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大地震から2年、「能登の輪島塗漆器を救え!」 ごみ清掃芸人「マシンガンズ」滝沢秀一が見た被災地の課題と、これからみんなができること
大地震から2年、「能登の輪島塗漆器を救え!」 ごみ清掃芸人「マシンガンズ」滝沢秀一が見た被災地の課題と、これからみんなができること
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大地震から2年、「能登の輪島塗漆器を救え!」 ごみ清掃芸人「マシンガンズ」滝沢秀一が見た被災地の課題と、これからみんなができること

2023年の漫才トーナメント「THE SECOND」で準優勝を勝ち取り、昨年もベスト8に輝いた漫才コンビ「マシンガンズ」。メンバーの滝沢秀一さん(49歳)はお笑い芸人にして、ごみ清掃の仕事に従事するベテラン清掃員でもあります。「一般社団法人ごみプロジェクト」やオンラインコミュニティ「滝沢ごみクラブ」の代表を務め、ごみを減らすべくさまざまな活動を展開中。2025年の年末には、都内でごみにまつわる勉強会を開催しました。お題は、能登半島地震に襲われた石川県能登町の現状。後輩芸人「ぐりんぴーす」落合隆治さん(40歳)とともに、現地の人々の声や私たちにできることを語ってくれました。

「ごみ」という言葉を、なくしたい

滝沢:ボクは、「世の中に、ごみなんてないんじゃないか」と思っています。リサイクルやリユースを徹底すれば、ごみは資源や“つかえるもの”になる。目標は、ごみという言葉をなくすことです。さて、今回のテーマは、ごみと災害。ボクは2024年元日の地震で大きな被害を受けた石川県・能登にこれまで4回ほど入って、いろいろとお手伝いをしているんですが、前回は落合くん、(お笑いコンビの)「六六三六(ろくろくさんじゅうろく)」の柴田(賢佑=けんすけ)くんと一緒に行ったんですよね。

落合:ボクは柴田くんと一緒に、「お片付けブラザーズ」というお片づけサービスの団体をつくっているんです。おもに遺品整理を手がけているんですが、遺品整理ってふつう、一生に1〜2回しかしないでしょう? だから、みなさん業者をアバウトに選びがちなんですが、遺品を盗まれてしまうリスクがあるんです。ちょっと検索すればすぐに顔が出てくるような芸人ならば、身元も明らかだし、みなさん安心して遺品整理の依頼ができるんじゃないかなと、この団体を立ち上げたんですよ。

滝沢さんは、能登半島地震の半年後、2024年6月に初めてこの被災地を訪れた

滝沢:ボクたち清掃員は、集積所のごみにはアプローチできるけれど、家の中のごみには手が出せない。家の中って、ごみがたくさんあるでしょう。ものはつかってこそ生きるのであって、部屋の奥深くに置いてある写真集なんかは、とっておいてるだけで“生きて”はいない。高齢化や終活にはごみの話がつきものなんですが、“生きていないもの”は、納得したうえで手放すことが大事なんですよね。

落合:遺品整理をすると、必ずといっていいほど大量のごみが出ますからねえ。

滝沢:ボクはいま49歳で、親が亡くなる世代です。そういう友人も増えてきました。するとみんな、地元に帰って親の家を整理するんですが、あまりにもモノが多く煩雑(はんざつ)で、ほぼノイローゼ状態になって帰ってくる(笑)。だから、遺品整理をお手伝いしながら、まだつかえるものを発掘している落合くんたちの活動は、すごく意味があると思って、応援してるんです。そんな落合くんから、「能登のためになんかしたいです!」と夜中に熱いメールが届いたときには、ビックリしたけどね(笑)。

落合:深夜に突然、「被災地の役に立ちたい!」という想いが盛り上がっちゃったんです。

滝沢さん(写真左端)4回目の能登訪問。落合さん(左から2番目)、柴田さん(右端)とボランティアの方々

滝沢:初めて訪れた能登半島先端の珠洲(すず)市では、震災から半年経っても信号が斜めに傾いたままだったんです。命を守るものがまだ直ってないって相当な状況。正直、「取り残されているな」と思いました。そのときは側溝に泥が溜まっていて生活用水流れなかったんで、泥出しをお手伝いしたんです。そしたらその後、大雨に見舞われたじゃないですか。なのに能登の人たちって、ホントにいい方ばっかりで、「これが東京じゃなくてよかった」なんておっしゃるんです。「能登なら人が少ないから、この程度ですんだんだ」って。

