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“砂漠の都”モロッコのマラケシュで、あえて緑豊かな庭園めぐりを
“砂漠の都”モロッコのマラケシュで、あえて緑豊かな庭園めぐりを
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“砂漠の都”モロッコのマラケシュで、あえて緑豊かな庭園めぐりを

赤土の城壁に囲まれ、「赤い都市」と呼ばれてきたモロッコの古都マラケシュ。にぎやかな市場や赤い建物、活気あふれる広場、歴史的建造物、フレンドリーな人びとに魅せられ、世界中から多くの観光客が訪れています。乾いた空気と強い日差しが特徴の、砂漠に近い気候であるにもかかわらず、美しい庭園があることでも有名。緑の庭園には、驚くほど静かで穏やかな時間が流れています。このまちは、訪れる人をやさしく癒す緑のオアシスでもあるのです。

(写真:日の出とともに、モロッコの赤い大地の上空を浮遊する熱気球。遠くにマラケシュのまちを望む)

ハイブランドのインスピレーションの源となった「マジョレル庭園」

迷路のようなメディナ(旧市街)を歩けば、色と音と香りに圧倒される。人とモノの多さ、異国のカオス感に疲れたら、街の喧騒から少し距離を置き、緑に包まれた庭園へ。そこには、驚くほど静かで穏やかな時間が流れている。

マラケシュのメディナ。狭い路地に地元民と観光客がひしめく

新市街ゲリズ地区にあるマジョレル庭園は、マラケシュでもっとも名高い庭園。20世紀初頭、フランス人画家ジャック・マジョレルが情熱を注いでつくりあげたこの庭園は、色彩と造形が融合した芸術作品だ。

建物や噴水は青く塗られ、木々の緑とのコントラストが美しい

庭園内には、サボテンや多肉植物、竹、ハーブ、熱帯植物などが生い茂り、乾いたマラケシュのまちと比べて別世界のような緑が広がる。そのなかに、青く塗られた建物の欄干や植木鉢が効果的に配されている。この青色は「マジョレル・ブルー」と呼ばれ、世界のファッションやネイルカラーにまで影響を与えた。

1962年にマジョレルが亡くなると、世界的デザイナーのイヴ・サンローランとパートナーのピエール・ベルジェが庭園を購入した。彼らは荒れてしまった庭園の再生に尽力。オリジナルの美しさを尊重しながら新しい要素を加え、現在の姿に進化させた。

マジョレル庭園内にあるイヴ・サンローランミュージアム

敷地内には北アフリカに古くから住んでいたベルベル人の文化や芸術に触れられる「ベルベルミュージアム」があり、追加料金で入場が可能。美しい伝統衣装や装身具を通して、モロッコの歴史と文化を学べる。その文化に影響を受けたサン=ローランの作品の数を展示するのが、庭園に併設される「イヴ・サンローランミュージアム」。華麗なハイブランドの世界観とその歴史が学べるこちらも必見だ。

マジョレル庭園は非常に人気が高く、入場を待つ長蛇の列が名物になっている。事前にオンラインでチケットを購入し、できるだけ早い時間に訪れるのがベターだ。

モロッコ伝統建築の粋を伝える美術館「ダル・エル・バシャ」

旧市街地の奥にひっそりと佇む、壮麗な邸宅ダル・エル・バシャ。スルタン(イスラム教における君主)よりマラケシュのパシャ(太守)に任命されたタミ・エル・グラウイの私邸として、1910年に建てられた。

2017年に国立美術館財団によって修復され、現在はモロッコ伝統建築の粋を伝える美術館として一般公開されている。彫刻が施された扉、色鮮やかなステンドグラスの窓、精緻なモロッカンタイル「ゼリージュ」、繊細な漆喰細工──。すべてが、モロッコ建築の美意識をいまに伝えている。

オレンジやザクロがたわわに実る、ダル・エル・バシャの美しい中庭

宮殿内は中庭が連なり、どれもが少しずつ表情が違う。オレンジの木々がやわらかな木陰をつくる中庭を取り囲む回廊は、かつて人々が語らった場所。モロッコ様式の「リアド建築」の典型とされる、洗練のデザインだ。

バシャ・コーヒーのエレガントな店内

美術館には、昨年末に東京・銀座にもオープンしたコーヒーハウス「バシャ・コーヒー」がある。焙煎したてのアラビカ種100%のコーヒーや香り高いフレーバーコーヒーの味は格別。ラズベリーとシナモンのクロワッサン、トリュフオムレツなどの軽食もあり、優雅な時間を演出してくれる。

名門ホテル「ラ・マムーニア」の植物園のような庭

マラケシュには、庭園を備えるホテルが多くある。その代表格が、メディナの入り口に立つ1923年創業の名門「ラ・マムーニア」だ。約8万㎡に及ぶ広大な庭園で、バラの茂みや果樹園、専用の菜園、樹齢600年を超える木もあるというオリーブ畑が守られている。

手入れの行き届いた、ラ・マムーニアの広大なガーデン

予約が取りづらい人気ホテルだが、宿泊者でなくても、レストランやカフェを利用すれば庭園を散策できる。強い日差しがやわらぎ、空気が少しひんやりとする夕暮れは、庭園歩きに最適だ。小径(こみち)をたどれば、オリーブやヤシの木、アレッポ松やサボテンなどが生い茂り、レモンやオレンジ、イチジク、桃といった果樹が彩りを添える。ジャカランダやバラ、ブーゲンビリアの花々も咲き誇り、まるで楽園のようだ。

ラ・マムーニアの庭園(左上)、レストラン「リタリアン by シモーネ・ザノーニ」のピンクグレープフルーツソルベ(右上)、レストランのソファで眠る猫(左下)、宮殿のような室内プール(右下)

庭園を歩いていると、のんびりとくつろぐ猫たちによく出くわす。ホテルには30匹以上の保護猫が暮らしており、シェルターや獣医師まで準備されているそうだ。日向ぼっこをする猫に癒やされながら散策していると、メディナの喧騒を忘れてしまう。

マラケシュのランドマーク横に広がるバラの庭園

約77mを誇る塔を備えたモスクの隣にあるのが、クトゥビア庭園(別名、ララ・ハスナ公園)だ。約2ヘクタールの敷地には、オレンジやヤシの木々が豊富で、左右対称の遊歩道が伸びている。春には丁寧に手入れされたバラが咲き誇り、木陰のベンチから観光客や地元の人たちがそれを愛でる。

メディナの中心地、ジャマ・エル・フナ広場のすぐ近くにありながら、穏やかな空気が流れるクトゥビア庭園

デジタルと自然が融合した都市型公園「サイバーパーク」、宮殿建築と庭園美が調和する「バヒア宮殿」、メディナの路地奥にひっそりと佇むガーデン「ル・ジャルダン・セクレ」など、マラケシュでは思いがけない場所で豊かな緑と出合える。観光の合い間にこれらの緑に触れるだけで、このまちの印象は大きく変わるはずだ。

photo&text:鈴木博美 協力:モロッコ政府観光局

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