身分証明書や映画から性別の垣根を越える!
国や地域によって違う、世界のジェンダーとダイバーシティ。さまざまな取り組みのなかから、今回は、韓国とオランダの事例をピックアップ。
女性映画専門の
動画配信プラットフォーム
「女性映画を気軽に視聴できる場所を作りたい」という思いから、2017年に誕生した動画配信サービス〈Purplay〉。映画『はちどり』のキム・ボラ、『私たちの生涯最高の瞬間』のイム・スンレ、ドラマ『保健教師アン・ウニョン』の演出家でもあるイ・ギョンミら有名女性監督の初期作品を始め、ほかでは観られない短編やアニメなど300本以上の女性映画を保有。
ジャンルやテーマ別の分類はもちろん、監督・脚本・主演のいずれかが女性の「F等級」、すべてが女性の「トリプルF等級」など、ジェンダー&ダイバーシティ指数を元にコンテンツをキュレーションする。ウェブマガジン配信や女性映画上映会などの開催にも積極的で、今年3月にはOTT企業としては初の社会的企業に認定された。
身分証明書から消える、性別欄
オランダでは2024年頃からIDカードや運転免許証など、オフィシャル・ドキュメントのジェンダー明記が不要となる。他国とは異なり、ジェンダーを確定する法律が存在しないため、特例となる場合はその都度、当局で対応。たとえば、出生届の時点で性別をバイナリーで希望しない場合、裁判により「X(多様)」が容認される。
また、犯罪を犯して投獄される場合も、男女別の刑務所をそのケースごとに本人が選択する。世界スタンダードであるパスポートに関しても、オランダは2018年10月にジェンダーニュートラル「X」の申請が認められ、世界的なニュースになった。ノン・バイナリーは人権を尊重するという認識が、リベラルで革新的なこの国には、すでに深く根づいているようだ。
●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
Text:Reiko Fujita,Yumiko Urae Edit:Asuka Ochi