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何からはじめる? 「投資」ビギナーのための基礎知識
何からはじめる? 「投資」ビギナーのための基礎知識
COLUMN

何からはじめる? 「投資」ビギナーのための基礎知識

投資は怖いという先入観を持っているアナタ。そのイロハを知れば、自分にも社会にもプラスになる投資ができるはずです。しくみや注意点、銘柄などについて基本から解説します。投資の知識を増やしていきましょう。カタリスト投資顧問・副社長COOの小野塚惠美さんにお話しを伺いました。

Q.そもそも投資って?

自分を豊かにする手段のひとつです

「投資」と聞くと身構えてしまう方も多いでしょう。日本では地道に働いてお金を稼ぐことが美徳とされ、投資は「マネーゲーム、ギャンブル」というイメージが根強くあります。でも、マネーゲームは投資ではありません。「投機」と呼ばれる別の分野です。

投資は、自分の資本、お金や時間などを「自分の信じるもの」に投じることを意味します。つまり自分のために英会話スクールに通ったり、美容院に行ったりする「自己投資」もそのひとつです。その延長で金融の投資を捉えてみてはいかがでしょう。あなたのお金を、あなたが「いい」と判断した株や投資信託に投資し、お金に働いてもらう。どちらの投資も自分を豊かにする手段です。もちろん貯金と異なり、株や投資信託などの金融商品は分リスクもあります。

Q.お金が減るリスクを避けるには?

リスクを避けることが
最大のリスクです

株や投資信託などの金融商品は100万円で買ったものが105万円に上がる可能性もあれば、95万円に下がるリスクも。ならばリスクを避けて「私は貯金でいいや」で一生過ごしますか。

考えてみてください。3000円で買った口紅も、肌に合わず捨てるなら3000円の損失です。入学金5万円の英会話スクールも、継続できなければ5万円の損失。何にでもリスクはつきものです。私たちは損を軽減するため、ネットで公式サイトや口コミ情報を検討しますよね。投資も同じです。

人生100年時代、老後もいまの生活水準を維持しようと思えば、超低金利の普通預金だけでは心細いでしょう。リスクを取らないことが、むしろリスクともいえるのです。もちろんムリなく小さくはじめることが鉄則です。

Q.まず何からはじめましょう?

「小さく」「ムリなく」
それが肝心です

初心者の方はとにかく「小さく、無理なく」がポイントです。明日すぐに必要な生活費や、何かあったときのためにキープしておきたい貯金を投資に回すのは、現実的ではありません。まずは、毎日なんとなく買っているペットボトル飲料やお菓子などを「買ったつもり」で投資にあててみましょう。1日100円なら、1ヵ月で3000円。その金額で毎月積み立て投資をしてはいかがでしょう。

現在30~40代の方が老後を意識するなら、引退まで30年前後の長期で運用できるため、ある程度リスクを伴う商品を選択できます。30年間同じ金額分を買い続ければ「ドルコスト平均法」の効果で、商品価格が上下しても長期で見れば全体として平均をとれ、リスク分散できるからです。ぜひ時間を味方につけて、小さくはじめてみましょう。

Q.銘柄が多すぎて選べません。

まずは価値観に従ってみましょう

商品を選ぶ際には、ぜひ自分の価値観を出発点に。主な金融商品にはリスクの高い順に株式→FX→債券があり、一般的にリスクが高い商品ほど高いリターンを期待できます。自分がどれだけのリスクを取るかは、自身の価値観次第です。

大枠が決まり、具体的な商品を選ぶ際にも大事なのはあなたの価値観です。動物や自然が好きなら、それらを保護する事業を行う企業に、旅行好きなら自分の好きな国や航空会社に、メイクやファッションが好きなら化粧品やアパレルメーカーに投資できる商品を選んでみてはどうでしょう。価値観の合う商品ほど、継続的に動向を見たり、関連ニュースに敏感になったりするはず。そういった主体的な姿勢こそが投資に不可欠なのです。

Q.投資したお金はどうなるのですか?

企業や国のために使われます

株式とは企業がお金を集めるために発行するものです。債券も同じく企業や国、地方自治体などがお金を集める目的で発行します。投資信託とは、金融のプロが各商品のテーマに沿って株式や債券などを選んで投資する「パッケージ」のことです。

どんな種類であれ、私たちが投資したお金は発行元である企業の事業資金や国の運営資金に使われます。となれば、やはり選ぶ際に大事にしたいのは自分の価値観。大切なお金だからこそ、自分が共感でき、応援したいと思える企業や国に投じたいですよね。

Q.投資で社会に貢献できるんですか?

その分野への投資熱が高まっています

いま投資の世界では、利益のような目に見える「財務的リターン」だけでなく、環境や社会にいい影響を与える「社会的なリターン」も追求すべきだといわれています。それが「ESG投資」という分野で、すでに多くの金融商品が登場しています。ESG投資で投資家が注目するのは、企業が環境(Environment)と社会(Social)の課題に対していかに取り組んでいるか(企業統治/Governance)という点。

その投資判断は、環境への配慮やダイバーシティの実現などESGのさまざまな項目の査定をもとになされています。最近では、一歩進んでより課題解決に重点を置く「インパクト投資」も登場しました。これらの背景には、気候変動など深刻な環境問題や、人種差別、貧困問題、栄養格差など社会的課題があるのはいうまでもありません。

大切なお金は、社会的なリターンに積極的な企業にこそ役立ってほしいと思いませんか。その応援がひいては自身を取り巻く環境や社会の改善につながり、いいお金の循環が生まれるのです。

Q.ESG投資と寄付の違いは?

財務的なリターンがあることです

このままでは地球環境も社会基盤も持続不可能と叫ばれるいま、みなさんも自分にできることを探して、慈善事業を行う団体への寄付や、環境保護活動のボランティアを考えているかもしれません。そうした寄付やボランティアとESG投資やインパクト投資は、どこが同じで、どの点が違うのでしょうか。

共通するのは、どちらも環境や社会的課題に対していい影響を与える「社会的なリターン」を期待できる点。大きく違うのは、ESG投資やインパクト投資は「投資」の名のつく以上、「社会的なリターン」だけでなく「財務的なリターン」を同時に追求する点です。寄付で貢献するのか、投資で応援するのか、その選択はやはり個人の価値観次第です。ぜひ、自分も社会も豊かになれる未来に投資する、あなたにぴったりのやり方を見つけてください。

PROFILE

小野塚惠美 おのづか・えみ
マネックスグループ子会社、カタリスト投資顧問の副社長COO。財務、非財務(ESGやサステナビリティなどを含む)双方の視点を統合し、投資先企業との対話を通じて、投資先の企業価値向上に注力する。

●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです(2020年11月)。
Illustration:Tomoko Fujii Text:Saori Takagi Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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