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イラストレーター服部あさ美「人間と自然の関係性を学べる本&映画」
イラストレーター服部あさ美「人間と自然の関係性を学べる本&映画」
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イラストレーター服部あさ美「人間と自然の関係性を学べる本&映画」

SDGsの目標達成にはまだ課題がありますが、それでも前に進むしかなく、人間は意志を持ってこの星をかつての美しい地球に戻すための努力をしなければなりません。自ら自然に身を置き、そこから何かを学べるならば、とても幸せなことです。本や映画を通して、新しい考え方や感じ方を得ることだってできます。そんな体験をしたイラストレーターの服部あさ美さんに伺いました。

人間は絶対的な存在じゃない
謙虚に世界と向き合うことが大切

子どもの頃、「芋虫と話がしてみたかった」という動物行動学者の日髙敏隆さん。「どこに行くの?」と問いかけても、芋虫は葉っぱをむしゃむしゃ食べるばかり。でも、なんだか気持ちがわかる気がした。生き物とおしゃべりするには「観察」が一番だと悟った日髙さんは、動物行動学の道に進みます。

そんな日高さんの著書『世界を、こんなふうに見てごらん』は、生き物をじっくりと観察することで見えてくる、人間に見えているのとは違う世界を教えてくれる本。生き物はそれぞれに種特有の知覚世界を持っていて、そのなかで主観的に生きている。私はこの本を通して、「環世界」という考え方を知りました。その視点を持つと、人間がなぜ環境を破壊するのかもわかるような気がしますし、同時に、同じ地球で生きるほかの生き物たちの暮らしにも意識を向けることができるような気もするんです。

映画『イントゥ・ザ・ワイルド』は、アメリカの恵まれた環境で育った青年が、学歴主義や物質主義的な世界から脱しようとアラスカの荒野に分け入り、命を落とすという実話をもとにした物語。自然のなかでは、いかに人間が無力かということを見せつけられ、「自然は恐ろしい」という感情を抱きつつも、私は同時に「そこに入っていけるくらい賢く、強い自分になりたい」とも思います。そのためには自然を知り、生きる術を学ぶことが欠かせません。だからこそ山に登ったり、植物のことを学んだりすることに夢中になっているのかもしれません。

『世界を、こんなふうに見てごらん』
日髙敏隆/著

動物行動学者である著者が、生き物と自然のユニークで新鮮な見方をシンプルに伝える、いきものがたり。集英社文庫/¥539

『イントゥ・ザ・ワイルド』

アメリカの裕福な家庭に育った青年がある日、厳冬期のアラスカで遺体となって発見された。彼はなぜ、ひとり荒野へ向かったのか。実話をもとにした物語。ショーン・ペン監督。2008年公開。

PROFILE

服部あさ美 はっとり・あさみ
ROCKET(cap+RCKET)のギャラリースタッフを経て、1998年からフリーのイラストレーターとして活動。書籍、雑誌、広告、雑貨、CDなど幅広い分野でイラストを手がける。水彩や鉛筆を用いた、緻密で繊細かつ優しい表現に定評がある。著書に『ハーブカタログ』(ミルブックス)、『おさんぽわくわく』(WAVE出版)など。

●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
Illustration:Amigos Koike Text & Edit:Yuriko Kobayashi
Composition:林愛子

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