インドネシア“世界遺産の島”で「ピンクのビーチ」と、生ける恐竜「コモドドラゴン」に出遭う!【前編】
インドネシアの東部に位置するコモド諸島。多様な生き物たちと美しすぎる風景がいっぱいの島々と周辺海域は「コモド国立公園」として、1991年にまるごとユネスコ世界自然遺産に登録されました。とくに有名なのは、コモド島だけに生息する体長2~3mにもなる世界最大のオオトカゲ「コモドドラゴン」。目を奪われる絶景と相まって“アジア最後の秘境”とも呼ばれるコモド諸島の旅を、前後編でお届けします。まず前編は、コモド諸島のアイランドホッピングへ、いざ!
アイランドホッピングはパダール島の絶景から!

色鮮やかなピンクビーチは、コモド諸島に4ヵ所もある!
インドネシアのバリ島から東へ約600㎞、飛行機で約1時間の場所に広がるコモド諸島は、コモド島、リンチャ島、パダール島の3つの大きな島と、その他多くの小さな島々からなる国立公園だ。日本からは、まずジャカルタ、バリ島、シンガポールやクアラルンプールへ航空機で飛び、そこから乗り継いでコモド諸島の玄関口となるフローレス島西部の港町「ラブアンバジョ」へと向かうのが常道だ。
コモド諸島の魅力は、なんといっても独特の生態系と地形。世界最大のトカゲであるコモドドラゴンはもちろん、海中に目を向ければ、ウミガメやマンタ(ナンヨウマンタ)など大型生物や世界有数の生物多様性を誇るサンゴ礁が広がる。ダイビングやシュノーケリング、ハイキングなど、大自然を五感で楽しめるアクティビティが目白押しなのだ。

専用の桟橋を持つ「アヤナ コモド ワエチチュ ビーチ」は、絶好のサンセットホテルでもある

今回お世話になったアヤナ コモド ワエチチュ ビーチのスピードボート
コモド国立公園の島々を見て回るには、ラブアンバジョの港から観光ツアー会社が主催するアイランドホッピングツアーの船に乗るのが一般的だ。泊まるホテルによっては、専用の桟橋とボートを持っているから、プライベートビーチからそのままアイランドホッピングに出かけられる。
今回私が宿泊したアヤナ コモド ワエチチュ ビーチ(以下、アヤナ)もそのひとつだ。限られた時間を有効に活用したい人は、こうしたホテルを選ぶのをおすすめする。

アイランドホッピングで最初に訪れた、パダール島桟橋付近からの眺め

絶景を目指し、パダール島の険しい丘を一歩ずつ登る。気温が上がり切らない早朝に訪れたい
朝7時にアヤナの桟橋から出航し、スピードボートで約1時間。最初に訪れたのはパダール島だ。ここでのハイライトは、険しい丘の上まで続くハイキング。息を切らして頂上付近まで登り詰めると、言葉を失うほどのパノラマビューが待っている。

険しい丘を登り切った者だけが出合える大自然のアート。パダール島の絶景
それが上写真の風景! 緑の山々と、白砂ビーチ、真っ青な海とのコントラストが描き出す曲線美は、まさに地球が生み出したアート。常夏のコモド諸島、ここパダール島も例外ではなく、日差しをさえぎるものが何もないなかでの往復約1時間のハイキングにはなるが、この絶景を目にすれば、「登ってよかった」と心底から思えるのだ。
紅白サンゴの“かけら”が生んだ奇跡「ピンクビーチ」

コモド諸島に4ヵ所あるピンクビーチ。現地では「赤い浜」という意味の「パンタイ・メラ」と呼ぶ
再び船に乗り込んで向かうのは、パダール島の北部にある「ピンクビーチ」。その波打ち際を見ると……自然にできたといわれても、にわかには信じられないほどの真っピンク! この美しい砂浜は、現地の言葉でパンタイ・メラ=赤い浜というそうだ。