落合:本当に頭が下がります。ただ、被災した建物の解体と撤去が進んで更地になっても、多くの人は、もといた集落に戻る意思がないようですね。

滝沢:「もうここには、家建てねえよ〜。ここじゃ、仕事ないもん」っていうんだよ。だからいま能登に行っても、僕たちボランティアがやる作業ってそんなにないんです。力仕事よりも、大事なのは心のケア。「漫才やって、みんなを励ましてくれよ」なんていわれるんですよ。そこでボクたちも、地元FM放送に参加したり、高校生が手がけるイベントをお手伝いしたりしました。ボクは、人間はご飯さえあればいいわけじゃないと思うんです。楽しみとか「こういうことがやりたい」っていう意欲がないいと、やっぱり生きていけないんじゃないかな。

訪れて、おいしいものをワイワイ食べる。それも復興支援

更地になったかつての住宅地。「景色がまったく変わっちゃったから、地元のみなさんが道に迷っちゃうこともある」と滝沢さん

滝沢:この災害で人も建物もなくなって、地方の問題が浮き彫りになったと感じています。高齢化で働き手がいないとか、仕事がないとか、地元で採れたいい食材はぜんぶ都市部に行ってしまうとか──。あるとき地元のスーパーで、ちっちゃい白菜が180円ぐらいで売ってたんで、「なんでこんなに安いの?」って聞いたんです。そうしたら、「いいものは東京に送ってるから。地元では、東京で食べないようなものを安く売ってるんです」という。われわれは日々、地方の恩恵を受けて暮らしている。そのことを忘れてはいけないですよね。

落合:その白菜も、小さいけれどもすごくおいしいんですよね。スーパーで売ってる370円くらいの刺身とか、そんな値段なのにめちゃくちゃおいしかったです。

滝沢:彼らが一番望んでいることは、われわれが能登に旅行に行って、おいしいものを食べてワイワイ楽しむことなんだよね。それこそ、今後の復興に向けてのポイント。なにが一番寂しいかって、震災のことが忘れてられて、風化してしまうことだっていうんです。

勉強会には滝沢さん、落合さんのほか、「ダーリンハニー」長嶋トモヒコさん(右)も参加。ペット災害危機管理士として、ペット防災についてのセミナーをおこなった

落合:能登のご家庭には、必ずといっていいほど輪島塗の漆器(しっき)のお膳一式(漆塗りの椀などの器や、宴席用の個人用台座)がありましたよね。

滝沢:かつては冠婚葬祭も各家庭でおこなわれていたから、そうした宴会時の立派な輪島塗の器や台座も各家庭にあって、なかには戦前はおろか、江戸時代からつかい続けられている貴重なものもあるんです。ただ、仮設住宅には必要最小限のものしか持っていけないから、泣く泣く処分する、捨ててしまうなんて人がたくさんいた。そうした器を、令和風に塗り直して、古民家カフェや旅館のオーナーたちなど、大切につかってくれる人に譲るなんてこともおこなわれているんです。

落合:ボクもフランスの知り合いに、この輪島塗の“リボーン(生まれ変わり)活動”を知らせて、新しい可能性を探っているところ。もともとフランスには漆(うるし)の文化があって、いいものを長くつかうことが美しい、という概念があるんですよね。

滝沢:かつての大工さんが、その木のカタチや特性を活かしてつかっていた住宅建材を、ベンチや棚なんかにリメイクしてレスキューする試みも進んでいます。それでも救えない古材は、まちの銭湯のボイラー燃料として活用。「今日は旧鈴木家の廃材でお湯をわかしています」なんて脱衣所に張り紙が掲示してあって、ほっこりするんだよね〜。モノに最後まで感謝して大事につかうって、いいよね。

落合:倒壊した自宅の廃材が活かされれば、「鈴木さん」一家もうれしいですもんね。

滝沢:ごみって、「どのように捨てるか」も大事だと思うんです。これからの復興支援は、心と文化をつなぐことが重要。みなさんもぜひ、能登に行ってみてください!

photo(イベント)&text:萩原はるな

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