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「Jリーグをつかおう」が合い言葉! 社会連携=「シャレン!」受賞プロジェクトの地域密着度がすごい!!
「Jリーグをつかおう」が合い言葉! 社会連携=「シャレン!」受賞プロジェクトの地域密着度がすごい!!
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「Jリーグをつかおう」が合い言葉! 社会連携=「シャレン!」受賞プロジェクトの地域密着度がすごい!!

開幕30周年を迎えたJ リーグ。いまや全国60クラブが加盟しており、それぞれが社会連携活動「シャレン!」に力を入れ、SDGsに貢献しています。シャレン!とは、「Jリーグをつかおう」を合い言葉に、リーグの人気や知名度をつかって、各クラブが住民や自治体、企業を巻き込み、地域の課題解決に向けおこなう取り組みのこと。前編に引き続き、「2023 Jリーグシャレン! アウォーズ」で表彰された、3つの受賞クラブのプロジェクトを紹介します。

――前編はこちらーー

小学生や高校生と一緒になって進めた、環境保全への取り組み

5月15日に開催された「Jリーグ30周年記念イベント」では、全60クラブの社会連携活動「シャレン!」から選ばれた「2023 Jリーグシャレン! アウォーズ」の各賞が発表された。前編でお伝えしたとおり、「ソーシャルチャレンジャー賞」は名古屋グランパス、「パブリック賞」は藤枝MYFC、「メディア賞」はカターレ富山がそれぞれ受賞。この後編では、そのほか3つの受賞プロジェクトを紹介しよう。

「明治安田 地元の元気賞」は、地域社会とのつながり、ふれあい、ささえあうをテーマに、地域住民を元気にした取り組みに与えられる。受賞したのは水戸ホーリーホックの「新しいフツウを子どもたちからプロジェクト~大豆ミートバーガー編~」だ。

始まりは2021年11月、茨城県つくばみらい市在住の小学5年生(当時)、田島修太くんが、Jリーグ全58クラブ(当時)に、どのように環境保全活動をしているかを問うアンケートのメールを送ったことだった。結果、地元・水戸ホーリーホックの会長やGMとの面会が実現、田島くんはその場で「環境保全のための大豆ミートバーガー販売」を提案した。そして田島くんの同級生・髙本由梨子さんが加わり、2人をリーダーとするプロジェクトがスタートしたのだ。

2人は大豆ミートバーガーの製造・販売をサポートしてくれる地域の飲食店を探してレシピを作成、試作などを重ね、ホーリーホックの村田航一選手や山口瑠伊選手とともに「リーグ最終戦にスタジアムで大豆ミートバーガーを販売する」ことを目標に、オンライン試食会を実施したり、大豆ミートを使用したときと、牛肉を使用したときに出る温室効果ガス排出量の比較などを示したチラシを制作したりした。かくして2022年のチーム最終戦、ケーズデンキスタジアム水戸で販売された200個の大豆ミートバーガーは完売。800枚のチラシも協力してくれた子どもたちだけで配り終えた。

ケーズデンキスタジアム水戸で大豆ミートバーガーを完売させ、チラシも配り終えた子どもたち©MITOHOLLYHOCK

「今回の活動は茨城県内の当時小学生、現在、中学1年生の方のメールから始まりました。大豆ミートバーガー、まだまだ小さな活動ではありますが、これが大きな社会課題の解決に向かっていくことを確信して、クラブとして推進してまいりました。多くの方の協力によって実現した大豆ミートバーガーは、今シーズンもスタジアムで販売します。皆さん、ぜひ一度食べてみてください。とてもおいしいうえに、たくさんの愛情がこもっています!」(水戸ホーリーホック)

「シャレン!」が生まれたきっかけは2016年、当時は川崎フロンターレの現役選手だった中村憲剛さん(写真)が、村井満Jリーグチェアマン(当時)に放ったひと言だった。「サッカー選手はピッチ外でも積極的に地域のために活動すべきです。Jリーグは何をしているんですか!」と、強い口調で村井さんに迫ったという

