飛騨の匠たちのノウハウとテクノロジーの出会いが森を元気に!
適切に手を入れることで、健やかな森林を保とうとする持続可能な森づくり。日本でも、自分が暮らす地域の森を元気にするための取り組みが各地で始まっています。建築やデザイン、食やレジャー、教育など、そのアクションはじつにバラエティ豊かでユニーク。その根底には、森と共生することで自然も自分たちの暮らしも豊かにしたいという思いがありました。今回は、岐阜県飛騨市の「飛騨の森でクマは踊る」を紹介します。
広葉樹×テクノロジーで埋もれていた価値を見出す

岐阜県飛驒市は日本全国でも屈指の森林面積を誇るが、その7割がブナ、ナラ、サクラ、クリといった広葉樹。曲がりや枝の太さなどに個体差があるため、均質な木材の大量生産には不向きとされ、その95%はチップなどとして安価に流通しているのが現状だ。
古くから家具や建築産業が盛んな飛驒では、高度な木工技術と広葉樹を扱うノウハウが蓄積している。そんな飛驒の匠と呼ぶべき職人や製材業者らと密接に連携しながら、国内外のクリエイターとのコラボレーションプロジェクトを官民共同で行っているのが、〈飛騨の森でクマは踊る〉だ。

関わりを増やすことで森について知ってもらおうと、森の空間を利用したアクティビティや各種ツアーも実施している
多くの人が関わることで出会ったのが3Dスキャンというデジタルテクノロジー。個別性が大きな広葉樹もデータを利用することで建築・家具を設計し、加工まで一貫して行うことができるようになった。

森林資源の活用と森づくりとの連動を加速するために開設した〈森の端オフィス〉では「曲がり木センター」も運用。建築にはすべて立木の状態から選定した広葉樹を使用し、カンナくずは断熱材に活用
運用する「曲がり木センター」では、通常流通していない木を3Dスキャニングし、データを公開。誰でもアクセスでき、設計や加工に活用できる機会を創出している。

併設の木工房には3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル・ファブリケーションを備え、一般開放する
また全国から訪れるクリエイターの拠点として宿泊可能な〈FabCafe Hida〉をオープン。木工房のほか、宿泊・滞在しながらプロジェクトに取り組めるゲストハウスも併設している。

〈FabCafe Hida〉では、社有林で採取した香木を使ったクロモジコーヒーやクラフトコーラなどを提供
森でお茶を飲める「森カフェ」や、森で自由に過ごす「山観日」など、森や町の文化などを楽しみながら学ぶイベントやワークショップも定期的に開催中。
●情報は、FRaU2024年8月号発売時点のものです。
Text:Shiori Fujii Edit:Yuriko Kobayashi Composition:林愛子
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