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地元住民とともにサンゴを保全! ザ・リッツ・カールトン沖縄で貴重な体験を
地元住民とともにサンゴを保全! ザ・リッツ・カールトン沖縄で貴重な体験を
NATURE

地元住民とともにサンゴを保全! ザ・リッツ・カールトン沖縄で貴重な体験を

沖縄本島でもとりわけ自然豊かな北部、名護湾を望む高台に位置するゴルフ&スパリゾート「ザ・リッツ・カールトン沖縄」では、体験型プログラム「Good Travel with Marriott Bonvoy」を実施しています。これはマリオット・インターナショナルグループがアジア太平洋地域の約100軒のホテルで展開している、環境保護、地域コミュニティへの参加、海洋保護の3つを軸に据えた体験プログラム。その土地の課題に向き合い、考え、行動する機会を提供するこの取り組みを、前後編にわたってレポートします。

「パインの王様」を育む赤土が抱える問題

沖縄の農産物といえば、どんなものを思い浮かべるだろうか。ゴーヤ、サトウキビ、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツなど、南国ならではのものだろう。なかでも沖縄県の推奨品種に選ばれているパイナップル「ゴールドバレル」は、糖度17〜18度と非常に甘みが強くジューシー。同県東村の名産品だ。7月から8月前半のほんの一時期、最旬期のみ地元の店頭に並ぶスペシャルなフルーツで、島外にはほとんど出回らないという。同村に隣接する、ザ・リッツ・カールトン沖縄でもこの時期に提供され、ゲストはもちろん、スタッフたちからも絶賛されている。

ザ・リッツ・カールトン沖縄のアフタヌーンティー。ゴールドバレルやマンゴーなど、島産の希少フルーツを使用した絶品スイーツや軽食が味わえる

ゴールドバレルの栽培に欠かせないのが、酸化鉄が含まれているため赤みを帯び、pH値が低い沖縄の土だ。沖縄の方言で「マージ」と呼ばれるこの酸性土壌で、沖縄特有のおいしい農作物が実るのだという。ちなみに、沖縄の住宅屋根の赤瓦やシーサーなども、このマージでできている。マージは沖縄県人の生活や文化と長い間、共存してきたのだ。

沖縄の土は国頭マージ(55%)、島尻マージ(約30%)、クチャとも呼ばれるジャーガル(8%)の3種類がおよそ9割を占める

マージと地球温暖化がサンゴ礁を白化させる!

沖縄は亜熱帯気候で高温多湿、海に囲まれているため天気が変わりやすい。台風の影響を受けることが多く、年間降雨量は国内上位だ。

赤土マージは有機物が少なくサラサラで、雨の多い沖縄では簡単に川に流れこんでしまう。とくに大雨のときは、農地やむき出しになった山肌から大量のマージが流れ、海にたどりつく。沖縄の沿岸は、マージで真っ赤に染まってしまうことも珍しくないという。

沖縄県は1995年「沖縄県赤土等流出防止条例」を制定。これにより工事現場などからの流出はかなり抑えられた。しかし、農地にはこの条例の規制がかからないため、いまは流出するマージの81%が農地からのものというのが現状だ。

農地からの赤土の流出とサンゴへの影響を表すジオラマ。沖縄の沿岸が抱える課題をわかりやすく学べる

そしてマージが海に流出すると、サンゴが大きなダメージを受ける。沖縄では、沿岸を縁取るように発達したサンゴ礁「裾礁(きょしょう)」が非常に美しいが、陸地に接しているだけに、マージが流れてくるとダイレクトに被害に遭ってしまうのだ。

世界の海で見られるサンゴは600種類以上。そのうち、沖縄にはなんと400種以上の存在が確認されている。その美しい裾礁は天然の防波堤の役割を果たす一方で、川から流れてきた土を外海に放出することなく、長くサンゴ礁内にとどめてしまう。その形状がアダになっているわけだ。

サンゴは褐虫藻(かっちゅうそう)というプランクトンと共生している。褐虫藻が光合成してつくり出した栄養素をサンゴが吸収し、サンゴの代謝物は褐虫藻に栄養素として利用される。両者はWin-Winの関係を築いているのだ。だが、これらが流出したマージに覆われると、褐虫藻の光合成が妨げられたり、土を振り払おうとサンゴが粘液を出したりして、両者ともに強いストレスを抱えることになる。やがてはサンゴが弱り、瀕死の状態である「­白化」が起こってしまうというのだ。

ウミンチュたちが白化したサンゴを救った

そもそもサンゴは繊細な生き物で、海水温の変化などに敏感だ。夏期に高水温が続いた1998年にはサンゴの白化が世界中で起き、沖縄県恩納村のサンゴの約9割が死んでしまったといわれている。

この危機を受けて立ち上がったのが、恩納村漁業協同組合所属のウミンチュ(漁師)たちだ。「次世代に豊かな海を残したい」という思いから、1999年よりサンゴの養殖を開始。試行錯誤を重ねた結果、2003年から、養殖サンゴを海に戻す植えつけをスタートさせている。

養殖プールから元気なサンゴを選び、サンゴと同じ成分である炭酸カルシウムでできた基盤に針金で固定。約半年間、海中施設で成長させてから植えつける

まるで畑のような、サンゴの養殖場 提供:沖縄ダイビングサービスLagoon

サンゴの生命力の強さや成長の速さと、人びとの試行錯誤が奏功。モニタリング調査の結果から、この10年ほどでは恩納村の沿岸海域のサンゴが増えていることがわかっている。

ザ・リッツ・カールトン沖縄では、そんな実績あるウミンチュたちとタッグを組んで、植えつけ用養殖サンゴによる「サンゴの苗づくり体験」を実施。

アクティビティーに参加すると、好きな絵や文字を書いた基盤にサンゴの苗を固定し、シュノーケリングしながら浅瀬の海底に植えつけるという貴重な体験ができる。さらに、サンゴに関する諸問題について学び、マージをつかったキャンドルづくりなどを通して、大人も子どもも楽しく学べるプログラムも用意しているのだ。次回はさらに、それらを含むザ・リッツ・カールトン沖縄の取り組みを紹介していく。

text:市村幸妙

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