学生服から寝具まで。不用品の“つなぎ屋ビジネス”
私たちのふだんの行動軸をベースに、未来を変えるアクションをはじめてみませんか? 毎日の暮らしでできることから新たな世界での体験まで、やりたいことから探してみましょう。今回は、不用品をごみにしない取り組みを紹介します。
香川からはじまった「制服リユース」
在学中は必須だが、卒業すれば不要になるのが、学校指定の制服や体操着。「さくらや」は、そんな学生服を必要な人につなげるリユースショップだ。創業者の馬場加奈子さんは3人の子どもを育てるなかで、子の成長のたびに制服を買い替えなくてはならないのが負担だったという。
そこで起業を決意し、2011年に香川県高松市で1号店をオープン。13坪の店舗に、自分や友人の子どもたちの学生服と体操着を50着ほど集めてスタートした。営業時間は週4日、10~15時。
買い取った衣類の洗濯や、ネーム刺繡を剥がす作業は、地域で暮らす障がいのある人や高齢者の雇用にもつながった。
働きながら子育てしやすいこの仕組みで、開業支援のパートナー制度を確立させ、2022年夏には全国96店舗にまで拡大している。
学生服リユースShopさくらや www.seifuku-sakuraya.com
古着を回収してケミカルリサイクル
世界のファッション産業では、年間9200万トンもの服が廃棄されるという。その一方で、繊維生産量の約6割を占める、石油を原料としたポリエステルは、毎年5200万トンが生産される。
そこでスタートしたのが、サーキュラーエコノミー型ブランドの「BRING」。ファッションブランドと協働して、不要になった洋服の回収をおこなう。ポリエステル素材は自社工場で再資源化し、再び服として再生する。ユーザーは着なくなった服を回収店舗へ持ち込むだけで、面倒な手続きは不要。
オンラインストアで製品を購入すると、服の回収封筒がついてくるので、いらなくなった服を入れて返送もできる。ポリエステル以外の素材でもOKで、他の企業と連携し、素材に応じたリユースや寄付、リサイクルをおこなっている。
BRING bring.org
これまでは「粗大ごみ」だった寝具を再生
シングルサイズの羽毛布団を製造するには水鳥200羽、綿布団なら綿畑100坪以上の綿が必要だという。膨大な資源が使用されるのだ。しかし、これまでは寝具が不要になっても、粗大ごみとして捨てられるのが一般的だった。
綿や羽毛、ポリエステル、ウレタンなど、さまざまな素材が使われていることや、寝具メーカーによって製法が異なることから、寝具は再生のルートに載せにくく、リサイクル率は2%にも満たないという。
2021年に誕生した「susteb」は、寝具を回収し、再生するサービスだ。回収した寝具は、素材や混合率、汚れ具合によって分別され、洗浄・滅菌を施されたのち、素材ごとに圧縮・チップ化されて、再製品化に向かう。2022年4月までに回収した寝具は約11万枚、再生した素材は約100トンというからすごい。
susteb susteb.life
いますぐ不用品を“つなぐ”なら……
フリマアプリ
スマホやインターネットなどで、フリーマーケットのようにユーザー間で売り買いできるアプリ。出品手数料や決済手数料がかかる。
ネットオークション
インターネット上で行われるオークション。商品を出品し、最高価格を提示した買い手が落札する。会員登録や出品手数料がかかる。
フリーマーケット
公園や広場、駐車場などを会場にして、洋服や家庭の不用品などを持ち寄り、販売する古物市。参加料は数百円~3000円程度。
リサイクルショップ
不用品の査定を依頼できる。直接店舗に持ち込むほか、出張や宅配などがある。つけられた値段に納得できれば買い取り契約が成立する。
エコ・ステーション
新聞や雑誌、段ボールなどの古紙類、缶やペットボトルといった資源の回収ボックス。スーパーマーケットなどに設置されていることも。
●情報は、FRaU2022年8月号発売時点のものです。
Photo:Akiko Baba(SAKURAYA) Text & Edit:Chihiro Kurimoto
Composition:林愛子
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