Jリーグの各クラブが、「自分たちのクラブや地域でもマネしたい」と思える活動に贈られる「クラブ選考賞」は、モンテディオ山形の「高校生が本気で挑戦できる場として『高校生マーケティング探究』を実施」が受賞した。

山形に限らず、地方では若者の地域外流出が深刻な問題となっている。「流出の原因は、若者が学び、それを活かせる場がないからだ」と考えたモンテディオ山形は、米沢市や山形県置賜総合支庁ほか民間企業協力のもと、県内の高校生38人を集めて約2ヵ月間の「高校生マーケティング探究」プログラムを実施した。1ヵ月目はマーケティングに関する基礎知識を学び、2ヵ月目は、モンテディオ山形の試合がおこなわれるNDソフトスタジアム山形への集客方法を議論。その集大成となる「最終プレゼンテーション」を、1泊2日の合宿形式でおこなったという。

「この活動を始めたのは、自治体や地域の皆さんとの会食の場で、『若い人たちがどんどんいなくなって、町がさびれていくなあ』という話をしたことがきっかけです。2023年からは、高校生マーケティング探求プログラムを発展させた『モンテディオ山形U23マーケティング部』がスタートしました。プログラムに参加していた高校生たちもメンバーに入っているほか、北は北海道、南は岡山まで、約40名の学生が参加してくれています。私たちと同じような課題を持った他の地域の皆さんが、若い人たちの力でどのように地域を盛り上げていけるか……。今後も、さまざまな取り組みをやっていきたいです」(モンテディオ山形)

最後に発表されたのは、一般サポーターが1人最大2票を投じ、合計1万票を超える投票によって決定した「ファン・サポーター選考賞」。ガイナーレ鳥取の「継続は笑顔なり。20年続けてつながった2つのシャレン」が選ばれた。

2022年には鳥取県米子市内の2つの学校で、校庭の芝生化と「復活! 公園遊び」を実施。2023年度中に、新たに4校で実施するという©GAINARE TOTTORI

ガイナーレ鳥取は2003年からもう20年間も、「復活!公園遊び」という地域貢献を続けている。外遊びをする機会が減っているイマドキの子どもたちのために、同クラブの選手やスタッフが「ガキ大将のお兄ちゃん」になって、地域の子どもたちと鬼ごっこ、だるまさんが転んだなど、昔ながらの身体をつかった遊びをするという活動だ。それに加えて同クラブは、2017年から米子市の遊休農地(耕作放棄地)を利用して芝生を生産・販売する事業「しばふるプロジェクト」もスタートさせた。2022年には、「しばふる」でつくった芝生を淀江小学校の校庭約5000㎡に敷き詰めた。クラブの選手、スタッフはもちろん、同小学校の児童とその家族、先生たちが一緒になっての大作業。そして同年秋には完全に芝生化されたその校庭で、「復活!公園遊び」もおこなわれている。ガイナーレ鳥取が取り組むふたつシャレン!が、ひとつにつながった瞬間だった。

「われわれのホームタウン鳥取県は、全国でもっとも人口が少ない。私自身、子どもの頃から、ずっとそう聞かされて育ってきました。そんな地域のクラブがファン・サポーター賞で最多得票したとのこと、とてもビックリし、喜んでおります。2022年には、米子市内のふたつの学校で、校庭の芝生化と『復活!公園遊び』を実施し、大変好評でした。身近なコミュニティを育てていくことも、Jリーグの大きな役目です。これを続けていくことが本当に大切だと思っています」(ガイナーレ鳥取)

全国全60クラブから選ばれた、6つの受賞クラブ。今後も継続して、それぞれの取り組みを続けて広げていきたいという

今回受賞した6つの活動は、どれも地域にしっかり根ざしている。Jリーグのこうした取り組みは、「何かSDGsに向けてアクションを起こしたい」と考えている人にとって、大きなヒントを与えてくれそうだ。

ーー前編はこちらーー

text:石塚圭子 写真提供:Jリーグ

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