波打ち際ではピンクがとくに鮮やか。深部にいくにつれてピンクから青に。そのグラデーションも美しい
このピンクビーチは、赤いサンゴと白いサンゴ、それぞれの死骸のかけらが混ざり合ってできたもの。多くのソフトコーラルは死ぬと骨格を残さないが、この赤いサンゴは例外的にパイプ状の骨格を残す。それが波に洗われて砕かれ、白サンゴ由来の砂を美しく染め上げているのだ。

「オーガン・パイプ・コーラル」と呼ばれる赤いサンゴが死んで骨格を残し、ピンクビーチをつくり上げる
海水に顔を浸けて覗けば、砂のピンク色はいっそう美しく見える。ツアーでは30分ほどピンクビーチに滞在できるので、シュノーケリングをしたり、疲れたら海の家でくつろぐのもいいだろう。
ついに“島の王様”コモドドラゴンに遭遇!

コモド島にあるコモド国立公園のゲート
ピンクビーチから、さらに船で30分、コモド島に到着する。国立公園を守るレンジャーの案内に従い、個体によっては体長3mを超える世界最大のトカゲ、コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)を探すトレッキングツアーの始まりだ。

目の前で見ると、もはや恐竜! 圧倒的な存在感におののく
コモド島には現在、約1600頭のコモドドラゴンが生息しているという。一年のうちでも3月、9〜10月と12月はコモドドラゴンとの遭遇率が高いそうだ。今回、私が訪れているのは3月。はたして、“生ける恐竜”に会えるだろうか。
野生動物かつ肉食獣であるコモドドラゴンを“見学”する際は、安全のため少なくとも3〜5mの距離を保つ必要があるらしい。そういえばレンジャーは、刺叉(さすまた)のような形の長い木の棒を持ちつつ、私たちツアー客へ説明してくれた。
「島の入口付近にいるコモドドラゴンは人間にも慣れています。必要以上に近づかなければ危害を加えられる心配はありません」
ホントに大丈夫なんだろうか。ドキドキ……。

悠々と歩くコモドドラゴンに興奮。レンジャーが刺叉(写真右)を持っているから安心!?

アゴには人間をかみ砕く力があり、唾液には毒も含まれる。人を襲う心配はないそうだが……怖い
と、レンジャーの説明から1分たったかたたないうちに、その瞬間はやってきた。レンジャーが「あっち」と指さす先を見ると……体長2mほどのコモドドラゴンが草むらの脇で、ワニのように寝そべっているではないか。肌はゴツゴツと固そうで、大きくて鋭いツメを持ち、やっぱりトカゲというよりはゴジラ、恐竜だ。われわれツアー参加者10人ほどが5mの距離まで近づいても、どっしりと構えている。ときおり長くて太い尻尾をユラユラと揺らし、首をゆっくりと動かす。その貫禄は、まさに島の王様だ。
さらに歩を進めると、今度は歩くコモドドラゴンを発見! たくさんの観光客にカメラを向けられるもその歩みは悠然としており、ノッシノッシと海辺のほうに向かっていく。

写真撮影にも快く応えてくれるコモドドラゴン。レンジャーは写真撮影もプロで、コモドドラゴンとの奇跡のショットも撮ってくれる
彼らはかなり人間慣れしているようで、適切な距離を保ちつつ、写真撮影に応じてくれる(?)コモドドラゴンも多かった。口を開けてあくびのようなしぐさを見せたり、二股の舌をチロチロと出したりはするが、鳴き声を発したり、威嚇をしたりはいっさいなく、事前に想像していた以上に泰然自若だった。
それにしても、間近で眺めるコモドドラゴン、「こんな生き物が、まだ地球上に残っていたのか」と感嘆せずにはいられない。静かに、どっしりと構える彼らを見ると、その貫禄にあらためて、地球って、自然って人間の想像を超えた姿を見せてくれると思うのだ。
私の運がいいのか、レンジャーの腕がいいのか、結局、計7頭ものコモドドラゴンに出会えたコモド島でのトレッキングツアー。写真もいっぱい撮れて大満足だ。
次回の後編では、アイランドホッピング後半に訪れたマンタポイントでのシュノーケリングや、世界遺産の海を守るホテルの取り組みなどを紹介する。
取材協力:アヤナ コモド ワエチチュ ビーチ photo & text:中森りほ




