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この夏、震災復興のシンボル「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」が30周年! 神戸ビーフ、伊勢エビ、由良赤うにの“究極!鉄板料理”とは!?
この夏、震災復興のシンボル「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」が30周年! 神戸ビーフ、伊勢エビ、由良赤うにの“究極!鉄板料理”とは!?
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この夏、震災復興のシンボル「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」が30周年! 神戸ビーフ、伊勢エビ、由良赤うにの“究極!鉄板料理”とは!?

1992年、“海と船に親しめる新しいウォーターフロントの創造”をコンセプトに開発がスタートした神戸メリケンパークオリエンタルホテル。ところが1995年1月17日、建設中に阪神淡路大震災が起き、周辺の岸壁が大崩落してしまいました。それでも、このホテルは同年7月15日、復興のシンボルとしてなんとか開業。今年、ついにオープン30年を迎えたのです! ここには、地元の神戸市民や全国のファンとともにつくりあげてきた、特別な文化や究極グルメが息づいています。その一端をご紹介しましょう。

旧オリエンタルホテルの伝統を受け継ぐ“ハイカラなカレー”

日本を代表する港湾都市の兵庫県神戸市。古くから日本の玄関口として栄え、旧居住地や北野異人館街、南京町など異国情緒ある町並みがいまも残り、国内外から多くの観光客が詰めかける。とくに神戸ポートタワーやモザイク大観覧車などが建ち並ぶベイエリアは、港町神戸を五感で感じられる人気スポットだ。神戸メリケンパークオリエンタルホテルはそんなエリアの、突堤の先に建つ270度を海に囲まれたホテル。波をイメージしたという、一見、巨大クルーズ船のような優雅な姿は、いまも昔も、神戸港のシンボルだ。

同ホテルがオープンしたのは、前述のように阪神淡路大震災が発生した年の7月。ホテルの建物自体は、液状化対策や耐震構造を施していた当時最新の設計だったため震災被害がほぼなかったが、神戸港は甚大な被害を受けた。そんななか、「傷ついた神戸のまちに復興の光を」というスタッフ全員の強い想いから、当初の予定どおりに開業日を迎えられたのだ。

被災したメリケン波止場の一部が震災時のまま保存された「神戸港震災メモリアルパーク」

神戸メリケンパークオリエンタルは、2階に客船ターミナルがあるという珍しいホテル。世界を旅する豪華客船や帆船の入港を優雅に眺めつつ飲食ができる

ホテルのオープニングレセプションでは、午後7時7分にホテル内にある灯台の点灯式がおこなわれた。赤と緑の光が回り始めると、港に停泊する船々の汽笛が鳴り響いた。さらに震災の犠牲者の鎮魂と神戸の復興を祈って、777発の花火が打ち上げられた。

海上保安庁から公式灯台の認可を受けた、日本でただひとつのホテル灯台。点灯式がおこなわれた日からずっと、神戸港の安全を見守り続けている

神戸メリケンパークオリエンタルホテルはもともと、ターミナルやホテルとして人々が集い、地域の開発、活性化を図るためにつくられた。レストランは地元の食材を中心に扱い、ホテル内のショップでも地域のブランドと協力してつくったグッズやグルメを販売。そのシグネチャーメニューが、伝統の「神戸ハイカレー」だ。

旧オリエンタルホテルで1964年から提供され、ハイカラな神戸マダムや紳士に愛されたビーフカレー。だが阪神淡路大震災で旧オリエンタルは深刻なダメージを受け、125年の歴史の幕を閉じた。悲しむ神戸市民に、なんとかまたあの味を届けたい。その想いが、30年のときを経た2023年に結実、かつてのレシピを忠実に再現した神戸ハイカレーが、メリケンパークオリエンタルをはじめ、各地オリエンタルホテルズ&リゾーツホテルのブッフェに復刻登場したのだ。さらに今年、大きな牛肉がゴロゴロ入ったレトルトタイプを開発され、館内のショップやオンラインショップ「ORIENTAL MARKET(オリエンタルマーケット)」で買えるようになった。

神戸ハイカレーは朝食ブッフェでも大人気。淡路島産の甘〜いタマネギのスープと相性抜群だ

神戸ハイカレーの味の秘密は、通常の10倍ほども使用されているタマネギ。ソテーとフライに分けてじっくり甘みを引き出したタマネギ効果で、口に入れた瞬間、まずまろやかな甘みを感じ、その後ホテルオリジナルブレンドのスパイスの香りと辛みが追いかけてくる。隠し味にアップルプレザーブのほのかな酸味を加え、複雑で深い旨みを実現したそうだ。

全室にプライベートバルコニーがあり、陽光に輝く海や港の夜景などが望める

見たこともない一流食材が、食べたことのない調理法で!

2025年7月15日、創業30周年を迎える神戸メリケンパークオリエンタルホテル。これを記念し、14階の「ステーキハウス オリエンタル」の特別コースつき宿泊プランを販売中だ。鉄板調理を担当するのは、冒頭写真で超特大の伊勢エビを「どや!」とばかりに披露している兵庫県出身の鍬先章太(くわさき・しょうた)シェフだ。

「瀬戸内海と六甲山地に挟まれた神戸には、豊かな食材とごちそう文化があります。世界に誇る神戸ビーフや瀬戸内海の海の幸、灘の酒など地のものに加え、昔から交通の要所なので各地よりおいしいものが集まってきた。こちらで提供する料理には、いろんな人とのつながりによって集まったとびきりの食材をつかわせてもろてます」(鍬先シェフ、以下同)

この日は、兵庫県洲本(すもと)市由良(ゆら)港で揚がる濃厚な由良の赤ウニと、甘くとろける北海道噴火湾産のホタテが登場。キャビアやホワイトとグリーンのアスパラ2種を合わせ、すだちで味を引き締める

神戸肉流通推進協議会の指定登録店でもある同ホテル。選りすぐられた、最高級の神戸ビーフ・シャトーブリアンを味わえる。神戸市西区産の丸大豆と小麦100%使用の天然醸造濃口醤油「玉福」や淡路の粒藻塩(つぶもしお)が、とろける肉の旨みをさらに引き立てる

神戸港の夜景をバックに、神戸ビーフを鉄板でフランベ。軽快なトークとともに高級食材を巧みに調理していくシェフは、一流のエンターテイナーだ

鍬先シェフは、料理の腕も立つが弁も立つ。立て板に水のごとく、ユーモアあふれる関西弁で素材や自ら編み出した調理法を説明していく。

「オシェトラ(ロシアチョウザメ)のキャビアからフランス産フォアグラ、活伊勢エビ、活アワビ、フカヒレ……最高級の食材を一番いい状態で提供することを心がけてます。淡路島のタマネギとか丹波篠山(たんばささやま)の香り高い実山椒(みざんしょう)のような“地域の実り”を組み合わせるのも私のこだわりのひとつです。農産物は、生産者さんに『サイズは揃えなくていいです! 今日採れた一番ええもんを送ってください』とお願いしてます。兵庫の里山は宝箱。地主さんの許可を得て、木の芽(山椒の若葉)なんかを採りに山に入ることもあるんですよ」

シェフは神戸メリケンパークオリエンタルホテルで腕をふるい続けて22年目。偶然にもホテルの開業日(7月15日)が誕生日だという。まさに同ホテルの申し子ともいえるシェフの料理もこれから、ホテルや神戸のレガシーになっていくに違いない。

Photo & Text:萩原はるな

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