西オーストラリアの州都・パースはストリートアートの宝庫だった
高層ビルが立ち並ぶまちの中心部から、ほんの数分歩くだけで深い緑が広がっている、西オーストラリア州の州都・パース。大都市でありながら、肩ひじ張らないで歩ける雰囲気が魅力のこの地への直行便を全日空が再開したと聞き、さっそく行ってきました。(上写真:再開発で生まれ変わった、パースのウォーターフロント地域エリザベス・キー)
地元ガイドがディープな路地裏までご案内
パースのまちは1829年、イギリスのスワンリバーコロニーとして築かれ、西オーストラリア開拓の拠点となった。そのためパース市には、いまも植民地時代の石づくりの建物と現代的な高層ビルが共存している。オーストラリア観光認証プログラムの認定を受けている民間ガイド「Oh Hey WA」が案内するウォーキングガイドツアーに参加して、パースのまちをめぐってみた。

1870年に建てられたタウンホールは、刑務所の囚人たちが建築に携わった

ウォーキングツアーのガイド、エイディ・チャップマンさんは地元生まれの地元育ち
車や公共交通機関、自転車でめぐったのでは見過ごしてしまう細かい路地裏の表情などを楽しめるのがウォーキングツアーの醍醐味だ。ガイドのエイディさん(上写真)は、「学生時代にバックパック旅行で感じたウォーキングツアーの面白さを、故郷パースでも届けたい」と、機械工学の道から転身してツアー会社を設立。2021年には、西オーストラリア州観光省から「若手功労者」に選出されている。

「ウルフレーン」通りの壁画アートたち
パースの中心部を歩くと、通りのあちこちにカラフルでダイナミックなウォールアートがあるのがわかる。実はこれらは、市が取り組むアートプロジェクトによるもので、地元アーティストや世界各国から渡ってきた芸術家たちが、市内の壁という壁をキャンバスに、思い思いのアートを展開する。なかでも歩行者天国も開催されるショッピングストリート「マレーストリート・モール」近くの「ウルフレーン」は、多くのストリートアートが描かれたクリエイティブなエリア。巨大な壁画から、気をつけないと見逃してしまう小さなインスタレーションまで多彩なアートがあちこちに描かれている。ガイドのエイディさんは、その一つひとつを丁寧に解説してくれた。

「バラックストリート」の地下にある、落ち着いた雰囲気の「アルフレッド・ピッツェリア」
2時間のウォーキングツアーのなかで、歴史的建造物、最新スポットから、ひとりで歩いていたら見過ごしてしまうような路地裏のアートまで、さまざまな場所を知れた。エイディさんはツアーの締めくくりに、地下にある老舗のピッツエリア&バー「アルフレッド・ピッツェリア」でカクテル片手に、このまちへの愛を語ってくれた。彼女の笑顔を見れば、パースが素晴らしい都市であることがよくわかる。
せっかく旅に出たのなら、人気観光地をめぐるだけではもったいない。ぜひ、こうしたウォーキングツアーに参加して、ガイドの話に耳を傾けながら見知らぬ路地を歩いてみよう。きっと忘れられない思い出になるはずだ。
無料の「CAT」バスで市内を縦横無尽にめぐろう!

パース市内を巡回する無料バス「CAT」のバス停。CATだけにネコのマークがあしらわれていた
パースと日本の時差はたったの1時間。時差ボケに悩まされることがないのが魅力だ。現在は週3回、全日空が成田-パース直行便を運航している。
パース空港から市中心部への移動には電車、有料バス、タクシーなどがあるが、市内観光には無料の巡回バス「CAT(City Area Transit)」が便利だ。パース駅を起点に巡回するルートによって「ブルー」「レッド」などに色分けされているので、バス停などでも判別しやすい。お目当てのバスがバス停に近づいてきたら、手を大きく挙げてドライバーに合図をする。降りたいときは座席近くの降車ボタンを押せばOKで、日本と同じだ。車窓からの風景を楽しみながら、ふと気になる場所があったら、フラリと下車してみる。パースは、こんなふうにも楽しめるのだ。
取材協力:西オーストラリア州政府観光局、全日本空輸 photo&text:鈴木博美