにしたグルメレストランで、高さ6mの大きな窓が372席の広い店内をぐるりと囲む。天気のいい日には、窓の向こうに雄大な羊蹄山の眺望がパノラミックに広がる(上写真)。

左下から時計回りに、「和牛ローストビーフと丸っとじゃがいものグリル」「和牛すね肉のシチュー」「ズワイガニのラザニア」
眺望もさることながら、注目はその食の充実ぶり。いわゆる“ゲレ食(ゲレンデ食)”のレベルをはるかに超え、わざわざエースゴンドラに乗って山頂まで食べに行きたくなる味とボリュームなのだ。目の前で切り分けてくれるA5ランクの「和牛ローストビーフと丸っとじゃがいものグリル」、ソースがメチャ旨、シェフご自慢の「和牛すね肉のビーフシチュー」、芳しいカニの身たっぷりの「ズワイガニのラザニア」に、パンも焼き立てだ。
また、トレイを所定の場所に置くだけで会計ができるキャッシュレスAI自動精算機を、マウンテンリゾートでは初めて導入。これは北海道に拠点を置くスタートアップ企業の技術を採用したものだ。本格的な音響施設は白樺の端材や間伐材を利用している。

白樺の間伐材をつかった、かわいい色のスピーカー

日本最古のクワッドリフト「センターフォー」を再構築した客席も。往年のスキーヤーにはなつかしい
なんとスキー場にクラフトビール醸造所が!
エースゴンドラ山麓の近く、旧ホテルニセコアルペン跡地に2025年12月20日オープンしたのがALPEN NODEとそのレストラン、ヒラフエリアで初めてクラフトビール醸造所を併設した「POWDERHOOD RESTAURANT & TAPROOM」だ。

ビール醸造所もDJブースもあるPOWDERHOODは23時まで営業。早くもアプレスキーの中心地となっている
ここでは選ぶのも楽しい自家製クラフトビールなど多数のビールや国産和牛バーガー、地元・倶知安町産じゃがいもをつかったピッツアなど地元の食材を使った多彩なメニューが楽しめる。筆者も2種類のクラフトビールと肉汁たっぷりのバーガーをいただいて……いやいや、満足、満腹! 240席の店内はとてもにぎわっていて、DJブースがあり、音楽イベントなども開催しているとか。

20以上並ぶタップから丁寧にビールが注がれる

「Air Borne」と「First Track」、2種類のクラフトビールを飲み比べ!

地元食材をつかった「倶知安じゃがいもと北海道楽レットチーズのピッツァ」
もう待たなくていい! 輸送力が超充実
ゲレンデに目を向けてみよう。中腹にあった4人乗りのキング第3リフトは、最新型の6人乗りチェアリフト「キング第3シックス)にリニューアルされた。座面ヒートシーターつきで快適性を高め、輸送力は従来の1.3倍、1時間あたり600人増となった。

リニューアルされて「キング第3シックス」という名称に
そして、2年前の2024年から運行を開始している最新型で10人乗りの「エースゴンドラ」にも注目だ。乗り込んでみると、ここがスキーリゾートであることを忘れるくらいに快適。シートヒーターつきだから、おしりがほんのり温かく、少し眠くなってしまうほどだ。Wi-Fiつきだからスマホ片手に(手袋を外しても平気な暖かさ)、連れと「今晩、何食べようか」なんて会話も弾む。滑るようにスムーズに登っていくさまは、さすがは「ゴンドラ界のロールスロイス」と呼ばれるだけのことはある。

誰もが快適に乗れるよう設計されたエースゴンドラ
エースゴンドラの開発には、チェアスノーボーダーの辰巳博実さんもかかわっている。車イスから降りずに乗降できる設計で、介助なしでも利用できる。誰もが安全に、安心して乗れるのだ。
グリーンシーズンこそ楽しい! 夏はニセコを目指せ

エースゴンドラはグリーンシーズンにも大活躍
目下のニセコの課題はグリーンシーズンにツーリストの数が大きく減ること。そこでグラン・ヒラフでは、オールシーズン型リゾートを目指し、さまざまな取り組みを進めている。
夏季限定のカルチャーイベント「NISEKO HIRAFU GREEN PARK」では音楽ライブや野外シネマ、スケートボードの体験レッスンを開催。またニセコエリアで30年間、冬以外のシーズンにもアウトドアアクティビティやアドベンチャーサービスを提供してきた倶知安町の企業「NAC」がグラン・ヒラフのグループに加わり、ラフティングやマウンテンバイクなど夏のアクティビティを本格的におこなえるようになった。

NACが主催するラフティングのツアー。夏の羊蹄山がまた素敵!
ニセコエリアの夏は、ウルトラ・ラグジュアリーな5つ星ホテルがぐっと手頃な価格になる。しかも6~8月の平均気温は25.6℃と過ごしやすい(東京の平均は31℃を超える)。今年の夏は、ひとり旅でも、パートナー、友人、家族とでも、ぜひニセコへの旅を計画してみて!
text:古関千恵子 edit:舩川輝樹(FRaU編集長) photo:ニセコ東急 グラン・ヒラフ、舩川輝樹




