Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう

愛鳥週間─小江戸・川越へ“鳥見”さんぽに出かけよう【前編】
愛鳥週間─小江戸・川越へ“鳥見”さんぽに出かけよう【前編】
NATURE

愛鳥週間─小江戸・川越へ“鳥見”さんぽに出かけよう【前編】

毎年5月10日~16日は「愛鳥週間(バードウィーク)」。野鳥を通じて自然の大切さを感じよう、という1週間です。行楽にも最適なこの時期、都心からアクセスもよい小江戸・川越(埼玉県)へ、鳥たちに会いにいってきました。

1時間でぐるっと一周できる! 気軽な、おさんぽ先「伊佐沼」へ

愛鳥週間は、毎年5月10日~16日におこなわれる野鳥保護運動だ。環境省や全国の自治体、自然保護団体が連携し、イベントなどを通じて「野鳥の暮らす自然を守ろう」と呼びかけている。

ちょうどお出かけしたくなる時期でもあり、愛鳥週間にのっかって、鳥たちに会いにいってみた。今回、筆者が足を延ばしたのは、川越市の「伊佐沼」という水辺。観光で人気のレトロな“小江戸”の町並みから、車で10分くらいの距離だ。公共交通機関でも、都心から電車で30分ほどの川越・本川越駅から、バスで15分前後とアクセスしやすい。

北側のエリアには木道が整備されていて、沼の上から自然観察ができる

一周2.5kmほどで、遊歩道も整備され、1時間もあればぐるりと回れる。周辺には無料駐車場やキレイなトイレ、飲食店もあり、気軽にさんぽを楽しめる湖沼だ。いま、どんな鳥に会えるのか、前編、後編に分けて紹介しよう。

小魚めがけてダイビング! 絶滅危惧種の「コアジサシ」

ツバメのように不規則に飛ぶので、飛翔中はなかなかハッキリと姿かたちを捉えられないかも。杭にとまっているときが観察のチャンス

遊歩道をさんぽしていると、ときおり白い鳥がヒラヒラ、フワフワと近くまで飛んでくる。大きさも形もカモメに似ているが、もっとず〜っと華奢(きゃしゃ)な印象。これは、絶滅危惧種のコアジサシだ。冬はオーストラリアなどで過ごし、春に日本へ戻ってきて子育てをする。

しばらく観察すれば、空中でホバリングしたかと思うと、真下へダイビングして小魚を捕らえる、おもしろい場面を目撃できるだろう。沼の北側の木道からは、杭に止まっている姿をじっくり観察できるはずだ。

ほんの数年前までは数十羽ものコアジサシが飛び交っていたが、沼の近くにあった繁殖地が開発された影響で、数が減ったと地元の方に聞いた。コアジサシは草木のない“裸地”でしか子育てをおこなわない。「石が転がっているだけのムダな土地」と思われがちだが、緑のない環境も守らないと、コアジサシも守ることはできないのだ。

ボトル缶より小さい!? 潜水の名手「カイツブリ」

カイツブリの全長は約26cm。くちばしと尾の先をまっすぐにして測った数字なので、実際はもっと小さく見える。ポイ捨てされた(!)ボトル缶と比べてみて

多くのカモが北へ渡ったいまの季節、水面の主役はこのカイツブリかもしれない。あちこちから「ケレケレケレ……」と聞こえてくる、甲高く大きな声の主だ。カモの子どもとカン違いするほど小さいものの、ポツンと浮かんでいるので発見しやすい。岸辺にも寄ってくるため、近くで見ることも可能だ。

ただし、潜水名人につき、見つけた次の瞬間にはもう見当たらない、なんてことも。しばらくして、発見したのとはぜんぜん違う位置にひょっこり浮上するなど、見ていて飽きない鳥だ。もう少し季節が進むと、ピンポン球ほどの小さなヒナを連れて泳いだり、背中に乗せたりする光景も目にできるだろう。

伊佐沼では一年中見られるが、赤みの強い羽毛の色はいわば“夏服”。秋冬になると、もっと淡い色に変化する。そのころには、農業用水でもある伊佐沼の水位が低くなり、沼も鳥たちのようすも変わるので、あらためてチェックしに来たい。

ジブリ映画“出演”で知名度急上昇!? 「アオサギ」

トップ写真と同じ……ではありません! 動かない鳥といえば「ハシビロコウ」が有名だが、アオサギもあまり動かない。おかげで撮影も観察もしやすい

ジブリ映画『君たちはどう生きるか』に登場したことで、認知度が上昇したアオサギもいた。全長1m弱と大きく、双眼鏡がなくても、遠くからでも見つけやすい鳥だ。

伊佐沼ではいろいろなサギが見られるが、大半は「シラサギ」などと括(くく)られる白いサギなので、色や模様のあるアオサギとはまず間違わないだろう。アオサギの名前の由来には諸説あるが、「青みがかった灰色をしているから」と解説されることが多い。

水面をジッと見つめて狙いを定め、ズボッとクビを突っ込んで魚などの狩りをする。ただ、田植えに備えて水を引き込み、水位の高いこの時期の伊佐沼では、そんなシーンを目撃するのは難しいかも。とはいえ、浮島や杭の上での立ち姿は絵になるし、大きな翼を広げての飛翔はなんとも優雅。出会えれば、大満足の“鳥見”さんぽになるに違いない。

おさんぽの休憩がてら川越の味をエンジョイ

伊佐沼の北岸にある「川越市農業ふれあいセンター」

途中でひと息つくなら、沼の北岸にある川越市農業ふれあいセンター(グリーンツーリズム拠点施設)内のカフェ「glin coffee」や、隣接する古民家を店舗とした「田舎うどん 伊佐沼庵」が利用しやすい。

「glin coffee」ではスペシャルティコーヒーや地元・川越産のお茶をつかったドリンクなどが、また、「田舎うどん 伊佐沼庵」では、地場産の小麦をつかったうどんなどが提供されている。筆者は後者に何度かおじゃましているが、郷土の味が楽しめるので満足度が高い。1000円以下のメニューも多く、お財布にやさしくお気に入りだ。

休憩をはさんで元気をチャージしたら、鳥見さんぽを再開しよう!

──後編でも伊佐沼を“鳥見”さんぽします──

text:櫛田理子 photo:吉村冬彦

Official SNS

芸能人のインタビューや、
サステナブルなトレンド、プレゼント告知など、
世界と社会をよくするきっかけになる
最新情報を発信中!