発電所の先に見る、ふるさとの夢
有志25名がひとり20万円を出して生まれた小さな水力発電所。陽野ふるさと電力株式会社がある武州日野は、かつては林業で栄えた町だが、後継者不足もあって衰退し、現在目立った産業はない。また、多くの地方都市と同様、若者の流出と住人の高齢化も課題である。
「ここはもともと『しだれ桜ともみじの里』といわれ、3シーズンに亘って観光客に楽しんでいただける要素があります。小水力発電によって地域循環型エネルギーを創出することで、秩父の自然を守りつつ周辺の里山を整備し、地域の活性化に貢献していくのが存在意義でもあります」と語るのは、事業部長の江田治雄。
鹿などの野生動物に荒らされていた林の整備はすでに始まっており、杉やヒノキの伐採やカエデの植樹なども少しずつおこなわれている。将来的には荒川しだれ桜や荒川もみじを地域全体に植樹して、名所をさらに盛り上げていきたいと言う。
坂道の多い土地で不便を感じている高齢者や障害者の足となる自動運転エコカーを走らせる構想もある。小さな渓流に灯った循環型社会への取り組みは、多くの人の希望の光でもある。
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陽野(ひの)ふるさと電力株式会社
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