瀬戸内海の生口島「しおまち商店街」で出合ったサステナブルなスポット【後編】
私たちのふだんの行動軸をベースに、未来を変えるアクションを集めました。毎日の暮らしのなかでできることから新たな世界での体験まで、やりたいことから探してみましょう。今回は、「旅する」アクションの一例をご紹介します。
住人も旅人も集まる
町のリビングルームへ
しおまち商店街にはほかにも、宿泊者と町をつないでくれる施設がある。2021年4月に、商店街の入り口にオープンした「SOIL Setoda」だ。
中長期滞在が可能なゲストルーム、食堂、焙煎所のある複合施設は、誰もがつかえるラウンジを備えており、「町のリビングルーム」として機能している。旅人と地域の住民とが交流できる開かれた拠点ができたことで、地域でできることは広がっていく。
たとえば、地元の人とのサイクリングツアーや、自然農法のレモン講座に収穫体験、漁師と行く海釣りなど、ユニークなツアーのきっかけにもなる。
この施設誕生の背景には、2019年に始まった地域の人とのワークショップ「しおまちサミット」がある。
瀬戸田が好きな内外の人々が参加し、これからの町のことについて自由に意見交換するなかで、町に足りないものがたくさん見えてきたのだ。
Wi-Fiが使えて本格的なコーヒーが飲めるカフェ、観光案内所、ワーケーションができるホテル……それらの要望を叶えたのがSOIL Setodaだった。
また施設の外においても、商店街の看板をおしゃれにリニューアルしたり、地元の美大生との協力でアートなマンホールをつくったり、レンタルバイクや傘をレモン色にしたり、町のウェブサイトを立ち上げたりと、瀬戸田を愛する人が一丸となって地域を盛り上げる活動を続けている。
瀬戸内海の町並みと食の恵み、商店街での出会いを楽しみながら地方創生にも寄与できる瀬戸田の旅。この夏は、自然に対話や広がりが生まれてくるような、サステナブルな地を訪れてみては?
INFORMATION
SOIL Setoda
誰もが利用できるラウンジのほか、ホテル、食堂、コーヒーロースター、観光案内所などの機能が複合。商店街を挟んでLIVING棟、KURA棟があり、後者はもともと塩蔵だった建物。港の食堂〈MINATOYA〉では、地元の農家や漁師から直接仕入れた食材を、薪火で焼いてシンプルに味わうことができる。観光案内所では、マップなども配布しているので旅の拠点に。全4室。トイレやシャワーは共有。広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田254-2 ☎0845-25-6511 soilis.co/locations/setoda
●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Tetsuya Ito Text & Edit:Asuka Ochi
Composition:林愛子