そのプロダクトから美しい未来を描く。シャネルの美しき自信と矜持
最高峰のラグジュアリーを追求する世界屈指のビューティメゾンが、生物多様性や環境保護のためにサステナブルなマニフェストを掲げはじめています。シャネルのコミットメントから、後世へと受け継がれるべき美しき矜持を紐解きます。
CHANELの気高きたくらみに迫る
「美しさとは、自らが蒔いた種を実らせ、収穫していくこと」を誓い、自然と対話しながら、独自のエコシステムのなかで最上級の美しさを追求することをマニフェストに掲げるシャネル。この信念が生まれたのは、名香「シャネルN°5」や、最初のスキンケア製品を発表した1920年代。その背景には、ガブリエル シャネルの原料の品質や本物であることへの徹底したこだわりがあるよう。「シャネルN°5」の香りの品質を永続させるために、南仏グラースの花栽培農家とパートナーシップを結んだのをきっかけに、数多くの植物原料確保のため、持続可能なプログラムを推進している。生物多様性の保護やフェアトレード、環境を保護する生産方法や植物に関する無形遺産の保護など、5つの基本原則に沿って、メゾンの責務を果たそうとしているのだ。
10年前には、植物学、地質微生物学、農林複合経営、地域振興の専門家の協力のもと、最初のオープンスカイ ラボラトリーを設立。潜在能力の高い植物原料の生産からグリーンケミストリーを遵守しながらの研究開発までを一貫して行っている。
2022年に誕生した新ビューティライン「N°1ドゥ シャネル」の根幹を成す、細胞老化のメカニズムに働きかけるキー成分レッド カメリア ペタルエキスも、フランス南西部のゴジャックにあるオープンスカイ ラボラトリーで栽培管理されているザ ツァー(皇帝)という品種のカメリア・ジャポニカから抽出されたものだ。
ほかにもフランス南アルプスでアンティリスやソリダゴ、コスタリカでグリーンコーヒー、マダガスカルでヴァニラなど、オープンスカイ ラボラトリーは、世界4ヵ所で稼働中だ。シャネルのマニフェストは植物の原材料のみならず、製品のライフサイクルすべての過程において環境負荷の低減を約束している。
たとえば、「N°1ドゥ シャネル」は7つのフリー処方にリフィル対応、カメリアシードをパッケージに再利用したり、リサイクル&バイオ由来原料やオーガニックインク、FSC認証紙の採用などカーボンフットプリントを確実に削減。先駆けとしての自信、矜持がじわじわと肌に伝わってくるほどだ。
●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Kenichiro Fujimoto(products/A.K.A.) Text&Edit:Sawako Abe
Composition:林愛子