ケニアの貧困層を支えるデジタル地域通貨「サラフ・クレジット」
途上国に広がるデジタル通貨や先進国の新しい寄付のかたち。世界で進むプロジェクトから、ケニアの取り組みを紹介。お金のつかい方に、社会問題を解決するヒントがありました。
経済の循環をつくる
透明性のあるデジタル地域通貨
始まりは、2010年にアメリカ人のウィル・ラディックによってケニアに導入された「エコ・ペサ」という名の補完通貨(地域通貨)。それを機に、さまざまな地域通貨が誕生し、2016年に「サラフ・クレジット」という名の通貨に統一された。
なぜ、ケニアでこれほど地域通貨が広がったのかといえば、多くの人々が貧困生活を強いられ、国が発行する通貨ケニア・シリングが手元にないから。店に食べ物や日用品があっても買えず、病院や学校があっても利用できない。それは商売や経済が回らないことを意味し、悪循環が生まれている。
現在、サラフ・クレジットは100%ブロックチェーンによる暗号通貨となった。ユーザー同士で通貨のやり取りが生まれるほか、貧困層には赤十字などからダイレクトに支援が行われる。デジタル通貨なのでつかい途を正確に把握できるのもメリット。
商店などが稼いだサラフ・クレジットはケニアの通貨、ケニア・シリングと交換可能。1サラフが1ケニア・シリングになる。大切なのは持続可能な経済の循環をつくること。そのためのきっかけをデジタルの地域通貨が担っている。
www.grassrootseconomics.org
●情報は、FRaU SDGs MOOK Money発売時点のものです(2020年11月)。
Coordination:Yumiko Nakanishi Text:Yuka Uchida, Sakiko Setaka Edit:Yuka Uchida
Composition:林愛子
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