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幸福度世界一のフィンランド人から学ぶ“幸せになる秘訣”【第3回】
幸福度世界一のフィンランド人から学ぶ“幸せになる秘訣”【第3回】
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幸福度世界一のフィンランド人から学ぶ“幸せになる秘訣”【第3回】

国連の「世界幸福度ランキング」で、2018年から7年連続で1位に選ばれている北欧の国、フィンランド。日本は2023年には47位でしたが、今年は51位と順位を落としています。各国約1000人への生活満足度調査をもとにしたこのランキング、フィンランドの人びとはなぜ、自らを幸せと感じ、生活に満足しているのでしょう。その理由を探るため、フィンランド航空で首都・ヘルシンキへ飛んだトラベルライターの古関千恵子さん。今回はそのレポート第3回です。

──【第2回】はこちら──

「70歳のスケートボーダー」は、幸せの真っ只中!

バックパックからボードを覗かせる姿がチャーミング

70歳のスケートボーダー、レナ・サルミさん(上写真)と待ち合わせをしたのは、ヘルシンキのサウスハーバーにある、アッラス・シープールの前。そこに現れたのは、全身マリメッコ(フィンランドの有名アパレルブランド)で固め、真っ赤なフレームのサングラスをかけた女性だった。いわゆる、ふつうの70歳とはだいぶ違う印象だ。背負ったバックパックからはスケートボードが覗いている。プールで泳いできた後らしく、スッキリした顔つきだ。

「私の幸福の秘訣、それは第1に泳ぐこと。常にトレーニングしています。水泳の後、サウナルームに行くと、そこにいる人々が『あなたの泳ぎは完璧ですね』とほめてくれて、喜びを分かち合っています。第2の秘訣は、実は、このすぐそばにあります」(レナさん、以下同)

そう言って、彼女はフードトラックでアイスクリームをオーダー。2番目の秘訣はアイスを食べることなのだとか。レナさんの一日のスケジュールは起床後、プールに行って2時間泳ぐことから始まり、朝食としてアイスクリームを食べ、その後は家に帰って絵を描く。3人の姉たちとカフェでお茶をすることもあるそうだ。かつてスポーツ新聞の記者だったからか、フットワークがすこぶる軽い。

そもそもスケートボードを始めたきっかけは?

「オリンピック水泳競技場へ自転車で通っていたのですが、外にとめておくと盗まれるんじゃないかと思って。というのも、私の自転車はカリフォルニアで調整した、とても美しいものだから。それでロッカールームに収まるサイズの移動手段をと、スケートボードを購入しました。いまから7年前のことです。スケートボードの乗り方を覚えようと、スケートパークへひとりで行きました。ええ、完全に、ひとりで。もし周りの人が私を笑ったとしても、それは私に向けたものではない、と思うことにしていました。でも、それは杞憂に終わりました」

同じくスケートボードを愛する地元の若者たちとは、すっかり友人に

「少年たちが『何か知りたいことがあったら言って』と声をかけてきて、ハイタッチをしてくれて。いまではスケートボードをしていると、子どもたちから『どんなトリックができるの? 何か教えてあげるよ』と言われます。スケートボードをやる人は、皆いい人たち。私たちはみんな同じコミュニティにいると感じます」

「どうやって、私が年齢の呪縛から抜け出せたかって? 私が65歳の頃、周りが『彼女は何歳?』って、ささやき始めたことがありました。それで私は『率直に聞いてくれて構わないのよ。私は65歳よ』って。いまは70歳だけれど。それも事実ですからね」

グラフィティアートにも目覚めて即、挑戦!

ストリートでスケートボードをやり始めた頃、ふとグラフィティアートが描かれた壁を見つけたレナさん。「これはすごい!」と感動。即座に思った。「やってみたい!」

グラフィティが施された壁を見るや、迷うことなくスプレーを手にして“描き足し”始めた

「多くの人はグラフィティを落書きや破壊行為だと思っていますよね。でも違う。これはアート。グラフィティアートには失敗や間違いはありません。いつでも塗り直せるから。近くで自分の作品を見れば、そのラインはそれほど完璧でなくても、遠くに行って見れば、よく見えたりするものです。これは、ちょっとした自由な感覚です」

スペインのマラガやロンドン、カリフォルニアなどを訪れ、そこでうまくスケートボードに乗れたときには、その土地でグラフィティアートを描いてきたそう。いまではスケートボードのメーカーの依頼でデッキ(スケボーの板部分)に描くこともある。

スケボーのデッキにグラフィティをデザインすることも

「これまで自分や友達のために、たくさんのスケートボードのデッキに描いてきました。グラフィティが描かれたデッキをもつことは、いっぱしのスケートボーダーの証です」

「60歳を過ぎてから学ぶのは難しい。でもそれはスキルよりも、意思の問題です。私は好奇心の強い人間かもしれません。でも皆さんに伝えたいのは、挑戦したいなら、やってみることです。えてして人は、『私より優れた人たちは、私ががんばる姿を見て笑うだろう』と考えます。それは違います。誰かががんばって、何かを上達していく姿は、それを見ている周りの人を喜ばせるものなのです」

Text & Photo:古関千恵子 取材協力:Visit Finland  https://www.visitfinland.com/ja/ Finnair https://www.finnair.com/jp-ja

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