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江戸時代から続く都会の農地でぶどう狩り
江戸時代から続く都会の農地でぶどう狩り
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江戸時代から続く都会の農地でぶどう狩り

東京都心の住宅地に、突如現れる広大なぶどう園。
世田谷区の国分寺崖線沿いにある木村ぶどう園は、都心では珍しいぶどうのもぎ取りをおこなっている。自然に触れる機会の少ない都心の子どもはもちろん、大人にとっても新鮮な体験ができるとあって、都内や横浜などから多くの客が訪れている。

ぶどう園の中に入ると、樹齢25年の古木からまだ樹齢5年ほどの若い苗木までぶどうの木があちこちに生えている。ぶどうの木の寿命はおよそ30年と決して長くなく、定期的に植え替えることで持続させている。頭上はたわわに実ったぶどうでぎっしりと埋め尽くされており、そこだけ見ると自然豊かな山里にいるような気分になるが、鳥よけのネット越しにはマンションが見えている。

世田谷区も高度経済成長期頃まではあちこちに畑があったというが、すっかり都心の住宅地となった今、そう聞いてにわかに信じるのは難しい。ところが世田谷区周辺には木村ぶどう園も含め、ぶどう園が10園以上あるという。

「うちは江戸時代から続く代々の農家で、ずっと野菜を作っていましたが、父が昭和60年に発足した世田谷ブドウ研究会の立ち上げに関わったのをきっかけに、ぶどう園も始めました」と語るのは、現園主である木村孝一郎。元は商社に勤める会社員だったそうだ。

園内を自由に歩き回る鶏の数は約150羽。これだけの数の鶏を都心で見られる機会も、そうそうないだろう。「ただ、土日は放し飼いにはしていません。今は鶏が怖いって人も多いから」。

生命力の塊のような鶏の匂いと肥沃な土の匂いが混じるぶどう園にたたずんでいると、ふだんは考えもしないことが頭をよぎる。スーパーで何気なく買っている果物や野菜も、鶏やぶどうと同様に、手をかけて大切に育てられた生き物なんだな、と。

後編はこちら

木村ぶどう園

木村ぶどう園公式サイト
世田谷ブドウ研究会公式サイト

※ぶどう園の無断撮影は禁止です。

木村ぶどう園は住宅街の中にあるため、すぐ横には道路があり、車が走って行く。
ネット越しに高台に建つマンションが見えるのも都心にあるぶどう園ならでは。住人は畑やぶどう園があることを理解して引っ越して来るので良い共生関係にあるという。
ぶどうのもぎ取りは8月と9月の2回に分けておこなっている。来園者には1組に1セット、カゴとハサミが渡され、ぶどうをもぎ取ることができる。
広さは約23アール。通常のスタッフに加え、収穫時期にはアルバイトも動員してもぎ取りに備える。
平日のみ放し飼いにされている鶏は約150羽。広い敷地をのびのびと歩き回り、落ちた葉も餌にしている。
ぶどうと同様に都会暮らしの子どもが滅多に見ることのない産みたて卵。生命の循環をリアルに感じられる貴重な機会でもある。

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