副業ならぬ「複業」者3人が得たものは、「チェーンソーと健康な生活」「看護師としての幅」「現物支給のホタテ貝!」
本業の合間などに別の仕事をするのが「副業」なら、「複業」は、2つ以上の仕事を同時並行的におこなうこと。みんなどんなきっかけで、どんなふうに複数の仕事をしているのでしょう。複業者3人に話を伺いました。
「週末はチェーンソー片手に熱海の森で」 会社員×林業NPO・能勢友歌さん

Q.もともとの仕事は?
コミュニケーションプランナー。
Q.複業は何?
「NPO法人熱海キコリーズ」として静岡県・熱海市内の市有林や民有林の森林保全活動をしています。森の間伐や間伐材の再利用、森林整備、教育イベントなどを実施。売り上げはすべて団体活動に活用。
Q.きっかけは?
熱海市に住宅を買って、熱海市が放置林にまつわる課題を抱えていると知りました。熱海市主催の林業研修に参加し、その仲間たちとNPO団体を立ち上げました。
Q.複業で得たもの、得たいものは?
チェーンソーや重機を扱うスキルや森林整備の知識。「あるものでできることをする」という原始的かつシンプルな発想や知恵。多種多様な職業、年齢の仲間。

Q.複業して変わったことは?
林業は危険と隣り合わせ。緊張感を持ちつつ楽しく働くコツを自然から教わっています。エネルギーをつかう仕事ゆえ、早寝早起きの健康的な生活に。
Q.仕事のバランスは?
会社7:林業3
「より多くの患者の命を救うために複業」 看護師×コンサルタント・落合実さん

Q.もともとの仕事は?
在宅患者向けの「ウィル訪問看護ステーション」を運営しながら、看護師としても活動。
Q.複業は?
3つの医療福祉法人で採用のコンサルティングをしています。在宅患者の見守りケアをするデバイスをつくる会社にアドバイザーとしても参画。
Q.複業で得たもの、得たいものは?
自分の法人で救える患者さんの数は限られています。だからこそ看護師の採用で業界全体を支えたい。デバイスの開発など医療福祉の周辺事業に関わることは、自身の看護師としての幅を広げることにもつながると感じています。
Q.複業をして変わったことは?
医療の世界の価値観は一般社会とは一部ズレていると感じていましたが、複業を通じて多様な価値観に触れ、視野が広がりました。給与ややりがい、成長機会など、働くことに求めることをバランスよく得られるように。
Q 仕事のバランスは?
会社7:コンサルタントなど3
「PRの報酬は新鮮なホタテ!」 ベンチャー企業マーケ×漁師PR・松原あさひさん

Q.もともとの仕事は?
ベンチャー企業でマーケティングを担当。
Q.複業は?
岩手県宮古市でホタテなどの養殖をおこなう「隆勝丸」の活動や商品PRのお手伝い。
Q.きっかけは?
東日本大震災発生当時、アメリカの学校に通っていて、何もできない自分がもどかしく、いつか何かの役に立ちたいと思い続けてきました。ある日、“魚払い”(報酬が魚介類の現物)の副業・兼業を支援するプラットフォーム「ギョソモン!」で自分のスキルを生かせそうな求人を見つけ応募。
Q.複業で得たもの、得たいものは?
前職のコンサルや現職のマーケティングのスキルを活かして商品の魅力を再発見し伝えたい。職業やバックグラウンドの違う人たちから刺激を得られる。ダイレクトにマーケティングの効果を感じられ、自分の成長につながる。報酬のホタテも美味!
Q.仕事のバランスは?
会社8:漁師PR2
●情報は、FRaU SDGsMOOK WORK発売時点のものです(2021年4月)。
Edit & Text:Yuriko Kobayashi Composition:林愛子
【こんな記事も読まれています】
スタイリスト百々千晴「嫌いだった故郷・徳島の宍喰を、自身のブランド名に!」