Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

柏田テツヲ「記録にとどまらず、気づきを与えられる写真を」
柏田テツヲ「記録にとどまらず、気づきを与えられる写真を」
TOPIC

柏田テツヲ「記録にとどまらず、気づきを与えられる写真を」

自然破壊や環境問題など、世界各地で起きている出来事を独自の視点で捉える作家たち。ニュース映像や報道写真とは一線を画する、アーティストたちのメッセージをフィーチャーします。

オーストラリアの大規模森林火災を
ドキュメンタリーとして伝えたい

「史上最悪」と呼ばれたオーストラリアの森林火災は、2019年から半年ほど続いた。気候変動による影響で森林火災は深刻化するといわれる

旅を通して感じたものやことを伝える写真家の柏田テツヲさん。2年ほど前、オーストラリアでの大規模森林火災を知り、自分の目で確かめたいと現地に向かった。

「森林火災が頻繁に起こることは知っていたんです。通常、夏に始まって、鎮火するのは秋頃。自然災害としての山火事は毎年あるので、住民も動揺しない。けれども、このときは延々と終わらなかった。温暖化の影響で火災が深刻化することも知っていました。だからこそ、いま撮るのはこれしかないと思ったんです」

一面を焼き尽くした後にむき出しになった大地。白い煙のなかに太陽が浮かんでいた

結局、半年ほど続いた森林火災には脅威を感じたという。灰が蓄積した真っ黒な池や丸焦げの木々、森を焼き尽くしたあとに現れた大地。まるでカーテンのように覆われた白い煙のなかで暮らす住民たちの姿もあった。

黒く焦げた木々が並び立つ。まるで針葉樹森のような光景

「まだ燃えているところの黒い煙と、鎮火したあとに出る白い煙のコントラストが幻想的でした。真っ黒になった木々の隙間から見える青い海や、焼け跡から再生したユーカリの木。誤解を恐れずにいうと、ある一面では美しさもある。僕は報道カメラマンではないので第一線に行くことはできませんが、写真の美しさやアート性から入って、実際に起きていることをドキュメンタリーとして伝える、そんな俯瞰した視点で作品を撮れたらと思っています」

再生するユーカリ。幹の表面が割れてその間から葉が生い茂る。自然の強さと希望を感じさせる。

もちろん残すだけでなく誰かに気づきを与えることができればと考える。

「誰かの行動を変えることができるかもしれない。それを写真の力で実現したいですね」

PROFILE

柏田テツヲ かしわだ・てつを
1988年大阪府生まれ。旅、ライフスタイル、ファッションなどの撮影を手がける傍ら、旅をしながら作品を撮ることも。www.tetsuokashiwada.net

●情報は、FRaU2022年1月号発売時点のものです。
Coordination:Yumiko Urae Text:Yuriko Kobayashi , Chizuru Atsuta Edit:Chizuru Atsuta

Official SNS

芸能人のインタビューや、
サステナブルなトレンド、プレゼント告知など、
世界と社会をよくするきっかけになる
最新情報を発信中!